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きんのまなざし ぎんのささやき

だいじょうぶ?

いつも勢いで書いていますが、本日の妄想はいつも以上にノープランかも…
ふんわり甘くなるといいな… っていうくらいでスタートします!
さあ、行ってみよ~


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爽やかな風が庭に咲く花の芳香を含ませながら、カオルの頬を撫でていった。
新緑も眩しい木々がつくる、その木漏れ日の下で、カオルはゴンザの淹れてくれた紅茶を飲んだ。

(はぁ~ おいし♡)

そのカオルのかたわらには、珍しくも鋼牙の姿があった。
今日は久々にふたりでお茶の時間を過ごしているのだ。
ちらりと鋼牙の姿を盗み見ては知らず知らずのうちに口元がほころんでくるのを、カオルは堪(こら)えきれなかった。
それにめざとく気付いた鋼牙が

「どうした?」

と尋ねる。

「ううん… なんでもない」

そう答えるカオルの顔は、もう隠しようもないほどの笑顔になっている。

(変な奴だな)

そう思いながら、こちらもまた、いつになく表情の柔らかい鋼牙。
甘い雰囲気の漂う中、見つめ合うふたりの脇で、

『なんだか俺たちは邪魔なようなだな、ゴンザ』

「ほっほっほ、まったく、そのようでございますな」

というやりとりが為される。

「ザルバぁ~ んもう、ゴンザさんも!
 そんなことないんだから、ね?」

慌てたカオルが取り成すように口早に言う。

『さあて、そいつはほんとかな? ほんとはふたりっきりになりたいんじゃないのか、カオル?』

「そんなことないって! みんなで飲むお茶は楽しいよ? なあに、疑ってんの?」

「まあまあ」

そんな賑やかな会話を聞きながら、鋼牙はテーブルの上の紅茶の入ったカップへと手を伸ばした。
微かに甘いフルーティな香りを楽しみつつ、口元まで運んだところでふいに手が止まる。
その目は鋭く厳しいものになっていた。
それとほぼ同時に、

『鋼牙っ』

と短く低い声で叫んだザルバに、鋼牙はうなづいて見せて、ゴンザへと視線を向けた。
すると、ゴンザは緊張を含んだ固い表情で、あるものを鋼牙へと差し出した。
真紅の封筒… ホラー討伐を指示する指令書が届いたのだった。

「鋼牙様…」

ゴンザの手から鋼牙へと渡った指令書は、魔導火をかざされて中空に緑に揺らめく文字を映し出した。
その一連のやりとりの間、カオルは不安げにおろおろと見守ることしかできない。
厳しい顔つきで指令を読んでいた鋼牙が、カオルに振り返るのと同時に、指令を伝える文字が燃え尽きたように消え去った。

「カオル、すまない。
 すぐに出掛けなくてはならなくなった」

そう言いながら、鋼牙の足はすでに動き出していた。

「あっ、鋼牙…」

慌てて追いかけようとしたカオルが、数歩も歩かないうちに石畳の窪みにつまづいて転びそうになる。

「あっ…」

咄嗟に鋼牙が彼女を支えたので、幸いにも転ぶことは免(まぬが)れた。

「大丈夫か?」

「う、うん。平気…」

そう言ったカオルが鋼牙の手から離れて自分の足で立ち上がろうとして、うっと顔をしかめた。

「どこか痛むのか?」

心配そうに見つめる鋼牙に、カオルはへらへらと笑いながら

「あ、ん… ちょっと捻っちゃったみたい… でも、大丈夫!
 ほら、早く行って、ホラーを倒して来てね」

と言い、鋼牙の腕をグイッと押しのけた。
だが、明らかに、片足に重心を置いて、怪我をしたらしい方の足を浮かせるようにしているカオルは、誰の目にもフラフラと危なっかしく見えた。
それなのに、顔には笑みを浮かべて、仕事に向かう鋼牙を見送ろうとしているカオルに、鋼牙の胸がチリリと痛む。

『鋼牙、何をしている。早く行くぞ!』

そう急かすザルバの声を合図にしたように、鋼牙は動きだした。

「え? えぇっ!」

カオルを横抱きにすると一目散にリビングへと駆け出した鋼牙に、カオルは驚きの声をあげた。

「ちょ… ちょっと、鋼牙!?」

驚き慌てるカオルを意に介さず、鋼牙は走った。
もちろん、痛む足に振動を与えないよう、できるだけ揺らさずに、だ。
そして、リビングのソファにカオルをそっと降ろすと言った。

「おまえの ’大丈夫’ は、本当に大丈夫なのかどうか俺にはわからないときがある…
 俺が帰るまで、とにかくおとなしくしていろ」

そう言うと、鋼牙はすっくと立ち上がった。

「ごめん… ありがと…」

自分を気に掛けてくれる鋼牙に嬉しさを覚えつつ、

(あたしのせいで、手間を取らせちゃって…)

と落ち込んでしまうカオルに、鋼牙は優しい目を向けた。

「大丈夫だ。なんの問題もない」

「ほんとに?」

『信じてやれ、カオル。こいつの ’大丈夫’ は、何があろうと、大丈夫だ!
 さあ、鋼牙、いつもの倍の力でさっさとホラーを片付けちまおうぜ!』

「ふん、おまえに言われるまでもない!」

『言ったな!
 敵は南の方向だ。とっとと走りやがれ!』

「承知!」

ザルバにそう答えた鋼牙は、最後にカオルに向かって安心させるように軽くうなずいて見せると、足早にリビングを出ていった。






その日の鋼牙の仕事は、ものすごく早かった!

『もたもたして、カオルに変な気遣いさせたくないからな、鋼牙?』

「…なんとでも言え」

そう言う鋼牙は、少しも不機嫌そうでなかった。

「帰るぞ、ザルバ」

『はいはい。
 早く帰って、カオルの足の具合を見てやんな!』

「…」

ザルバの軽口には応えなかったものの、鋼牙が屋敷への帰路を急いだのは言うまでもない。



fin
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ごくごく平凡な冴島家の日常です。
’家族同然’ の人たちが寛いでいるところに届く1通の指令書。
いろいろな想いを抱きながらも無事を祈りつつ見送るカオルと、見送られる鋼牙。
そこから、カオルの発する「大丈夫」と、鋼牙の発する「大丈夫」の言葉が交錯します。
どうでしょう。ふんわり甘くなったんでしょうか?

でもまあ、この後の展開次第では、めちゃ甘にもできますよね!
あとは、皆様の妄想力、し・だ・い♡

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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