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きんのまなざし ぎんのささやき

ねぇ、教えて!(1)

魔界ノ花は、ファミ劇ではようやく6話「風鈴」が放送されたところです。
その回に出てきた雷牙少年がイイですね!

また、別の回にでも登場しないかな…





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「ねぇ、これってさ、お母さんが描いた絵なんだよね?」

リビングに飾られた絵の前で、少年は執事に語りかけた。
学校から帰って来て自分の部屋にかばんを置いた後、おやつを食べに階下に降りてきたときのことだった。



「魔戒騎士の子だって、小学校くらいはちゃんと通って、いろんな友達と勉強したり遊んだりしたほうがいいと思うの!」

そういう母親の強い希望が尊重され、少年はこの春、小学校に入学したばかりだった。
母親の言うままに通うようになったが、少年にとっては、学校で勉強するのも面白かったし、年の近い子どもたちがたくさんいて、仲のよい友達が何人もできた。

学校が終わると友達と道草をしながら帰ってくるが、その友達と別れてしまえば、一目散に走って家に帰る。
そして、おやつを食べ、宿題をしながら父親の帰りを待つのだ。
父親が早く帰ってきた日には、夕食までの時間、少年に稽古をつけてくれる約束になっている。
まだ小さいから、教えてくれることが上手くできなくて悔しい思いもいっぱいするが、いつか黄金の鎧が召喚できるようになって、悪いホラーをやっつけたいと思っていた。

父のように強く、優しく、美しくなりたい!

そう思っていたから、少年にとっては、魔戒騎士になるための修行もまた学校と同様に楽しかった。



さて、今日はというと、学校から帰ってきたときには、いつものように父親は仕事に出ていて不在だった。
また、いつもなら少年の帰りを迎えてくれる母親も、今度開かれる個展のための打ち合わせに出掛けていて留守にしていた。
だけど、少年は少しも寂しくなかった。 それは、両親に代わって、優しい執事が少年を出迎えてくれたからだ。
少年の祖父の代からこの家に仕えていて、毎日、手作りのおいしいおやつを作って待っていてくれるこの執事は、少年にとっては家族も同然だった。

(今日のおやつは何かな?)

そんな子どもらしい期待を胸に、いつものようにリビングに入った少年は、ふと、正面にある絵に目を留めた。
少年が生まれる前から飾られている絵だ。

(この絵… お母さんが描いたってことは知ってる。
 そして、お父さんがこの絵をとっても好きだ、ってことも…)

だけど、少年はそれ以上のことは何も知らなかった。
お父さんはお母さんのことが好きだから、お母さんの描く絵も好きなのかな、というくらいにしか思ってなかった。
いや、それすらも意識したことはなかったのかもしれない。

だけど、どうしたことだろう。
急に、この絵のことがもっと知りたいように思えてきた。



すると、そこに、オレンジジュースとドーナッツのお皿が乗ったトレイを手に、執事が入ってきた。
物知りの執事なら、きっと教えてくれるに違いない… そう思った少年は、さっそく執事に聞いてみた。

「ねぇ、これってさ、お母さんが描いた絵なんだよね?」

「そうでございますよ」

執事は返事をしながら、ダイニングテーブルの少年の席におやつを置いた。
そして、少年のほうに歩み寄ると、そのかたわらに立って絵を見上げた。

「この絵は、旦那様と奥様の大切な大切な絵なのですよ」

そう言う執事の横顔を、少年は見上げた。



あの頃、旦那様とわたくしは、このお屋敷ではなく東の管轄にあるお屋敷にいました。
えぇ、旦那様が奥様と会われる前のことです。

ある日の夜、旦那様は番犬所からの指令でお出かけになったのですが、真夜中を過ぎた頃、お戻りになられました。
そのとき手にしてらっしゃったのが、この絵でした。

「お帰りなさいませ」

「あぁ…」

いつものように、怪我ひとつ無くお戻りになられたことにホッと安心をしていたとき、旦那様の手にあるソレを見て尋ねました。

「おや、それは?
 いかがなされたのですか?」

「ん? これか…」

旦那様はわたくしの視線の先が絵に向いているのを見て、それを持ち上げました。

「絵… でございますか?」

あまりに意外なものだったので、思わずそれが表情に出ていました。

「気に入ったから手に入れた…

 そうだな、どこか適当なところにでも飾っておいてくれないか?」

旦那様はそれだけを言うと、絵を差し出してさっさと自室に行ってしまわれました。
今も決して口数の多いほうではない旦那様ですが、お若い頃はもっともっと無口でございました。
どなたの作品なのか、これをどういう経緯で入手されたのか、わたくしはちっともわからずに戸惑いながら、渡された絵を眺めていたことを覚えております。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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