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きんのまなざし ぎんのささやき

ねぇ、教えて!(2)

少年と執事の組み合わせはイイですよね?

鋼牙少年とちょっと若いゴンザとのシーンとかすっごくかわいかったですもん!
風呂上がりの鋼牙少年の頭をタオルで拭いてあげてるシーンとか、絵本の読み聞かせのシーンとか…

ああいう雰囲気が出るといいんですけど。




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執事の言葉に、少年は

「へぇ~」

と相槌を打つと、物知りの執事でもわからないことがあるんだな、と、少し残念そうな顔をした。
そんな少年の様子を見て、執事は優しい笑顔を浮かべると、少年に顔を近づけて小声で言いました。

「じ・つ・は…
 その日に何があったのかは、その後、ちゃ~んとザルバに聞いておるのでございます」

それを聞いて、少年の顔が明るくなった。

「えっ、ほんと?」

その反応に、執事は満足そうな笑みを浮かべ、胸を張って言った。

「はい、ほんとですとも。
 どこでどんなふうに旦那様と奥様が出会われたのか、ちゃ~んと知っております。

 ザルバが話してくれたのは、こんなことでした…」



その夜の旦那様の相手は、画廊のオーナーに憑依したホラーだったそうです。

坊ちゃま、画廊というのはわかりますか?
画家の方や画家になりたいと思っている人が描いた絵を、展示したり売ったりしたりするところでございますよ。

その画廊でホラーに接触しようとした旦那様は、ちょうど明日からそこで作品の展示会を開こうとしていた画家の卵と出会われました。
それが、奥様… つまり、坊ちゃまのお母上になります。

普段の旦那様なら、どんなに若くて可愛らしい女性であっても少しも気に留めないところだったでしょうが、今からこの場所でホラーと闘うことになるわけですから、旦那様はその場から奥様を引き離そうと考えました。
そこで、旦那様は考えました。
ここに展示されている絵の中からひとつを選び、その絵を買うから今すぐ屋敷に届けてほしい、と頼めばいいと。
そうすれば、奥様は絵を持って画廊から出て行くいくはずだ、というわけです。

ところがです。
奥様は、結局その場から逃げることができず、奥様の見ている前で旦那様はホラーをお斬りになったそうです。
そのときにちょっとしたアクシデントがあったのでございますが…

何があったか詳しいことは、いずれ直接、旦那様か奥様がお話しくださることでしょう。

とにかく、そのアクシデントのせいで、奥様はホラーに執拗に狙われる羽目になってしまいました。
毎日、旦那様がどれだけオブジェを浄化しても、次々とホラーが現れました。
そして、そのホラーが次々と奥様に襲いかかろうとします。
旦那様は奥様のことを、そりゃあもう命がけでお守りになったのでございます。

一流の魔戒法師でないと生きて帰れないような場所にも、たったひとりで挑まれ、ボロボロになって帰って来られたこともございました。



「ふうん…」

初めて聞かされる話を、少年は神妙な顔をして聞いていた。

「お父さんは自分がボロボロになっても、お母さんを守ったんだね。
 でも、どうして?
 お母さんのことが好きだったから?」

少年はそうだったらいいな、と思いながら聞いてみた。

「そうでございますねぇ…」

執事は少し考えてから、再び口を開いた。

「旦那様に直接聞いたことはないので、これはわたくしの想像ですが…

 人間を守るのが魔戒騎士の務めにございます。
 坊ちゃまも旦那様からお聞きになったことがあるでしょう?
 旦那様はきっと、それを忠実にお守りになったのでしょう。

 ですが、あの方は… そう、坊ちゃまのお母上はとてもチャーミングな方ですから、旦那様は次第に奥様のことがお好きになったのでございましょう。

 坊ちゃまだって、好きなことは一生懸命になさるでしょう?」

聞かれた少年は、う~ん、としばらく考えて、

「うん!」

と元気よく返事をした。
その様子を満足そうに見て、何度もうなずきながら、執事は言った。

「もともと旦那様はお強い方でした。
 ですが、ザルバが言うには、奥様を守ろうとして闘う旦那様は、もっともっとお強くなったそうですよ」

「…」

執事の言うことがわかったのかわからないのか、少年は何かをじっと考えていた。
そして、再び、疑問を口にした。

「じゃあさ、お父さんはこの絵が好き、ってわけじゃなかったんだね?
 たまたまそこにあっただけなんでしょ?」

真っ直ぐに執事を見上げるクリクリとした少年の目は、知性の光をたたえ、好奇心で輝いていた。

(ほんとうによく似てらっしゃる。
 聡明なところは旦那様に、無邪気に何でも知りたがるところは奥様に…)

執事は、両親のよいところを存分に受け継いだ少年をほほえましく眺めた。

「いいえ、坊ちゃま。
 この絵は、旦那様が偶然選んだだけの絵ではありません。
 この絵の景色は、旦那様がお育ちになった場所にとてもよく似ているのです。

 そうそう!
 奥様はその場所に連れて行ってもらったこともありますよ。
 とても美しい場所だったと、わたくしに嬉しそうに話されたことがございました」

懐かしそうにそう答えた執事の言葉に、少年は絵を見上げながら、

「いいなぁ…
 ぼくも行ってみたいなぁ~」

と独り言のように言った。

「きっといつか、坊ちゃまも旦那様に連れて行っていただけますよ」

執事も少年と同じように絵を見上げながら言った。
それを聞くと、少年は執事のほうを見て、

「そっかな?」

と聞き、執事も少年のほうを見て、

「そうですとも」

と答え、笑顔を交わした。
ひとしきり笑った後、執事は、ふとダイニングテーブルに置いたもののことを思い出し、

「さ、そろそろおやつを召し上がりますか?
 もうじき、奥様もお帰りになられますよ」

と少年を促した。
さっきまで冷たかったはずのオレンジジュースは今は少しぬるくなり、コップの表面にはたくさんの水滴がついていた。

「うん!
 早く食べないと、お母さんが帰ってきちゃうね!
 そしたら、ぼくのおやつ、お母さんに取られちゃうもんね?」

少年の答えに、ははは、と笑った執事が、

「大丈夫でございます。
 奥様の分もちゃ~んとご用意してありますから」

と答え、少年の背を押して席につけようとした。



そのときだ。
リビングのドアが元気よく開き、

「ただいま~」

と顔を覗かせた者がいた。

「あ、お母さんだ!」

「お帰りなさいませ、奥様」

「あぁ、もう帰ってきてんだね。 おかえり…」

そう息子に声をかけたのは、この屋敷の主が命がけで守ったという夫人だった。

「はい、これお土産!
 おいしいって聞いたから買ってみたの。 ビワのタルトだよ。
 食後にみんなで食べようね」

そう言って執事に白いケーキの箱を差し出したかと思うと、テーブルの上のおやつに気付き、

「あぁっ! 今日のおやつはドーナツだぁ~
 ねっ、ねっ、あたしの分もある?」

と無邪気におやつをねだっていた。

さっきまで静かだった冴島邸が、母親の帰宅で一気に賑やかになった。

「はいはい、ただいまお持ちいたしますね…」

執事はそう言ってリビングから出た。



ドアを1枚隔てても、楽しそうに語らう親子の声が聞こえてくる。
もうじきこの屋敷の主(あるじ)も帰ってくるだろう。
世間のどこにでもあるようなごく普通の幸せが、ここ冴島家にもあった。



(旦那様と自分のふたりだけの殺風景な屋敷に、あの方が加わり、それだけでも十分お屋敷の雰囲気は華やいだものになった…
 そして、坊ちゃまがお生まれになり、お幸せそうな様子を見ることができて、わたくしは本当に幸せでございます…)

しみじみとそう思った執事は、やがて、少しだけ顔を曇らせた。
そして、ひっそりとこう祈った。

(この幸せが少しでも長く続きますように…)



執事は知っていたのだ。
魔戒騎士は常に危険と隣り合わせであることを。
だからこそ、末永い一家の幸せを願わずにはいられなかった。



fin
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登場する少年は、鋼牙とカオルの息子くん(のつもり)。
執事はもちろん、我らのゴンザ!

この息子くんが、魔界ノ花の雷牙なのかは selfish には未だに判断がつきませんが、曖昧なまんまでもいいかなぁ~ なんて思います。
だから、ご自由な解釈でどうぞお読みください。


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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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