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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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噂のあの人(1)

今朝、何気なく「とある疑問」(「思いつき」ともいう)が、頭にポンッと
浮かんだので、夜になってから検証してみようと、MAKAISENKI のDVDを
引っ張り出してみました。

検証の結果、想定していたシチュエーションは使えない、と判明。
「な~んだ」とガッカリしていたのでが…
なんと、DVD見ているうちに、新たな妄想ポイントを発見!


…というわけで、書き始めてみました!


さて、あとは、この続きを何も考えちゃいない、っていう大きな問題を
どうするか、ですね。(笑)



拍手[26回]



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

その夜、僕は、とても立派な石造りの洋館の前に立っていた。

鋼牙さんに会うためと、グレス様に許しを請い、はるばる北の管轄まで
やってきたのだった。
呼び鈴を押す前に、大事に抱えてきた小さな木箱を取り出してみた。
その箱には、どす黒い液体の入った小瓶が収められている。
護符を貼った、その木箱の蓋を開ければ、なんともいえない強烈な匂いが
するはずだ。
なにせ、これは、霊獣の肝を黒イチゴの実で煮込んだもので、万病に効くと
珍重されているものなのだ。
この貴重なものを、僕がわざわざ用意したのは、理由があってのことで、
鋼牙さんの胸に刻まれた ’破滅の刻印’ に、ひょっとしたら効くかも
しれない、という一縷(いちる)の望みからだった。

もちろん、そんなことは気休めくらいにしかならないことも、僕は十分
わかっていた。
だが、だからといって手をこまねいて見ているだけでは辛すぎる。
何か自分にもできないか、と懸命に考えてのことだった。

箱の表面を大事そうに手で撫でて、よし、と、気合を入れる。
僕は、真っ直ぐに冴島邸の玄関扉を見て、すぅっと大きく息を吸ってから
呼び鈴に手を伸ばした。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

「鋼牙さん。
 ホラー狩りは他の魔戒騎士に任せて、鋼牙さんは ’破滅の刻印’ の解明を
 急ぐべきです。

 鋼牙さんにはもう時間がない。 いつ命が絶たれるか…」

ずっと考えていたことを、僕は鋼牙さんに言ってみた。
だけど、鋼牙さんは、

「行くぞ」

という一言で、
僕の主張を遮ったのだ。

(えっ?)

鋼牙さんの言った言葉の意味が掴めずに、僕が鋼牙さんを振り返ろうと
すると、それよりも早く、


「仕事だ」

と、きっぱりと言い切り、
僕の前を横切るようにして歩き出していた。

決然としたその鋼牙さんの態度に、僕はもう何も言えずに、黙って後に
従うしかできなかった。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

(やっぱり、鋼牙さんはスゴイ…)

この夜、いきなりいくつものゲートが突然現れた。
普通では考えられないその増殖の速さを訝(いぶか)しく思いながらも、
悠長に考えを巡らせる間もなく、鋼牙さんは次々とゲートを斬っていった。
その一分(いちぶ)の隙もない仕事ぶりを間近で見た僕は、これでも、
’破滅の刻印’ に命を削られている人なんだろうか、と、心底恐れ入った。

だが、感心してばかりもいられない。
すぐに気持ちを切り替えて、自分自身もゲートの浄化に懸命に励んだ。
そうすることで、鋼牙さんの身体への負担をできるだけ減らせるはずだ、
と思ったからだ。

ひとつ、ふたつ、と、着実にゲートを斬っていき、

『次のゲートは、南東の方角に1kmくらいのところだ!』

と言うザルバの言葉に従って、道を辿っていく。

そうやって、とあるアトリエの前まで来たときだった。

ひとりの男が、ゲートから伸びてくる何本もの白くて美しい魔性の手によって、
深淵なる闇へと、今にも引きずり込まれようとしていた。
すんでのところで、鋼牙さんの剣がそれを阻止し、僕の筆がとどめを刺した。
黒く禍々しい邪気が、ジュッと音を立てて霧散した。
もう何者にも拘束されていないはずの男が、いまだ恐怖のあまり、頭を
抱えて震えている。
その男に向かい、

「行け」

と、感情のない鋼牙さんの低い声が飛んで、ようやく男はハッと我に返った。
そして、鋼牙さんに慌てて頭を下げると、叫び声をあげながら一目散に
逃げていった。



すると今度は、コツコツコツと軽いヒールの音を響かせながら近づいてくる
者があった。
男と入れ違いのようにしてやってきたのは、若い女だった。

その姿を見て、鋼牙さんが女の名を呼んだ。

「カオル…」

その声には、先程までの声とは違って、わずかだが、何かしら人間らしい
感情がこもっているように、僕には感じられた。

「鋼牙…」

逃げ去っていった男を心配そうに目で追っていた女が、ほっとしたように、
鋼牙さんの名を呼んだ。
そして、女は、足元にひざまづいていた僕にも気づくと、会釈した。

普段、元老院にいて、あまり普通の人間とは関わりを持たない僕は、
戸惑いながらも頭を下げた。
僕が戸惑ったのは、彼女が普通の人間だから、というだけではない。

(この人が、あの…)

そう思いながら、
いろいろなことが僕の頭の中で瞬時のうちに浮かんだ。



太古から続く、
長い魔戒騎士の歴史の中でも、他に類を見ないほどに強い男。
それが、
冴島鋼牙、その人だ。
その実力はもちろんのこと、黄金騎士、牙狼の系譜を有する名門、冴島家の
家長でもあり、血筋的にも申し分のない男である

つまり、魔界に関係する者ならば、彼のことを知らない者はいないくらいの
有名人なのだ。
だが、魔戒法師や魔戒騎士の間で有名なのは、鋼牙さんだけではない。
鋼牙さんの想い人についても、様々な話が噂されていた。
その噂話の中には、信用するには値しない眉唾なものまで、様々なものが
あったが、少なくとも、真実として人々の口にのぼっている
ものは、
次の3つだった


第一に、その女は魔界には全く関係のない、ごく普通の人間であること。
第二に、かつて、’血に染まりし者’ であったということ。
第三に、ホラーの始祖であるメシア降臨のゲートになりかけたこと。

噂話には滅法疎い僕だったが、’冴島鋼牙の想い人’ については、さすがの
僕でもそのくらいは耳に入っていた。

今、僕はその話題の人を目(ま)の当たりにしている。
噂だけで忌み嫌うわけではないが、やはり、この人とは、なんとなく距離を
置いておきたい気分であることは否定できない。

いったいどんな顔をすればいいんだろう?)

そんな戸惑いがあって、面と向かうことができない。

だが、そんな僕にはお構いなしに、ザルバが次のホラーの位置を探知し、
鋼牙さんはそこへと向かおうとしていた。

「レオ。
 すまないが、カオルを送ってくれないだろうか。

 カオル、それでいいな?」

そう言うなり、
鋼牙さんは誰の返事も待たずに、

「ザルバ、ホラーはどっちだ?」

と、すでに歩き出していた。
思いもしない展開に、僕はオロオロするばかりだったが、僕の隣にいる
この女性は少しも慌てず、

「気を付けてね!」

と、鋼牙さんの後ろ姿に向かって声を掛けていた。
その声を背中に受けた鋼牙さんは振り向きもせずに、右手をちょっと上げて
それに応えた。

鋼牙さんとカオルさんの息の合ったやりとりを目にして、僕は少しだけ
落ち着きを取り戻したが、それと同時に


(困ったことになったな…)

と、情けない顔をしながら、鋼牙さんの背中を見送ったのだった。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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