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きんのまなざし ぎんのささやき

…なんでもなくない(1)

リクエストを頂きました「…なんでもない」という妄想の続きになります。
(リクエスト、ありがとうございます!!)

「おまけ」にしなかったのは、なんだかちょっと長くなったので…
ただそれだけの理由です。 (笑)
(しかも、フザけたタイトルですみません!!)


あっ!
もし、「…なんでもない」をお読みでないなら、先にそちらを読まれるよう
オススメします。



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ここは、冴島邸の一室…
この家の若き当主、鋼牙の書斎だ。

そこには、マホガニーやウォールナットなどの一枚板を使って丁寧に仕事が
なされた家具たちが配置され、まだ年若い鋼牙には少々不釣り合いなほどに
落ち着いた空間となっていた。

この日、夕食を終えた鋼牙は、その書斎で時を過ごすことにした。
元老院からの指令のないこんな夜でも、ホラーの属性、習性などについて
知識を腐らせないよう、日頃から書物を読むことに努めているのだ。



一方、カオルは、というと、いつもなら仕事の拠点として市内に借りている
アパートにいるのだが、今日は、鋼牙会いたさに夕方遅くになって屋敷を
訪れていた。

カオルは、鋼牙と少し言葉を交わしたら、すぐにアパートに帰ろうと
思っていた。
なぜなら、ここしばらくずっと悩んでいた次の作品の構想が、今日になって
大体の骨格が固まってきたからだった。
アパートに帰ったらさっそく、その絵の制作に取り掛かろうと考えていた。

だが、久しぶりに屋敷に顔を見せたカオルは、ゴンザの強い勧めもあって、
おいしい夕食をご馳走になることになった。
そして、食後のデザートを食べている頃には、どういうわけだか、今夜は
屋敷に泊っていく流れになっていた。

(ま、いっか…)

突然の宿泊でも、カオルは少しも慌てなかった。
なぜなら、この屋敷には、カオルの部屋もちゃんとあり、着替えや日用品は
もちろん、絵を描くための道具もすべて揃えられていたからだ。
その気になれば、屋敷でも十分、絵の制作に取り掛かることができる。

そうしたこともあって、夕食後のカオルは、自分の部屋で過ごすことを
選んだ。



こうして、鋼牙もカオルも思い思いの過ごし方をすることになったので、
夕食後、
ダイニングテーブルから食器を手際よく片づけていく執事に、
鋼牙はこう言った。

「ゴンザ、今日はもう指令もないようだ。
 あとは適当にやるから、好きなように休んでいいぞ」

いつも気苦労を掛けてばかりいる執事を気遣う、そんな主の言葉に、
普段なら、

「これでも年のわりにはまだまだ動けます」

などと豪語する有能な執事も、

「お気遣いありがとうございます、鋼牙様。
 では、遠慮せずに今夜は早々に下がらせていただきます」

と、素直に言った。
いや、有能であるが故に、実は気を利かせたのかもしれなかったが、
そんなことなど少しも気取(けど)られずに、ゴンザは下がっていった。





夜もだいぶん更けてきて、書斎にいる鋼牙は、読み終えた書物をパタンと
閉じた。
目を閉じて眉間の辺りをつまみながら立ち上がると、窓に下ろされた分厚い
カーテンをシャッと引いて、遠くの月を眺めて疲れた目を休ませた。

(さて、風呂に入って休むか…)

そう思いながら身体の向きを変えようと思ったとき、

  コンコン…

書斎のドアを小さくノックする音が聞こえた。


鋼牙は書斎の戸口に向かうと、ドアをさっと開けた。
そこには、案の定、カオルがいて、いきなり開いたドアに少し驚いたような
顔をしていた。
鋼牙は小柄なカオルを見下ろして優しく聞いた。

「…どうした?」

「あ、お風呂が空いたからどうかな、と思って…」

見上げるようにして言うカオルは、確かに風呂上りらしく、シャンプーの
いい香りが
ほのかに漂ってきた

「…そうか」

突き動かされるような衝動を感じつつも、鋼牙は短く返事をしただけだった。
素っ気ない鋼牙の返事にも関わらず、カオルはもじもじとその場を離れずに
いた。
そして、ちょっと強張った顔で、

「少しだけお邪魔してもいい?」

と遠慮がちに尋ねた。
鋼牙は心の中がざわつくのを感じたが、そんなことは少しも出さずに、
軽く身を引くと、カオルを中へ招き入れた。
カオルは、一歩二歩と足を進め、書斎の中に入ってきた。
カオルが中に入ったのを確認すると、鋼牙はドアを閉め、

「寒くないか?
 湯冷めしないうちに早く休むといい…」

などと言いながら、カオルを追い越して、書斎机のほうへと向かった。
無意識のうちに、カオルから遠ざかろうという心理が動いたようだった。


そのとき…
思いもしないことが起こり、鋼牙の足がピタリと止まった。


 パチリ…

書斎の明かりが消えてしまったのだ。
そして、それを消したのは…  カオル。

「どうした、カオル?」

鋼牙は振り返ってカオルを見つめ、怪訝そうに言った。
夜目の利く鋼牙には、カオルの姿がはっきりわかる。
だが、カオルには鋼牙の姿はよくわからなかった。
カオルはドアのそばに立ったまま、鋼牙がいるであろう場所に見当を
つけながら口を開いた。

「ごめんね、鋼牙、びっくりした?
 鋼牙の顔が見えちゃうと、なんだか恥ずかしくて」

明かりを消した理由をそんなふうに言うと、すぐに言葉を続けた。

「あのね、さっきの話の続きが聞きたいの。
 昼間、あたしを見かけたのに声を掛けてくれなかった、っていう、
 あの話…」



※この続きは2種類あります。どちらかをお選びください。
to be continued(しっとりカオルちゃんがお好みの場合…2へ)
to be continued(ぐいぐいカオルちゃんがお好みの場合…another2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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