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宴の夜(5)
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
月が出ていた。
離れまでの道に明かりはなかったが、月の光があれば、魔戒騎士にとって
夜道を歩くことは、そう難しいことではなかった。
心を許す友との話を楽しみながら酒を飲み、少しばかり上気した頬に
夜風が心地よかった。
風の向きによるのか、宴の席の笑い声や歌声が大きくなったり、小さくなったり
しながら、鋼牙の周りをうろつき、そして追い越していった。
鋼牙の歩みは自(おの)ずと、ゆったりとしたものになっていた。
『お前にしては珍しく、ずいぶん飲んだんじゃないのか?』
「まぁな。
零や翼がいるからと安心して、少し気を抜き過ぎたようだ。」
普段は、いつ来るか判らないホラー狩りの指令を待つため、鋼牙は、滅多に
酒を口にしなかった。
だが、今宵は素面(しらふ)の零の存在と、自分の管轄でないこともあり、
自制心がゆるんだのだろう。
『たまには、いいじゃないか。
友や仲間と楽しいひとときを過ごすのも…』
「そうだな。」
ザルバとの語らいを楽しみながら、鋼牙は夜道を歩いた。
鋼牙はふと夜空を見上げた。
満天の星が降ってきそうな空だった。
ほぉ~っと声にならない声が漏れた。
『鋼牙、前から思っていたんだが…
お前は、空を見上げることがよくあるよな?
何か意味があるのか?』
「意味か? …… ふっ」
何を思ったか、鋼牙から笑いが漏れた。
『何がおかしい?』
「いや、なんでもない。」
答えを避ける鋼牙に何を言ってもダメなことを、ザルバは知っていた。
そのため、ザルバは自分なりに考えてみることにした。
『判ったぞ、鋼牙。
カオルとかいう女のことを考えていたな?』
「…… まあな。」
当てずっぽうと悪ふざけから出た言葉に、鋼牙がすんなり肯定したことに
ザルバをひどく驚いた。
『おいおい、珍しく素直じゃないか。
らしくないな。』
「そうか、俺らしくないか。」
いつにない鋼牙の態度にザルバはさらに驚いた。
(こいつぁ~、よっぽど酔っているのか?)
そう思いながら、ザルバは鋼牙に思い切って聞いてみた。
『おい、鋼牙。
カオルっていうのは、どんな女なんだ?』
「カオルか…」
ザルバは、キバとの闘いの折りに記憶を無くしてしまっていた。
カオルのことは、ゴンザからチラッと聞いたことはあったが、鋼牙の手前、
あまり詳しくは語られなかった。
鋼牙が酔っている今なら、ひょっとして… ザルバは、そう思ったのだ。
「あいつは、騒々しい女だ。
よく笑い、よく怒り、よく泣く…
あいつが怒ると、こちらもつい頭に血が上(のぼ)る。
あいつが泣くと、俺まで胸が痛くなる。
あいつが笑うと…」
鋼牙の表情が今までになく優しくなった。
その先を続けることはなく、少し話題を変えた。
「俺は、あいつの描く絵が好きでな…」
『屋敷のリビングに飾ってある、あの絵もカオルが描いたんだろ?』
「あぁ。」
『それで、今は絵の留学で日本を離れているんだったな。
寂しくないのか?
今頃、向こうの男とヨロシクやってるんじゃないのか?』
「……そうかもな。」
とても穏やかな顔で鋼牙は答えた。
『おいおい、お前はそれでいいのか?』
「俺はいい… それでカオルが幸せなら、な。
この空の下のどこかであいつが生きていて、ちゃんと笑っているなら
それでいいんだ。」
『鋼牙、お前ってヤツは…
…ほんとにその女に惚れてるんだな。』
鋼牙はそれには答えず、空を見上げていた。
そして、今、思い出したかのように呟いた。
「ザルバ…、今夜は、ほんとうにいい夜だな。」
『…』
ザルバは急に話題を変えた鋼牙に、思わず食って掛かりそうになったが、
思い直した。
『あぁ、そうだな。』
ザルバは鋼牙に静かに同調してやった。
鋼牙は友の気遣いに感謝しながら、宴の余韻に身を任せた。
宴はまだ終わりそうになかったが、鋼牙の閑岱での最後の夜は、終わろうと
していた。
fin
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
TVシリーズ第1弾の第11話「遊戯」で、ふつうの男の子のようにゲームに
興じる鋼牙が見てみたいとカオルは思うのですが、ふつうに友達と酒を
飲んで、会話を楽しむ鋼牙が見てみたい… と selfish は思っていました。
(ファミリー劇場で、「魔戒指南bar」を見たら、そう思いません?
監督や中の人たちが、barでお酒飲みながら、牙狼について語る…
なんて素敵な企画でしょう!)
あと…
魔戒騎士は一緒に闘うだけで友情が生まれるのか?
それはちょっと無理がありませんか~~~?
とも思っていたので、今回は、3騎士や邪美が親交を深めるためにも、
一緒に酒を飲めばいいんじゃな~い? というわけで、selfish が、
酒の席を設けさせていただきましたぁ!
ワイワイ楽しんで、あ~楽しかった、明日からまた仕事頑張ろうな~
で終わりのはずが、それだと、最後がうまく終わらせることができず、
迷走してたんですね、実は。
いろいろ迷って… 鋼牙をいい気分にさせて、普段は言わない気持ち
(あっ、妄想した感情ですが)を言わせちゃいました。
酒を飲んでるときくらい、いいかな~ って思ったのですが。
そんでもって、お決まりの空を見上げて… デス。 (笑)
どうですか?
月が出ていた。
離れまでの道に明かりはなかったが、月の光があれば、魔戒騎士にとって
夜道を歩くことは、そう難しいことではなかった。
心を許す友との話を楽しみながら酒を飲み、少しばかり上気した頬に
夜風が心地よかった。
風の向きによるのか、宴の席の笑い声や歌声が大きくなったり、小さくなったり
しながら、鋼牙の周りをうろつき、そして追い越していった。
鋼牙の歩みは自(おの)ずと、ゆったりとしたものになっていた。
『お前にしては珍しく、ずいぶん飲んだんじゃないのか?』
「まぁな。
零や翼がいるからと安心して、少し気を抜き過ぎたようだ。」
普段は、いつ来るか判らないホラー狩りの指令を待つため、鋼牙は、滅多に
酒を口にしなかった。
だが、今宵は素面(しらふ)の零の存在と、自分の管轄でないこともあり、
自制心がゆるんだのだろう。
『たまには、いいじゃないか。
友や仲間と楽しいひとときを過ごすのも…』
「そうだな。」
ザルバとの語らいを楽しみながら、鋼牙は夜道を歩いた。
鋼牙はふと夜空を見上げた。
満天の星が降ってきそうな空だった。
ほぉ~っと声にならない声が漏れた。
『鋼牙、前から思っていたんだが…
お前は、空を見上げることがよくあるよな?
何か意味があるのか?』
「意味か? …… ふっ」
何を思ったか、鋼牙から笑いが漏れた。
『何がおかしい?』
「いや、なんでもない。」
答えを避ける鋼牙に何を言ってもダメなことを、ザルバは知っていた。
そのため、ザルバは自分なりに考えてみることにした。
『判ったぞ、鋼牙。
カオルとかいう女のことを考えていたな?』
「…… まあな。」
当てずっぽうと悪ふざけから出た言葉に、鋼牙がすんなり肯定したことに
ザルバをひどく驚いた。
『おいおい、珍しく素直じゃないか。
らしくないな。』
「そうか、俺らしくないか。」
いつにない鋼牙の態度にザルバはさらに驚いた。
(こいつぁ~、よっぽど酔っているのか?)
そう思いながら、ザルバは鋼牙に思い切って聞いてみた。
『おい、鋼牙。
カオルっていうのは、どんな女なんだ?』
「カオルか…」
ザルバは、キバとの闘いの折りに記憶を無くしてしまっていた。
カオルのことは、ゴンザからチラッと聞いたことはあったが、鋼牙の手前、
あまり詳しくは語られなかった。
鋼牙が酔っている今なら、ひょっとして… ザルバは、そう思ったのだ。
「あいつは、騒々しい女だ。
よく笑い、よく怒り、よく泣く…
あいつが怒ると、こちらもつい頭に血が上(のぼ)る。
あいつが泣くと、俺まで胸が痛くなる。
あいつが笑うと…」
鋼牙の表情が今までになく優しくなった。
その先を続けることはなく、少し話題を変えた。
「俺は、あいつの描く絵が好きでな…」
『屋敷のリビングに飾ってある、あの絵もカオルが描いたんだろ?』
「あぁ。」
『それで、今は絵の留学で日本を離れているんだったな。
寂しくないのか?
今頃、向こうの男とヨロシクやってるんじゃないのか?』
「……そうかもな。」
とても穏やかな顔で鋼牙は答えた。
『おいおい、お前はそれでいいのか?』
「俺はいい… それでカオルが幸せなら、な。
この空の下のどこかであいつが生きていて、ちゃんと笑っているなら
それでいいんだ。」
『鋼牙、お前ってヤツは…
…ほんとにその女に惚れてるんだな。』
鋼牙はそれには答えず、空を見上げていた。
そして、今、思い出したかのように呟いた。
「ザルバ…、今夜は、ほんとうにいい夜だな。」
『…』
ザルバは急に話題を変えた鋼牙に、思わず食って掛かりそうになったが、
思い直した。
『あぁ、そうだな。』
ザルバは鋼牙に静かに同調してやった。
鋼牙は友の気遣いに感謝しながら、宴の余韻に身を任せた。
宴はまだ終わりそうになかったが、鋼牙の閑岱での最後の夜は、終わろうと
していた。
fin
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
TVシリーズ第1弾の第11話「遊戯」で、ふつうの男の子のようにゲームに
興じる鋼牙が見てみたいとカオルは思うのですが、ふつうに友達と酒を
飲んで、会話を楽しむ鋼牙が見てみたい… と selfish は思っていました。
(ファミリー劇場で、「魔戒指南bar」を見たら、そう思いません?
監督や中の人たちが、barでお酒飲みながら、牙狼について語る…
なんて素敵な企画でしょう!)
あと…
魔戒騎士は一緒に闘うだけで友情が生まれるのか?
それはちょっと無理がありませんか~~~?
とも思っていたので、今回は、3騎士や邪美が親交を深めるためにも、
一緒に酒を飲めばいいんじゃな~い? というわけで、selfish が、
酒の席を設けさせていただきましたぁ!
ワイワイ楽しんで、あ~楽しかった、明日からまた仕事頑張ろうな~
で終わりのはずが、それだと、最後がうまく終わらせることができず、
迷走してたんですね、実は。
いろいろ迷って… 鋼牙をいい気分にさせて、普段は言わない気持ち
(あっ、妄想した感情ですが)を言わせちゃいました。
酒を飲んでるときくらい、いいかな~ って思ったのですが。
そんでもって、お決まりの空を見上げて… デス。 (笑)
どうですか?
コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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