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きんのまなざし ぎんのささやき

惑わされて(1)

とあるシーンの断片が浮かんできたので、そこを頼りに妄想開始!

いつものように、書けるところまで書いてアップするという自転車
操業です。
ゴールはあっちの方! という、滅茶苦茶いい加減な妄想の旅に
お供してくださる方いますか?


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鋼牙が元老院からの指令のために、しばらく家を空けることになった。

なんでも今度の指令は、ホラーを斬る、という単純なものではなく、
’菩提の森’ とかいう場所にある ’ダルクアロンのタネ’ という
ものを採取しに行くことらしい。

その ’菩提の森’ に行くには、魔戒道は使えず、とてつもなく
面倒なルートを通らなければならず、必然的に帰路もその面倒臭い
ルートで帰ってくることになるんだと言う。
しかも、肝心の ’ダルクアロンのタネ’ については、これまた、
詳しいことは知られていない希少種ってことで、現地に行って
採取しておしまい、というふうにはいかず、いろいろ調べながら
探していくことになるらしい。

どんなに幸運が続いたとしても、最短で1週間はかかるとのことで、

「すまないが、長期の不在を覚悟しておいてくれ」

と、鋼牙はあたしの頭に手をポンと乗せて言った。

勿論、鋼牙ならどんな難しい指令でも必ず果たし、あたしの元に
必ず無事に帰ってきてくれる、と信じている。



…信じているんだけど。



今回は少しだけ不安なことがあった。
それは、鋼牙とともにその指令にあたる魔戒法師の存在で…




鋼牙が旅立つ朝。
彼女は、ここ、北の管轄にある鋼牙の屋敷を訪ねてきた。
そう、その魔戒法師は女性だった。

彼女の名前は蒼穹(そら)。
華奢なタイプの女の子で、20歳を少し出たか… ってくらいの、
とにかくあたしよりはずっと若く見える法師だった。

鋼牙も実際に会ったのは初めてのようで、お互いに名乗り合い、
よろしくと挨拶を交わした。
蒼穹ちゃんは、黄金騎士牙狼の前で少し緊張している様子だったけど、
もともと落ち着いている子のようで、きちんと受け答えしていたので、
とてもしっかりした印象を持った。
でも…
そのときの蒼穹ちゃんを見つめる鋼牙の視線が、ちょっとばかり
胸騒ぎを覚えたんだよね…

(蒼穹ちゃんがかわいいから、そんな目で見てるの?)

鋼牙のことを信じているつもりだけど、自分の胸に沸き起こる
もやもやにはどうしようもできなかった。

あたしが知っている女性の魔戒法師っていったら、邪美さんと
烈花ちゃんのふたりだけなんだけど、そのどっちもとても綺麗で、
スタイルもバツグンだった。
でも、そのふたりにも負けず劣らず、蒼穹ちゃんもとっても綺麗…
魔戒法師になるには写真選考もあるのかな、なぁんて思うくらいだ。

蒼穹ちゃんは、漆黒の長く艶やかな髪と、長い睫に縁取られた黒い
潤んだ瞳を持ち、細くしなやかな手足は、透き通るように白かった。
なんというか、たおやかな大和撫子といった風情だ。

魔戒法師の出で立ちといって思い出すのは、邪美さん達のように
露出度の多い誘惑的な恰好なんだけど、蒼穹ちゃんはどうやら
慎み深い女性のようで、さほど露出はしていない。
でも、胸元や脇など、ところどころに入ったスリットからは、
陶磁器のような白い肌がチラリと見えて、それが同性のあたしさえ
ドキドキさせるくらい色っぽかった。
蒼穹ちゃんたらすごく華奢なのに、胸のほうはあたしよりずっと
立派なものを持っているみたい。
なんだか、そこにも引っ掛かりを感じてしまうのは、あたしの
ひがみだよね。

ところで、この蒼穹ちゃん。
邪美さん達とは決定的に違っていることがある。
そう、この子ったら、ぜんぜ~ん強そうに見えない!

邪美さん達は凛としていて、とっても ’強さ’ を感じさせる女性
なんだけど、蒼穹ちゃんは、ちょっとでも強い風が吹いたら、
ヨロヨロとよろけてしまいそうなくらいか弱そうなのだ。
下手したら、あたしのほうがよっぽど強く見えるほど…

こんな頼りにならなそうな魔戒法師で大丈夫なのかと心配していたら、
あとからゴンザさんに聞いた話によると、今回の指令で彼女が
起用されたのは、邪美さん達のような法術や体術といった腕前では
なくって、彼女の薬草に関する豊富な知識を必要としていたのだ
そうだ。

なんでも、薬草の知識と言えば、魔戒法師の中ではこの人の右に出る
者はいないって言われる、都葵(つき)という100歳近い法師がいる
らしい。
でも、この都葵ばあさんは高齢だから、とても今回の指令を頼めた
もんじゃない…
それじゃあ、ってことで、都葵ばあさんのひ孫で、秘蔵っ子でもある
蒼穹ちゃんに、今回は白羽の矢が立ったと、そういうことらしい。

か弱い法師をひとりで ’菩提の森’ に行かせるのは不安だからと、
その護衛役として鋼牙が任につくことになった…
そんなふうに、ゴンザさんはあたしに教えてくれた。



そんなこんなで、初めまして、という挨拶もそこそこに、鋼牙達は
’菩提の森’ へと旅立っていった。
この日は、薄く雲が立ち込めていて、今にも空から白いものが
降りてきそうな日だった。
段々遠ざかっていく長身の鋼牙と、それに遅れまいと小走りに
ついていく小柄な蒼穹の背中を、あたしはなんとも複雑な心境で
見送った。

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さて、鋼牙達はというと、3歩進んでは2歩下がるというような、
とにかく面倒な手順を踏みながら、旅立ちの日から3日かけて
ようやく ’菩提の森’ にたどり着くことができた。

鋼牙は、これまでに、カオルを救うために入った ’紅蓮の森’ や、
魔戒樹に取り込まれた邪美を救うために入った ’魔戒の森’ 、
レギュレイスにさらわれた鈴を救うために入った ’奈落の森’ など、
様々な危険な森に入ってきたが、この ’菩提の森’ は、これまでの
見るからに恐ろしげ森とは少しだけ趣きが違っていた。

ここには四季らしい四季はなく、豊富な地下水がこんこんと
湧き出る泉があり、一年中緑に覆われた美しい場所だった。
これまで人に荒らされることもなかったため、独自の進化を辿った
植物が鬱蒼と生い茂っていた。

暖かな日差しの中、一見すると、この森に危険なものは感じない。
ザルバですら、怪しい気配を微塵も感じられなかった。

鋼牙の見たこともないような多種多様な植物が自生していて、
その多くは人間に役立つ、とてもよい薬草となった。
つまり、魔戒法師が喉から手が出るほどの宝の山だと言える。
だが、その反面、とてつもない猛毒を含む毒草もまた、ごく普通に
自生しているのだ。
そのため、ありとあらゆる植物に関する知識がないと、下手を
すると、森に一歩足を踏み入れた時点でお陀仏にもなりかねない。
この ’菩提の森’ には、ホラーなどとは違った、そういう怖さが
あったのだ。

森に入るまでの長い道程では、鋼牙に置いて行かれないよう必死に
歩いてきた蒼穹だったが、1歩森に入ると、嬉々として、鋼牙の
先を歩くようになった。

「鋼牙さん、その左手にある白い花の植物には近づかないでください」

「そっちの大きな葉っぱの植物には触れないで!」

「あの木陰に生えているキノコの胞子は危険です。
 迂回しましょう、鋼牙さん」

鋼牙にとっては区別がつかない植物を、蒼穹は、ちらっと見ただけで
判別し、落ち着いた口調で的確に安全な進行方向を指示していく。

『これじゃあ、100m進むのも一苦労だな』

鋼牙の左手からつぶやきが漏れた。

「仕方がない。
 そうしないと、我々の身が危ないんだからな」

『やれやれ。
 この役目をもし零が受けてたら、とてもじゃないが、我慢ならない
 だろうな…』

「さぁな」

鋼牙とザルバの会話がひとしきり交わされた後、

「鋼牙さん、滝が見えてきました。
 あれが、’甘露の滝’ のようです」

と、蒼穹が前方を指差して、振り返りながら言った。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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