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きんのまなざし ぎんのささやき

惑わされて(2)

「ゴールはあっちの方」で始まった妄想は、てっきりシリアスに
展開していくものと思っていましたが、なんだか路線変更かも?

大丈夫かな… あはは(←笑ってていいんかいっ!)


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鋼牙達が旅立って数日が経ったある日、あたしとゴンザさんは、

「鋼牙達が ’菩提の森’ に入った」

と知ることになった。

いつもなら、鋼牙が指令で出かけた先の状況なんかは、ほとんど
情報が入ってこない。
だけど、今回は、蒼穹ちゃんが都葵ばあさんの大事な後継という
こともあって、家族がすっごく心配しているらしく、定期的に
状況を知らせるという取り決めが元老院と家族との間で交わされた
らしい。

勿論、こちら側にはそういう取り決めなどあるわけもなかったが、
今回は、グレス様という偉~い神官の特別な計らいで、こっちにも
情報がいくらか入ってくることになった… と、レオくんからの
話では、そういうことらしい。




鋼牙達が旅立って1週間が経過した頃、レオくんが屋敷を訪れた。

「カオルさん。
 鋼牙さん達は、’甘露の滝’ にたどり着いたようです」

「’甘露の滝’ って?」

聞き慣れない言葉に、思わずそう問い返した。

「’甘露の滝’ というのは、’菩提の森’ にある滝の名です。
 ’菩提の森’ に着いたら、まず最初に行かなければならない場所
 なんです。

 そうですねぇ
 今回の指令を果たすうえでの第1チェックポイント、といった
 ところでしょうか」

レオくんが、あたしにもよくわかるように簡単に説明してくれた。

「ふぅん、そうなんだ…」

「’甘露の滝’ の水が、’ダルクアロンの種’ を得るために、必要に
 なるらしいんです。

 ’甘露’ というだけあって、その滝の水は、お酒のようにとても
 おいしいそうですよ」

「へぇ~
 それは、ちょっと飲んでみたいね?」

レオにそう言いながら、あたしは頭の中で、その滝にたどりついた
鋼牙達の姿を想像しだした。





「鋼牙さん、おひとつどうですか?」

蒼穹はそう言いながら、ひょうたん型の徳利を手にして、鋼牙に
しなだれかかってきた。
蒼穹の流し目が妙に色っぽい。

「…もらおう」

鋼牙の手にした杯(さかずき)に、蒼穹は ’甘露の滝’ の水を
満たしていく。
その杯を鼻先に持ってくると、まず、その芳香を味わった。
確かに、酒のような甘い匂いが微かに鼻腔をくすぐった。
鋼牙は、クイっと杯を傾け、一息にその甘露な液体を喉に流し
込んだ。

「これは…」

想像以上の美味さに、鋼牙は驚いたように空っぽになった杯を見た。
蒼穹はのその空いた杯に、再び酌をする。
二杯三杯と飲むうちに、鋼牙は段々と気持ちよくなってきた。
鋼牙が何杯目かの酌を受けたとき、並々と注がれた杯を蒼穹のほうに
突き出した。

「おまえもどうだ?」

鋼牙がまっすぐ蒼穹を見て、尋ねた。

「はい。
 でも、私はお酒があまり飲めなくて…」

蒼穹は伏し目がちに返事をして、杯を受け取るかどうか、迷うような
素振りを見せた。
すると、鋼牙は杯の液体を口に含んだかと思うと、蒼穹を荒々しく
抱き寄せて、口移しに流し込んだ。

「んぐ…」

蒼穹の飲みきれない液体が、口の端からキラキラとこぼれ落ちる。

鋼牙が一度、蒼穹の唇から離れて、蒼穹を見た。
いきなりのことに理解が出来ないためか、あるいは、甘露な水に
酔ったからか、蒼穹はぽぉ~っとした表情で鋼牙を見返していた。

「今度は、おまえに酔ってみたいんだが…」

そう言うと、鋼牙は蒼穹にゆっくりと覆いかぶさっていき…





(だめ!
 だめだめ!
 そんなのだめだよぉ~!)

想像がすごい方向にエスカレートしていきそうなところで、あたしは
ハッとした。
すると、レオくんが心配そうに覗き込んでいるのが見えた。

「カオルさん?
 どうかしましたか?」

レオくんに、あたしの想像を覗き込まれたような気がして、あたしは
赤くなって慌てて手を振った。

「な、なんでもないの!
 気にしないで!」

レオくんは、訝(いぶか)しげではあったが、

「そうですか…」

と引き下がってくれた。

(よかった…)

あたしがほっとしていると、レオくんは話の先を続けた。

「それで、この ’甘露の滝’ なんですが…

 実は、第1チェックポイントってだけでなく、最初の試練でも
 あるんです」

「試練?」

「えぇ。
 ’甘露の滝’ の水を手に入れたら、今度はその滝を登っていかないと
 いけないのです。

 滝のすぐ脇を登っていかないといけないので、濡れて滑りやすく
 なってるし、滝からの冷たい飛沫(しぶき)がかかって凍えるしで、
 とても大変なんです」

頭の中で、滝のすぐ横を登っていく鋼牙と蒼穹ちゃんの姿を想像する。

「びしょ濡れになっちゃうよね?」

「えぇ、そうですね…」

レオくんも、ふたりのことを思ってだろう、気の毒そうな顔で大きく
うなずいた。

(蒼穹ちゃん、可愛そう。
 びしょ濡れだなんて…

 あ、やだ。
 また、変なこと考えちゃう…)





‘甘露の滝‘ を登る間中、鋼牙は蒼穹を献身的にサポートした。
当初から体力的にいささか不安のあった蒼穹だったが、少し時間は
かかったものの、なんとか無事に滝を登りきることができた。


「はぁ、はぁ…
 鋼牙さん、ありがとうございます。
 なんとか登れました」

すっかりびしょ濡れになった蒼穹は、顔に張り付いた濡れた髪を
指で横にやりながら、嬉しそうな顔を鋼牙に見せた。

「よく頑張ったな。
 だが、このままじゃ風邪を引いてしまう…

 火を起こして、髪や服を乾かした方がいい」

1年中温暖だとは言え、確かにこのままではまずい。

確かに冷たい滝の飛沫を浴びて、ふたりの服はぴったりと身体に張り
付いていた。
蒼穹の細い肩やウエストがくっきりわかり、それと同時に、胸や
ヒップラインが予想以上に立派なことも鋼牙の目についてしまう。

サヤサヤと風が吹くと、蒼穹は寒そうに自分の身体を抱いた。
そのポーズは、よりバストを強調して目の毒だ。

そこで、ふたりは手分けをしてその辺の小枝を拾い集め、火をおこす
ことにした。
やがて、パチパチと勢いよく炎が燃えだした。
それを見て、鋼牙は白いコートを脱ぎ、黒い戦闘服にも手を掛けた。
ふと、その手を止めて、鋼牙は蒼穹に声を掛けた。

「どうした? 脱がないのか?」

「…でも」

恥ずかしそうに俯く蒼穹を見て、鋼牙は蒼穹の顎に手をかけて上を
向かせた。

「なんなら俺が脱がせてやってもいい。
 そして、お互いを温め合えばいいだろ?」

鋼牙の熱いまなざしにトロンとなった蒼穹は、こくんとうなずいた。
すると、鋼牙の手が蒼穹の背中のファスナーに手がかかり、ゆっくり
下ろされた。

 ジ、ジ、ジ…





(いぃやぁぁぁ!
 それ以上はだめぇぇぇ!)

あたしは思わず頭を抱えて、目をぎゅうっと閉じた。

「あの… カオルさん?
 ほんとに大丈夫ですか?」

レオくんが、心配を通り越して、不安げな顔で見つめている。

「へ?
 あ、あぁ。
 な、なんでもない。
 うん、大丈夫だから…」

あたしの様子があまりに変だったので、レオくんは少し勘違いした
みたいに、こう言った。

「カオルさん。
 鋼牙さんが心配でちゃんと寝てないんじゃないですか?
 僕はすぐに帰りますから、ゆっくり休んだほうがいいですよ?」

そんなふうに言うと、レオくんは本当にさっさと帰ってしまった。




to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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