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きんのまなざし ぎんのささやき

王子に逢いに!(7)

うちの王子ったら、また性懲りもなく、やらかしましたよ~

そんな不器用な王子がかわいくてかわいくてしょうがないんだなぁ…

さぁ、今夜の王子はどうでしょうか?
やきもきしているよいこのみんな、今夜のお話始まるよ!

よろしければ、続きをど~ぞ!




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

王子の言葉に慌ただしく辞去の挨拶を残して、カオルンが出て行きました。

「あぁ、カオルン様ぁ~」

ゴーザンが慌てて追いかけようとしますが、あいたたた… と、腰を
押さえて壁にすがりついてしまいました。

「レイ様、カオルン様を追ってください!」

涙の滲む目で、ゴーザンはレイに懇願しました。
ですが、レイは少しも慌てていませんでした。

「ゴーザン、もうちょっとだけ様子を見てみないか?」

小声でそう言うと、ゴーザンに手を貸して支えてやりました。
ゴーザンはいぶかりながらも、自分ではどうすることもできないので、
レイの言葉に黙って従いました。

すると、バルザが、溜め息交じりに口を開きました。

『おい、コーガ。
 お前はどうしてそうなんだ?

 いいか? よく聞けよ。

 お前が小さいときに、ミツッキー国のプリンセスと遊んだのを
 覚えているか?』

「あぁ…

 それがどうした?」

バルザに問い返しながら、王子は幼い日のことを思い出していた。

あのとき一緒に遊んだ王女は、自分より2つ3つ年下で、臆病なくせに
自分の後ろを必死についてくる様子が、とても愛らしかったことを。
1日限り、それもたった数時間だけ共に遊んだ、初恋と呼ぶにはあまりに
儚い、かわいい思い出でした。
その後、ミツッキー国は国王が亡くなり、隣国に攻め込まれてしまい、
幼い王女の行方も判らなくなってしまったと、王子は父王に聞いたことが
あります。

『あのお嬢さんが、そのプリンセスなんだよ』

「なんだと?」

バルザの言葉に、王子は驚きました。

『この先、お前があの娘をどう想い、あの娘がお前をどう想うことに
 なるのかなんて、そんなことは俺様の知ったこっちゃない。

 だが、少なくとも、お前は幼い頃からミツッキー国のプリンセスのことを
 えらく気にかけてたんではなかったか?』

バルザの言葉を聞いて考え込んだ王子は、すぐに心を決めました。

「客人!
 すまないが、ちょっと出掛けるっ」

そう言うが早いか、脱兎のごとく駆け出しました。

「俺たちのことは気にすんな!
 しっかり、捉まえて来いよ!」

レイが王子の背に叫び返しました。
そして、ゴーザンを振り返ると、ウィンクしながら言いました。

「ねっ? 様子を見といて正解だったろ?」

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

王子は、カオルンを追いかけて、庭を抜け門のほうへと駆けました。
門のところで、門番に口早に尋ねます。

「おいっ!
 ここを若い娘が通らなかったか?」

「こっ、これは、コーガ様!
 とうとう、お目覚めになったのですか?」

王子の姿を見て、門番は目をまるくしました。

「そんなことはどうでもいいっ!
 娘が通ったかと聞いているんだ!」

王子のものすごい剣幕に、門番は飛び上がらんばかりでしたが、
カクカクと首を縦に振りながら答えました。

「は、はい!
 王子を助けに来たという娘が、少し前に通っていきました!」

「その娘はどっちに行った?」

「町とは反対のほうへ… あちらでございます!」

王子は門番の言葉をみなまで聞かずに駆け出そうとしました。
そのとき、馬のいななきが聞こえ、馬番の叫ぶような声がしました。

「待てっ、ゴーテ!
 だっ、誰か、その馬を捕まえてくれぇ~
 待つんだ、ゴーテぇぇぇ~」

王子と門番が振り返ると、とても美しい馬が、こちらに目がけて
駆けてくるではないですか!
その馬は、王子の目の前に来ると、静かに立ち止りました。
王子は、馬の鼻先を優しく撫でながら、馬を見つめていました。
門番には、王子と馬が無言で会話しているように見えました。

「よし、お前に乗せてくれ、ゴーテ!」

王子はそう言ってゴーテにヒラリとまたがると、カオルンの
走り去った方角へとゴーテの鼻先を向けました。

王子を乗せたゴーテは風のように駆け、ほどなくしてカオルンの姿を
捉えることができました。
彼女は道の脇に広がるなだらかな丘の上に、こちらに背を向けて
ペタリと座り込んでいました。

王子はゴーテの手綱を引いて歩みを止めると、そばの木の枝に手綱を
絡めました。
そして、カオルンの背に向かって、その丘をゆっくりと登っていきました。


カオルンは静かに静かに泣いていました。


王子はそのことに気付くと、眉間にしわを寄せました。
それは、カオルンに対してというより、彼女を泣かせてしまった自分を
嫌悪してのことでした。
王子はカオルの近くまで来て立ち止まると、声をかけました。

「おい…」

後ろから王子に声をかけられたカオルンがびくんと身体を揺らし、
ゆっくりと振り返ります。
そして、声をかけたのが王子だと解ると、慌てて立ち上がり、頬の涙を
ごしごしと手の甲で拭(ぬぐ)いました。

「あの…
 なぜ、ここに?」

カオルンは、やや不安そうに潤んだ大きな瞳を向けて尋ねました。
王子は、カオルンの顔をしげしげと見ました。
それは、ずいぶん昔のことでほとんど覚えてなどいないプリンセスの
面影を探そうとしていたのでした。

王子の様子に不安になりつつも、カオルンは思い切って尋ねました。

「あたしに何かご用ですか?」

少し強い調子のカオルンの声に、王子はハッとしてから言いました。

「いや…

 あっ、違うな。
 お前に用はある。 うん、確かにある」

王子のよく解らない返事に、カオルは首をかしげた。
王子は慌てて、言葉を付け足した。

「俺は、お前に聞きたいことがあるんだ」

「何を?」

「何って…  その…

 今すぐには思いつかない!
 …だが、お前の話を聞かせてほしいんだ」

「あたしの話? …どんな?」

どうにも訳のわからないカオルンは、質問を繰り返します。
自分の思うことを十分に言葉にできない王子は、だんだん焦れてきました。

「うるさい!
 黙って一緒に帰ればいいんだ!」

「うるさいとは何よ!
 それに、帰る って…
 あたしには帰るとこなんてありませんから!」

声を荒げる王子に、カオルンも負けじと叫びます。

「…」

しばらく、無言で睨み合っていましたが、王子の左手から声がしました。

『まったく、コーガ、お前ときたら…』

そう言うとバルザの大きな溜め息が漏れてきました。
その声に、王子は左手を持ち上げます。
すると、バルザはカオルンに話しかけました。

『悪いな、カオルン。
 こいつは、レディの扱いには慣れていないんだ、許してやってくれ』

カオルンは、王子を気にしながらも、バルザに顔を近づけて聞きました。

「ねぇ。
 この王子はいつもこんな感じなの?」

『まぁ、そう言うな。
 悪いヤツではないんだが…

 とにかく、城に戻って、もう少しお互いに理解し合った方がいいと
 俺は思うぞ! なっ?』

「バルザがそう言うなら…」

カオルンはチラリと王子の顔を見ました。
王子はカオルンとバルザの話を聞きながら憮然としていましたが、
とにかく、カオルンが城に戻る気になったので、王子は穏やかに
話し始めました。

「お前を傷つけたようで悪かった。

 だが、女のことを考える余裕がないのは事実だ。
 そのことには変わりはない…」

それを聞いて、カオルンは抗議の声をあげようとしましたが、
王子はそれを手で制して、話を続けました。

「だが、お前のことは別だ。
 俺はお前のことがもっと知りたい。
 だから、一緒に城に戻ってくれないか?」

そう言った王子の顔は心なしか上気し、視線が泳いでいることに
カオルンは気付きました。
そんな王子を見て、カオルンは落ち着きを取り戻しました。
そして、クスッと笑って答えました。

「解りました。
 あたしも、もう少し、あなたのことが知りたくなりましたから…」

こうして、王子はカオルンと共にゴーテに乗り、城に戻りました。
城に戻る道すがら、手綱を握る王子の胸の鼓動と、その王子に
寄り添うカオルンの鼓動は競い合うように高鳴り続けました。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

その後…

ゴーザンは希望どおり王子に生涯仕え、有能な腕を存分に発揮しました。

レイと王子は、互いにその腕前を認めて、良き剣友となりました。
ただし、レイは時折サエジーマ国を飛び出して気ままに諸国を巡っては、
剣の腕を磨く人生を送りました。

そして、王子は、父王亡き後、立派な王となり、サエジーマ国を一層
豊かによく治めました。
天使のように愛らしいお子にも恵まれ、サエジーマ国はその後も
ずっとず~っと栄えました。

しかし、コーガ王にとって一番のしあわせは、美しく朗らかな妃が
いつまでもそばに寄り添ってくれたことでした。


めでたし、めでたし!


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


最後はちょっと駆け足になりましたが、もう夜も更けたことだし、
よいこはそろそろ寝なさ~~~い! ってことで。 (笑)

城に戻ってからのことも妄想すると面白いでしょうが、今は
妄想脳が真っ白なので、機会があれば(そして要望があれば)
また今度ということで…

ふわぁ~あ~
さぁ、もう寝ますよ? お休みなさい…
この続きは夢の中でどうぞ!

拍手[35回]

コメント
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やっぱり
相変わらずの更新の早さ、羨ましいです。
今回のお話は、「THEファンタジー」な感じですね。鋼牙王子…。フフフ、良いですね。確かに南瓜パンツに白タイツは勘弁願いたいですが、鋼牙に高貴な雰囲気はピッタリですね。

そうそう!映画、観てきました。
…う~ん、やっぱり突っ込み所はアチコチありました。
零くんとの関係性を表現する為に、あのエンディングは解ります。(小西さんの希望でもあった様ですし)
他の突っ込み所を譲るにしても、ラストにチラッとでもカオルを出して、TVシリーズのエンディングに繋げて欲しかったなぁ~って気持ちは、ありますねぇ。

ど、どう思われます?
URL 2013/03/07(Thu)13:55:24 編集
Re:やっぱり
いやいや、茅様、勢いだけでは駄目ですぜぃ!
クオリティが全然なっちゃいませんぜぃ…
(自分で言ってて哀しくなる 涙)

「高貴な雰囲気」ですか…
selfish は「いばらのチクチク」と「鋼牙の人を寄せ付けないチクチク」を掛け合わせてみました。
(…な~んてのはウソです! ↑これは今考えました!)

おっ!
とうとう映画を観ましたかぁ!
selfish がどう思ったか、そろそろ書いてもいいですか?
このサイト、基本的に、
  1.勝手に妄想しちゃいました
  2.拍手コメントありがとう
の2つしかカテゴリーがないので、新しくカテゴリーを作らないと…
【2013/03/08 08:32】
無題
王子に逢いに、完結ご苦労さまでした、。カオル鋼牙、ワールド全開有り難うございます、映画の開催、も終わり、新たな牙狼も近かじか始まる
とのこと、冴島鋼牙の終焉がひしひしとちかずいてきています、3月23日この日が本当に鋼牙、零、(カオルは夜は出ないみたい)の見納めしかし二次小説は不滅ですよね、前回のwowo、みぞこねたので、カレンダーに丸つけて、ビデオを撮るぞ、撮る
かなまま 2013/03/09(Sat)23:18:18 編集
Re:無題
冴島鋼牙の終焉…
うわぁ~ん! それは言わないで、かなまま様~~~
そういう現実からは、ぷいっと顔を背けて生きていきますから、selfish は…
今のところ、 selfish は、なんだかんだと妄想し続けているので、かなまま様にも、もうしばらくお付き合いいただけると嬉しいな~ なんて思っていますよ。
ファミリー劇場では、魔戒ノ宴を放送するみたいですし、録画予約をお忘れなく!

新生牙狼もそうですが、邪美と烈花のスピンオフもあるようですし、(鋼牙はともかく)牙狼を楽しむチャンスはまだまだありそうですね!
【2013/03/10 00:43】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



tomy 様[07/27]
麗羽 様[08/23]
夕月 様[12/22]
夕月 様[07/15]
夕月 様[07/14]
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