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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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王子に逢いに!(4)

あぁ、昨日は公開しなくて、すいませんでした。
無性に眠くて…


こんなお伽噺のような妄想を書いていると、小さな子供に

「眠るまでだよ?」

って約束して、お話を話して聞かせるお母さんの気持ちになるのですよ…

そして、話している自分のほうが眠たくなるってパターンです。 (苦笑)


そんでもって、子どものほうは面白くなってしまって

「ねぇ、ママ、寝ないで!
 続きはどうなるの?」

っていうパターンになったなら、ママはしあわせ… かな?


それじゃ、今宵も「眠るまで」ね?



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

いばらはまだ目の前に生い茂っているというのに、ゴーザンが腰を痛めて
しまったので、これ以上前に進むことは難しくなりました。

そのとき、レイは、カオルンの手に持つものに目を留めて尋ねました。

「ねっ、それ、何持ってんの?」

「あっ、これ?」

カオルンは、持っていた紙袋を少し持ち上げて答えます。

「ほら、昨日、あたしが作ったお菓子があったじゃない?
 食べて!ってみんなに勧めたのに、誰も食べてくれなかった、アレ…」

ちょっと恨めしそうな目で、カオルンはレイを睨みます。
レイは片方の眉だけを器用にあげて、肩を少しすくませました。

「あたしはやることなくて、何しようかなぁって考えてたら、
 そうだ、あのお菓子!
 た~くさんあるから食べないともったいないよねぇ~って
 思い出して…
 いばらを相手に頑張ってるふたりには悪いなぁ、とは思ったんだけど、
 ちょっと食べてようかなぁと思って取り出してみたの…

 あっ、よかったら、レイくん食べる?」

カオルンは手の中の袋からお菓子(には見えない、見るからに硬そうな
濃緑色の物体)をひとつ無造作につまみ出すと、レイのほうにぐいっと
差し出しました。

「い、いや… 俺、お腹いっぱいだから、今はとても食べらんないよ…」

レイは慌てて両手を前に突き出して、カオルンの手を押し返します。

「そんなこと言わずに…」

カオルンも対抗するようにお菓子をぐいぐいレイの手に押しつけます。
が、レイも必死にそれを押し戻そうとしました。
そんな激しい(?)攻防のさなか、お菓子(とカオルンが主張する物体)
が、カオルンの手から転がり落ちてしまいました。

「あ~っ」

慌てて手を泳がせますが、お菓子はカオルンの手を離れて、いばらの
茂みのほうにコロコロと転がっていきました。

「もう、レイくんったら!
 食べられなくなっちゃったじゃないのよぉ~」

カオルンはプンプンと頬を膨らませます。

「ごめん、ごめん…」

レイは慌てて謝りますが、内心、ほっとしていたのは言うまでも
ありません。
カオルンに謝りながらも、レイは、転がっていくお菓子の行方を、
何気なく目で追っていました。

「…おやっ?」

レイは、少し奇妙な現象に気付きました。

「ねっ、あれを見てよ」

レイが指差す方向に、カオルンとゴーザンは目を向けます。

そこには、カオルンのお菓子が転がっていたのですが、なんと、周りの
いばらがドロドロと溶けるように枯れていっているではありませんか!

「それには、いったい何が入ってるの?
 強力な毒薬とか、除草剤とか?」

レイは、冗談でもなんでもなく、ひどく真面目な顔で聞きました。

「ひっど~い!
 そんなもの、入・れ・て・ま・せ・ん!」

レイの言葉に真っ赤になって怒りだすカオルン。

「まぁまぁ、おふたりとも…」

腰をさすりながら、ゴーザンがなだめます。
そして、何かに気付いたように、はっとすると、大慌てでこう言いました。

「カ、カオルン様!
 それをいばらに向かってバラ撒いてみるのはいかがでしょう?
 うまくすると、レイ様に汗をかかせることなく先に進めるやもしれません!」

ゴーザンの言葉に、レイも乗っかります。

「おっ、それって、いいじゃん!
 ねっ、やってみようよ!」

「そ、そうかなぁ」

ふたりにそう言われて、半信半疑ながらも、カオルンはいばらの茂みの
前に立ち、試しに袋から取り出したお菓子をひとつ、1mほど向こうの
茂みの中にぽ~んと投げ入れました。
すると、いばらは、根元の方からどんどん色が変わり、崩れるように
蔓が地面に倒れたかと思うと、みるみるうちに溶けてしまいました。

「やったぁ、カオルン!
 その調子でどんどん頼むよ!」

レイはそう言うと、ゴーザンに肩を貸して抱き起こしました。

「…なんか、すっごく複雑な心境なんですけど!」

カオルンは面白くなさそうな顔をして、それでも、ひとつ、またひとつと、
除草剤(ではなくお菓子)を投げながら、いばらを枯らしていきました。

たくさんあったお菓子もそろそろ底をつきかけたとき、いばらの茂みを
抜けることに成功しました。

「よぉ~し、とうとう抜けたな!」

「カオルン様のお蔭ですな」

口々に褒められたカオルンは、

「そんなことないよ。
 レイくんもゴーザンさんも頑張ったじゃない?
 あたしなんて、汗をかくようなことなんてひとつもしてないし…」

喜びつつも、複雑な笑顔を返しました。

「とにかく、俺たちはいばらの茂みを抜けられたんだ。
 あそこに見えるあの扉を開けたら、俺たちがずっと探し求めていた
 ヤツがいる。
 早く、会いに行こうぜ!」

レイはそう言って、カオルンに先に進むよう促した。
そして、肩を貸しているゴーザンに向かっって話しかけました。

「ねっ?
 こういうときってさ、やっぱお姫様のキスで目覚めるのかな?」

レイは、悪戯っ子のように瞳をキラキラさせて言いました。

「もう、レイくんったら何言ってんの?
 そんなわけないじゃん!」

カオルンは、顔を赤くしつつ否定しました。

「でも、もし、どうやっても王子が目覚めないようでしたら、
 そのときは、カオルン様、お願いしますよ?」

ゴーザンは、ひどく真面目にカオルに向かって頼みました。

「そんな、ゴーザンさんまで…
 んもう、知らない!」

カオルンは恥ずかしそうにそっぽを向きました。
そんなやりとりを、レイはニヤニヤしながら聞いていました。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルン達3人は、王子の部屋のドアの前にたどりつきました。
カオルンが緊張した面持ちで、ゴーザンとレイを振り返ります。

「開けるよ? い~い?」

カオルンの問いかけに、それまでニコニコしていたレイの顔が、
スッと真剣な表情に変わりました。

「待って、カオルン!」

レイは、鋭い調子で、カオルンを制止しました。


to be continued(5へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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