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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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目指せ! 牙狼クイズ王~(5)

得点が1万点の最終問題! (;^ω^) ははは…
ゴンザさん、零くん、邪美姐さんは勝手にふたりでやってくれーい、ってなもんでしょうが…
はてさて、どうなりますか?


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

いよいよ最終問題の回答だ。
ここで、ドラムロール…

「ジャカジャカジャカジャカジャカ…」

と両手にマイクを握りしめて、至極まじめな面持ちで鈴が口ずさむ。

  ズコッ

緊迫の瞬間に、ゴンザと零と邪美が大袈裟にずっこけているシーンがカメラによって映し出される。

が、それを尻目に、鋼牙が口元を手で覆いながらカオルの耳に近づき、カオルのほうは緊張の面持ちで、鋼牙のほうに耳を近づけた。

やがて、鈴がひと際声を張って

「ジャンッ!」

と口頭ドラムロールを終わらせると、すかさずレオが鋼牙に

「さあ、鋼牙さん。絵本の最後のページに描かれたものは何っ!」

と答えを促した。

カオルの耳に、鋼牙がすうっと息を吸う音が聞こえ、カオルは無意識にごくりと唾を飲み込んだ。

「…」

声よりも先に、鋼牙の熱い息が耳に掛かり、ふるっと小さく身体が震える。
やがて、ベルベットのような声が、そっと囁かれた。

「…ただいま」

(えっ?)

カオルの目が大きく見開かれ、思わず鋼牙の顔を見ると、とても優しい目をした鋼牙がカオルをじっと見ていた。
その視線の交錯は、瞬時にして、彼ら以外の存在をすべて消し去ってしまっていた。

だが、それもわずかな時間だった。
驚いたように鋼牙を見たまま固まっているカオルを不思議に思ったレオの

「ど、どうしました、カオルさん?」

と遠慮がちな声に、カオルはハッとしてレオを見た。

「鋼牙さんの回答は、正解でいいですか?」

首をかしげてそう尋ねるレオに、カオルは、

「あ… えっと…」

とまだ混乱しているような状態だった。



鋼牙に回答を耳打ちされたとき、てっきり、ページに描かれている絵の内容を言われるものだと思ったカオルは、それとは全然違う鋼牙の言葉に戸惑っていた。
振り返って見れば、鋼牙にあの絵本を贈ってからは、特にあの最後のページについてふたりで会話をしたことはなかった。
それは、すぐにふたりが離れ離れになったこともあるし、再会してからも、特にカオルのほうが照れくさくて、そのことに触れようとしていなかったからであった。
あのページを見て、鋼牙がどう感じたのか、何を思ったのかをカオルは聞いたことはなかった。

カオルがあのページに絵として形にしたものは…
カオルがホラーの返り血を浴びてから、バラゴによるメシア復活を阻止されるまでの間、鋼牙のそばにいて、ホラーと闘う彼の姿を間近で見ていたカオルが感じたこと、そして、鋼牙に伝えたかったこと。

その絵について、「何が描かれていたか?」という問いに鋼牙が出した言葉が、「ただいま」だとは…



「あの… もう1回、鋼牙に答えを聞いてもいいかな、レオくん?」

カオルはレオにそう問いかけながら、鋼牙にもチラリと視線を送る。

「あ、よく聞こえなかったんですね? ええ、いいですよ。
 鋼牙さんもいいですか?」

レオはニッコリ笑いながら、鋼牙にも確認する。

「ああ…」

言葉少なに了承の意を伝えた鋼牙は、再び、カオルの耳に近づき、カオルも鋼牙の声に集中するように、目を閉じて軽く深呼吸をした。
ただ、今度は先程と少し違っていた。
鋼牙の口元を覆う手とは反対側の手がカオルの肩に回り、そっと抱き寄せていた。
そして、耳を食(は)むようにしながら、あの言葉が囁(ささや)かれた。

「ただいま… カオル」

その言葉がじわっとカオルに浸透し、泣きそうに眉が下がるのとは反対にカオルの口角がしあわせそうにあがった。そして、言い終えた鋼牙がカオルの耳から離れていこうとしたとき、今度はカオルが鋼牙の腕を引いて、その耳に内緒話をするように両手で口元を覆い、近づいた。

「おかえり…
 これからもずっと、ずーーーっと鋼牙の帰りを待ってるからね?」

すると、今度は鋼牙の目が見開かれ、すぐに何とも言えない穏やかな表情に変わる。





「あのぉ… カオルさん。答えの方はどうだったでしょうか?
 正解ってことで、いいですか?」

なんだかとってもいいムードのふたりに、そぉぉぉっと窺うようにレオが声を掛ける。

「あ…」

と小さく言ったカオルが、少し顔を赤らめながら、

「はい、正解です」

と答えた。
それを聞いたレオは、心底ほっとしたような笑みを浮かべた。
そして、いよいよ最後の見せ場。

「最終問題は、鋼牙さん、大正解っ!
 それでは、1万点が鋼牙さんに入り、初代牙狼クイズ王は…」

と高らかに優勝者の名を発表しようとした。
が、それを遮る不穏な声が…



「…帰る」

低い声が、レオの一世一代の見せ場をぶったぎった。

「え? え? 鋼牙さ… ん?」

非常に困惑しながらレオが声のしたほうに顔を向けると、鋼牙がカオルの手を掴んで立ち上がったところだった。

「あ、あの、あともうちょっとで終わりなんで…
 そうだ! 賞品があるんですよ。それを受け取っていただかないと…」

慌てて引き留めようとするレオに、鋼牙は再び

「か・え・るっ」

と強く宣言した。
そして、有無を言わさぬ勢いでカオルを連れて歩きだしていた。

「やっ… ちょっ… 鋼牙さぁぁぁん!」

カメラは、鋼牙に追いすがろうとしたレオに、おろおろするばかりの鈴を映し出す。
そして、少し大仰に手を広げて肩を竦めて見せる零や、こめかみを抑えながら口元に薄い笑みを浮かべつつ溜め息をつく邪美。
そして、このうえもなくニコニコ顔のゴンザが順番に映し出された。



to be continued(6へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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