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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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最近の’お礼’

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籠る姫(4)

うわぁ、また謝らなければ…

ごめんなさい!
甘いのは読むのは好きなんだけど、書くのは不得手なので…

「籠る姫(3)」からヒートアップすることを期待されたみなさん、
世の中(= 当サイト)そんなに甘くはないです!  (苦笑)



拍手[26回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルンの意識は白く靄(もや)がかかったような中にありました。
そこは、とてつもない解放感と陶酔感とで、考えることすら放棄したくなる
ような居心地のよさです。
頭の芯がぽぉっと熱くなり、そこにいつまでもいたい! と、そう願わずには
いられないようなところでした。

そんな白い靄に、すっと風が吹き抜けました。

(…?)

浅い眠りを起こされたときのように、カオルンの意識が外へと向かいました。
すると、そこには、僅かですが力強い光が見えたのです。
手を伸ばすような感覚でカオルンの意識が光へと向かいます。

ふっとカオルの意識が戻りました。
驚くほど目の前に王子の顔があります。
そう、それはまるで、キスでもしていたかというくらいに。

(えっ、何…? 王子…?)

カオルンが驚き過ぎて声も出ないでいると、すかさず王子は立ち上がり、
イーゼルを手に持つと、足早にバスルームへと向かいました。

王子の手の中で、イーゼルがガチャガチャと音を立てます。

「ちょ… それ…」

カオルンも慌ててよろめきながらも立ち上がり、王子の後を追います。

カオルンがバスルームまで来たとき、王子はバスタブを見下ろしていました。

バスタブの中にはイーゼルが置かれていましたが、不気味なことに、
ひとりでに動いています。

その様子は、カオルには、震えているようにも足掻いているようにも
見えました。

「やだ、何これっ?」

カオルの反応は先程とはまったく違い、正気のようでした。

『おい、コーガ。
 カオルンは、イーゼルを目の前にしても大丈夫なようだぜ?
 どうやら、こいつの力は距離だけじゃなく、このバスルームの何かに
 よっても効力失うみたいだな』

「…」

鋼牙は少し考えた後、手近にあった洗面台の蛇口をひねってみました。
すると、どうしたことでしょう!
バスタブの中で、イーゼルの動きは一層ガタガタと激しくなりました。

『はは~ん、ヤツの弱点は水か…  なるほどな』

ひどく納得したようにバルザが呟いた。

「そういうことのようだ」

王子はバルザの言葉に同意しながら、きゅっと蛇口を閉めました。

そのとき、

「あのぉ…」

とカオルンが遠慮がちに声をかけてきました。

「そのイーゼル、何なんですか?」

カオルンは、その場の状況を飲み込めないでいました。
王子は、バルザと目を合わすと、カオルンに向けてバルザを突きつけました。
今までの経緯をカオルンに話してやれ、ということなのでしょう。
その意を汲んだバルザは、カオルンを相手に、今までの簡単な経緯を手短に
話してやりました。


『…と、こういうことだ。
 解ったか、カオルン?』

バルザは説明を終え、カオルンに話しかけます。

「う、うん…」

カオルンはまだ混乱する頭の中を必死に整理しているみたいでした。
そんなカオルンに王子が尋ねます。

「あのイーゼルはどこで手に入れたんだ?」

「あれは…

 あたし、絵を描こうと思って、この街の古道具屋さんで見つけて
 購入したものです。
 そう言えば、このイーゼルを買うときのお店の人、なんだか様子が
 おかしかったかも…」

カオルンはそのときの様子を思い出しながら答えました。

『恐らく、その店のヤツもこいつに操られていたのかもな…』

バルザが得心したように言います。

「なんでそんな怪しげなものを買ったんだ」

王子は少し厳しい口調で尋ねます。

「だって!」

カオルンも王子に対抗するように思わず激して反論しようとしましたが、
事の顛末を考えると、しゅんとして小さな声で答えました。

「…だって、とっても安かったんだもん。
 他にもいくつか絵の具も欲しかったし、それで…」

『まぁまぁ、事なきを得たんだから、カオルンを責めなくても…』

取り成すようにバルザが言いました。

居心地の悪い沈黙がバスルームに漂いました。
しばらくして、何かを決意したような顔でカオルンが口を開きました。

「あの… このたびは助けていただき、ありがとうございました。
 それと、ご迷惑をおかけして、すみませんでした。

 えっと、つきましては、明日にでもこのお城を出ていこうかと思います」

「!」

驚く王子よりいち早く、バルザが叫びます。

『おいおい、カオルン。
 藪から棒に何を言い出すんだ!』

その問いに、カオルンは静かに答えます。

「実は、ずっと前から考えていたの…

 あたしは、ゴーザンさんのようにお城の仕事を手伝うこともできないし、
 レイくんのように王子の相手ができるわけでもないでしょ?
 だから、ただの厄介者だなぁって…」

『そんなことは…』

慌てて打ち消そうとするバルザを、カオルンは遮ります。

「ううん、いいの!
 ほんとのことだもん。

 あたしは絵を描くくらいしかできないけど、今度のことで、その絵ですら
 王子に迷惑をかけちゃったし…

 だから… あたし、ここを出ていきます」

『カオルン…』

バルザはカオルンにかける言葉は見つかりませんでした。
そこで、

『おい、コーガ!
 お前も何か言え!』

話を王子に振りました。
王子はしばらくカオルンをじっと見ていましたが、やがて、口を開きました。

「お前はいくつか思い違いをしている」

「えっ?」

「まず、ひとつめ。
 ゴーザンもレイも、城のためだとか俺のためだなどで動いているのではない。
 あいつらがやりたいことを、やりたいようにやっているだけだ。
 だから、お前が城のためや俺のために動くことなど考える必要はない」

「でも…」

カオルンが口を挟もうとしますが、王子はそれにはお構いなしで話を続けます。

「それから、ふたつめ。
 おまえは俺たちに ’迷惑’ をかけたんじゃない、’心配’ をかけたんだ。
 勝手に心配をしたのは俺たちだから、お前がどうこう悔やむことはない」

「…」

カオルンは反論する言葉が見つからなくなりました。

「だから、お前が責任を感じてこの城を出ていく必要はない。
 それに…」

それまで堂々と持論を展開していた王子が、急に口ごもったので、カオルンは
不思議そうに見つめます。

「それに、俺は…  お前に出ていってほしくはないんだ」

その言葉を聞いて、カオルンは思わず足の力が抜けてヨロヨロと後退すると、
バスルームの壁に背中を預けました。



to be continued(5へ)
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コメント
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うう!
続きが気になるッ!
何て所で、to be continued なんでしょう!
次こそメルヘン&ロマンチックがヒートアップ…ですかね?
>王子がカオルンを押し倒すシチュを一生懸命考えてたんですけど ← コレ、お願いしますよ selfish 様ぁ~!いけずぅ~ (笑)

あ~、私の所ファミ劇が観られない状況なので、かなまま様の仰る通り、どなたかが Youtube に Up してくれないかと期待しております。
鋼牙の最後の “ 鋼牙姿 ” 観たいなぁ…。
URL 2013/03/25(Mon)10:14:18 編集
Re:うう!
はい、ほんとに、なんでこんな意地悪なんだか自分でも呆れちゃうくらいです…
なぜだかいつも「いいところ」で力尽きちゃうんですよね~
そして、次の日には「いいところ」を書き継いでいくほどのテンションでないため、また一からやり直し… みたいな感じになるのですよ。 (とほほ)

お~、宴が見れなかったのですね。 それは悲しい…
でもね、くどいようですが、これは「(ひとまずの)最後」だと selfish は思っているのです。
だって、鋼牙は言ったんだもの… 「俺は約束を必ず守る」って!
だから、芽様も共に鋼牙との再会を待ちましょうね? きっとだよ! (← カオル風www)
【2013/03/25 19:21】
無題
こんばんは、魔界の宴が終わり、心は放心状態のところに籠る姫が少しずつのアップ、早くつづきが読みたいが、もう少しおとぎ話の世界に浸りゲンジッ逃避をさせてくだっさい、最後の鋼牙の言葉に冴島鋼牙は今も戦っています等という言葉と新たに始まる闇と照らす者、その次が鋼牙とカオルの子供の雷牙と続いてほしいな
かなまま 2013/03/26(Tue)20:38:36 編集
Re:無題
かなまま様、いつもコメントありがとうございます!
逃避したくなるほど現実がツライですか?
そんなこと言ったら、selfish は、このサイトを始めたときから現実に瀬を向けているのかもしれません。
ただ、ただ、おのれが欲するままに妄想三昧ですもんwww

ここ最近、本当にあまり途切れずに牙狼の関連作品が投入されていますね。
パチ様様、といった感じ?
邪美と烈花の次は… 何が来るでしょうか?

いっそアニメで鋼牙! でもいいんだけどな。
みんなアフレコ上手いからwww
【2013/03/26 21:53】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



hitori 様[07/08]
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