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きんのまなざし ぎんのささやき

証~あかし~(2)

この妄想を書くのに、「水槽」を見返し、「黒炎」を見返しました。
そして、初めて知った事実が…

その事実は、この妄想の前提を覆すようなものだったんですが、仕方がないので
突っ走ります。 (苦笑)

すいませんねぇ、こんなテキト~で。




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鋼牙は、カオルが差し出した手を取ると、じっと見つめた。
カオルの手は、普通の女性の手とは何も変わらない。
ただ一点を除いて…

カオルの手には、言われなければ気付かないほどの微(かす)かなものだったが、
四本の指を横切るようにして、横一文字に走る大きな傷痕があった。

それは、かつて、ハルというホラーに心奪われた戸沼という男が、カオルを
切りつけたときの傷で、邪美の手により塞(ふさ)がれたものだ。
零に剣を突きつけられてできた首の傷は、傷痕もなくきれいに治されたが、
右手の傷のほうは、傷つけられてから少し時間が経過していたためか、
わずかではあったが傷痕が残ってしまった。

その傷を見つめているうちに、鋼牙は昔のことを思い出していた…

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

当時、足取りがなかなか掴めないホラーに、鋼牙とザルバは焦りを感じ始めて
いた。

「止むを得ん、鋼牙。
 カオルを呼ぶんだ」

カオルをエサに、ホラーをおびき寄せようというのだ。
このときすでに、鋼牙の中ではカオルという存在に ’特別な意味’ が生まれ
初めていた。
だが…

「何を今さら躊躇っている?
 もともと、そのために生かしたんだろ?」

ザルバの言葉に、鋼牙は返す言葉が無かった。
不本意ながらも、鋼牙はザルバの言葉に従うしかなかった。

絵を描いてほしい、という鋼牙の初めての願いに、何も知らずに嬉々として
うなずくカオル。
そんなカオルが戸沼の手に落ち、それを追って鋼牙が駆け付けたときには、
戸沼に襲われたカオルの右手は鮮血に染まっていた。

怒りに任せて、戸沼に剣を突き付ける。
そこには、カオルを傷つけたことへの怒りも、’確かに’ 含まれていた。

とどめを刺そうとする鋼牙を、カオルが腕にすがりついて引き止めた。

「こいつは人間を殺して、ホラーのエサにしていた。
 そんなやつ生かしておいてなんになるっ」

吐き捨てるように言った言葉に、カオルは反論するように言った。

「完璧な人間なんていない。
 みんな何かの罪を背負って生きているの
…」

その言葉に鋼牙は貫かれた。

(人間であるカオルをエサに、ホラーをおびき寄せる…

 その身を守ってやるはずの魔戒騎士が、カオルに与えた仕打ちを一体なんだと
 言うのだ?)

そのことに思い至り、鋼牙は愕然とした。

(俺もあいつとなんら変わりがない…)

蔑(さげす)んでいたはずの戸沼と同類であることに気づき、己の背負う
’罪’ を思い知った。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

鋼牙の脳裏に瞬(またた)く間によみがえった記憶…

「この傷を見ると、かつての愚かな自分を見せつけられる」

「…」

鋼牙の顔がわずかに苦しげに曇り、カオルの表情も切なげに歪んだ。

「守ってやる、と言っておきながら、俺はおまえを傷つけた。
 すまなかった…」

鋼牙が謝罪の言葉を口にした。

(あのときのこと…  初めて言葉にした?)

そんなふうにカオルは思った。
お互いにとっての辛い思い出を、月日を経た今、ようやく口にできるように
なったのか… という思いもした。

「鋼牙…
 あたしは、ホラーの血を浴びてしまった。
 ううん、それだけじゃない。
 メシアのゲートにだって…

 あたし、いつ死んだっておかしくなかったんだよね?

 掟に従って、鋼牙や零くんがあたしに手をかけてたかもしれない。
 ホラーの血に引き寄せられたホラーが、あたしを引き裂いていたかもしれない。
 メシアが復活して、あたしという存在はどこかに消し飛んでいたのかも…

 でもね、鋼牙。

 そんなものすごい状況の中で、あたしは ’これ’ 以外、どこにも傷痕なんて
 ないわ。
 それは、あなたが守ってくれたから…  ありがとう」

鋼牙に預けていた手をひっくり返し、鋼牙の手を握る。

鋼牙を見つめていた瞳が、その手に視線を落とす。
そして、鋼牙の手に傷を見つけたカオルは、無邪気な笑顔を鋼牙に見せた。

「ほら…
 鋼牙のほうが、あたしなんかより、ずっとずっと傷だらけじゃない!」

そう言いながら、カオルは鋼牙の手にある傷を、ひとつひとつ、そっと
なぞってみる。
そして、いいことを思いついた! というように顔を輝かせて、鋼牙に言った。

「ねぇ?
 鋼牙のこの傷は、みんなをホラーから守っている証だね?

 そして、あたしのこの傷痕は、黄金騎士が命をすり減らして守った人間だ、
 っていう証(あかし)みたいじゃない?」

カオルの笑顔を眩しそうに見ていた鋼牙は、やがて、カオルの腕をぐいと
引き寄せると、腕の中にカオルを閉じ込めた。

「鋼牙…」

カオルはちょっと驚いたが、静かに瞳を閉じるとすべてを鋼牙に預けた。
柔らかく温かいカオルを抱き締めながら、鋼牙は思っていた。

(カオル…
 おまえが何と言おうと、その傷痕は、俺の ’罪’ だ…

 そして、俺は一生それを背負うことになるだろう。 一生、だ…)



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


カオルの手の傷。
あれだけバックリ切られたら、相当大きな傷跡が残るだろうな~ と思って、
妄想し始めたのですが…

どうやら、邪美さんが筆でちょちょいと治してくれてたようですね。

首の傷に手をやって「治ってる!」とばかりに驚くカオルちゃんが、その後
手のひらを見て「あら、ここも治ってる!」という感じでしたから。
教えてもらうまで、少しも気づきませんでした! (ありがとう!心太様!)


でも、書き始めちゃったからなぁ 傷痕ないとマズイなぁ~
…というわけで、無理矢理辻褄を合わせてみました。
微かに残った、というふうに。 (あぁ苦しい…  苦笑)


さて…
最初は、傷痕を、何かの ’証’ として描こうと思っていたのですが、いつの
間にか、鋼牙が ’罪’ を背負う話にすり替わっていました。
毎度毎度のことですが、’気まま’ に書いていると、ほんとに話がどんどん
変わっていっちゃいます。
そういうところが、書いてて面白いんですよね。
(selfish の場合、ですけど)

鋼牙さんには、ぜひとも、 ’罪’ だけでなく、カオルちゃんの ’人生’ も
背負ってもらいたいもんだ…
そういう気持ちでいっぱいデス!

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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