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きんのまなざし ぎんのささやき

Be happy!(8)

こつこつ地道に書き溜めたので、とりあえず公開!
今日の自分と、昨日の自分と、一昨日の自分と、その前の自分と…
うん、みんな、がんばったね!

でも、終わらなかったね… orz

さぁ、明日の自分も牙んば狼!




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零くんを見送ってくれた亜佐美が帰ってきた。

「カオル、疲れちゃったでしょ?
 私ももう帰るから、ゆっくり休むといいよ」

そう言いながら、置いてあった自分のカバンを手に取った。

「ごめんね、亜佐美。
 せっかくのお休みに、二日酔いのあたしに付き合わせちゃって…」

「な~に言ってんの。
 元はと言えば、あたしが飲ませちゃったからじゃな~い!」

そう言ってケラケラと笑う亜佐美。
その笑顔に、あたしの心も軽くなる。
そう思ってるあたしの変化に気付いたのか、亜佐美は笑うのをやめて、
少し神妙な顔になると言った。

「あたしはカオルといろんな話ができて楽しかったよ。

 でも、せっかく遊びに来たカオルにとっては、久々のポートシティを
 あんまり満喫できなくって残念だったんじゃない?」

小首をかしげて、あたしの顔を覗き込む亜佐美。

「そんなことないよ。
 あたしだって、亜佐美と会って話すのが今回の一番の目的だったんだもん。
 十分楽しかったよ」

あたしと亜佐美は目を合わせて、ふふふ、と笑った。

(こうして一緒にいられるのもあとわずかな時間なんだなぁ…)

そう思うと、少し寂しい気持ちになる。
それは、亜佐美も同じようで、

「さ、じゃあ、帰るね!
 明日は、お昼の電車で帰るんだよね?」

と、明るく振る舞った。

寂しいとき、不安なとき、亜佐美はこうしていつも明るく笑った。
学生のときからそうだ。
ズケズケと物を言うわりには、繊細なところもある。
そんな彼女の優しさと強さが、あたしは好きだ。 昔も今も…

だから、あたしは亜佐美の本心には気づかぬフリをして、調子を合わせて
明るく答えるのだ。

「うん。
 12時16分だったか、17分だったか… 確か、そんな感じのやつ!
 明後日の早い時間に、仕事の打合せが入っちゃってね。
 ほんとはもっとゆっくりしたかったんだけど、準備のこととか考えると
 やっぱり少し早く帰っとこうと思って…」

「そうだね、それがいいよ。
 カオルは、あたしと違って画家になるっていう大事な夢があるんだもんね。

 カオルの描いた絵本が好調な今、いろんなところから声が掛かってるん
 だから、あんたにとっては大チャンスなんだからね!

 しっかり頑張ってちょうだいよ? 御月先生!」

フザけたように言う亜佐美につられて笑う。

「ふふふ、ありがと、亜佐美!」

「じゃ、また今度ね!」

亜佐美は、近いうちに再会するような気軽な調子で、手を振って歩き出した。

「あ、そうだ…」

亜佐美が言い忘れていたことを思い出したのか、すぐに足を止め、あたしを
振り返って言った。

「カオル、あんたの好きな彼のことを今回あんまり聞き出せなかったけどさ、
 これだけは言っておくわ。

 いい?
 仕事も大事だけど、女としてのしあわせはも~っと大事だからね!」

そう言うとニヤリと笑って言葉を続けた。

「私はね、そのしあわせ、もうじき掴めそうよ♡」

(え? え~~~っ!)

驚いて声も出ないあたしを尻目に、亜佐美は

「じゃね!」

と、きれいなウインクを決めて、あたしの視界からスッと消えていった。
少し遅れて、あたしは叫んだ。

「ちょ、ちょっと、亜佐美ぃ!
 それって、どういうこと? ねぇ、亜佐美ったら!」

追いすがるように言うあたしの言葉に、亜佐美は声だけを残した。

「この話は、また今度!
 近いうちに連絡するわ!

 あんたもしあわせになりなさいよ!」

そう言ったか言い終わらないうちに、ドアの閉じる音が、バタンと響いた。

亜佐美の衝撃の告白に、まだ頭の中が真っ白なあたしは、ひとりになった
ホテルの部屋で、しばらく百面相をすることになった。

そんな大事な話、もっとちゃんとしていきなさいよぉ~~~




翌日。
よく晴れた青い空に、ポートシティの白いビルが美しいコントラストを
見せていた。
身体のどこにも痛みがないって、こんな素敵なことだったんだなぁ~と
少し上を向いて深く呼吸をする。

平日の12時少し前というこの時間、ポートシティのセントラル駅の構内を
歩いていく。

(昼食は電車の中でお弁当を食べよう!)

そんなことを小さな楽しみにしていたあたしは、売店で、お弁当を物色する
ことにした。
色とりどりなお弁当がいっぱい。
お店の人の視線を気にしながらも、どれにしようか真剣に迷っていた。

(こんな時間も旅の醍醐味よね…)

そのとき、あたしの隣に並ぶように立った人がいた。

「俺なら、この ’潮騒物語’ ってヤツにするかなぁ」

ふいに、親しげに声を掛けられたあたしが驚いて振り返ると、そこには
零くんがいた。

「零くん!
 なに? どうしたの?
 あ、ひょっとして仕事?」

そう言って、あたりを気にするあたしに、

「違う、違う、仕事じゃないよ」

と呆れたように零くんは言った。

「カオルちゃんをね、見送りに来たんだ」

人懐こい笑みを浮かべて、零くんがあたしを優しく見た。

「え、そうなの?
 なんだぁ~

 わざわざありがとう!」

亜佐美は仕事があるから、ひとりでひっそりとポートシティを後にすると
思っていた。
だから、あたしは、思いがけない零くんの見送りがほんとに嬉しかった。

あたしは、零くんおすすめの ’潮騒物語’ を購入してから、駅の改札を
抜けた。

「俺もホームまで行くよ」

さも当然のように言って、零くんも入場券を買ってホームまで来てくれた。
ホームに着くと、零くんが言った。

「ね、今日はあの亜佐美っていうお姉さんは来れないの?」

「うん、仕事があってね…
 何? 零くん、亜佐美に用事でもあった?

 あぁ! もしかして、亜佐美になんか変なこと言われたとか?」

あたしの勝手な想像を、零くんは、あはは、と笑い飛ばした。

「そんなことないよ。 ちょっとね…」

「ちょっと?」

言葉を濁す零くんに、あたしは小首をかしげて突っ込んでみる。

零くんは、少し困ったような表情をして、どうしたものかと迷っている
様子だったが、じっと覗き込んでいるあたしと根比べをした結果、
やれやれといった具合で話し出した。

「昨日、俺がカオルちゃんの部屋から帰るとき、お姉さんが見送って
 くれたじゃん?

 そのときにね、お姉さん、俺にこう言ったんだ。

 ’零くんって、彼女いないの?’

 ってね」

「亜佐美が? 零くんにそんなことを?」

零くんは大きくうなずいた。



to be continued(9へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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