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きんのまなざし ぎんのささやき

Be happy!(7)

なんの事件も起こらず、会話ばかりで進んでいるこの妄想
いいのかな?

あ、今、頭の中で、川平さんのマネをする華丸さんの声が聞こえた。
「いいんです!」って…

果てしなく、願望に近い気がしますが、書いているほうは楽しいので、
このまま突っ走りますね!
あ、休み休みかもしれないですが、その辺はご容赦を… (笑)






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(あたしがこのホテルに滞在していることを知っているのは…)

そう考えているところに、姿よりも先に声が聞こえてきた。

「カオルちゃん、まだ寝てるんでしょ?
 俺、すぐに帰るから…」

その聞き覚えのある声に、強く布団を握りしめていた手から、力が抜けた。
’あたしが今一番会いたい人’ と言った亜佐美の言葉で、咄嗟に連想した
あの人とは、全くの別人だったからだ。

それがわかって落ち着きを取り戻したあたしは、遠慮してなかなか姿を
見せずにいる優しい彼に、声を掛ける。

「零くん?
 いいから、入ってきて!」

すると、ひょっこり、といった感じで、零くんが姿を現わした。

「いいの?」

「うん、大丈夫だよ。
 ベッドから起き上がれずにいるけど、零くんさえ気にしないでくれたら」

「そんなこと…

 あ、そうだ、これ!
 俺、プリン買ってきたんだ。
 お姉さんの分もあるから、よかったら食べて!」

零くんはそう言って、赤いハートがデザインされた可愛い紙袋を、はい、と
亜佐美に手渡した。

「ありがとう、零くん。

 それから、昨日はごめんね。
 零くんがあたしを運んでくれたんでしょ?」

申し訳なさそうに、あたしは謝った。

「そんなことは、全然気にしないで!

 でもさ、たまたま俺が通りかかって、ほんとよかったよ。
 このお姉さんひとりで困ってたからさ」

そう言って零くんは亜佐美ににっこり笑いかけた。
零くんからプリンの紙袋を受け取りながら、亜佐美は、

「ほんとだよ。 零くんのお蔭ですっごく助かっちゃった!

 私からもお礼を言わなきゃ。
 どうもありがとうね、零くん!」

と頭を下げた。

「いえ、どういたしまして。
 お役に立てて光栄です」

零くんも、少しかしこまって右手を胸に置き、優雅にお辞儀をした。
亜佐美は、プリンを冷蔵庫に片付けるため、あたしたちのそばから、
ちょっと離れていった。
その隙に、あたしは零くんにこっそり聞いた。

「ねぇ、零くん。
 今日はお仕事、もういいの?」

魔戒騎士は、昼間だって働いているのだ。
あたしはそのことが気になって聞いてみた。

零くんもあたしに合わせるように声を潜(ひそ)めて、

「うん、まあね。
 昼間の仕事は片づけてきたよ。
 夜のほうは、今んとこ無いみたいだけど…」

と囁いた。
ハッと気づくと、亜佐美があたしたちをニヤニヤしながら見ていた。
あたしは、慌てて弁解しようとする。

「亜佐美、違うの。
 あんた、勘違いしてるんだって!」

「いいの、いいの。私のことは気にしないでいいから。

 あ、なんだったら、しばらく席を外しててもいいわよ。
 それとも、後のことは零くんに任せて、私、帰ろっか?」

亜佐美は気を利かせているつもりで、そんなことまで言った。

「んもう! 違うんだって!  …あいたたた」

大声で否定しようとすると、途端に頭痛が襲ってくる。

あたしたちが何を言い合っているのかわからず、零くんの顔に「?」が
浮かんでいる。

「ごめんね、零くん。
 亜佐美ったら、あたしと零くんのこと、変な風に誤解してるの。

 ね、零くんからもそんなんじゃないって、亜佐美に言ってやって…」

こめかみを抑えながら、あたしは零くんにバトンを渡した。

「へぇ~ お姉さんにはそう見えたんだぁ~」

零くんまでニヤニヤしながら、のんびりと腕なんか組みだした。

(いや、だからぁ~
 否定してほしいんだ、ってぇ!)

そう思いながら、まだ痛む頭を抱えて、あたしは黙っていた。

「ね、零くんていくつ?」

亜佐美が興味津々といった感じで零くんに質問する。

「えっとね、カオルちゃんより5歳年下… かな?」

あっけらかんと答える零くんに、亜佐美が仰天した。

「へぇ~
 私たちよりは若いと思ってたけど、結構、離れてるんだね?

 あ、でも、零くん、年のわりにはしっかりしているみたいだから、
 あんまり気にならないよね? カオル?」

亜佐美がこっちに相槌を求めてくるが、なんだか、ムキに否定するのも
馬鹿らしくなってきて、あたしは何も答えずに受け流した。
それを肯定の意味に取ったのか、亜佐美は次の質問を零くんに投げかけた。

「じゃあさ。
 零くんとカオルが出会ったときって、零くんはいくつだったの?」

「俺が初めてカオルちゃんに会ったとき?
 えっとね… 俺、18だった」

「えっ、まさか、その頃から付き合ってたの?」

「違う、違う!
 あのときは、カオルちゃん、俺に見向きもしなかったよ。ねっ?」

零くんが同意を求めてきたけど、やっぱりスルー。
もう、どうにでもなれ! だ。

そんなあたしを見て、零くんが少し意地悪な顔をして言った。

「そうそう。
 会ったばかりの頃、俺が無理矢理カオルちゃんにキスしようとして、
 引っぱたかれたことがあったっけ…」

「ちょっ…」

さすがにこれには一言言わないと、と思ったけど、

「え~っ!
 あんた、そんなことがあったの?

 こんな若くてカッコよくて優しい人が、あんたのこと好きでキスしようと
 したんだよ!
 なぁぁぁんで引っぱたいたりしたの!

 ちょっと、もう、信じらんな~~~い!」

と勢い込んで言う亜佐美にたじろいでしまった。
それを見て、零くんは笑っている。

「あははは」

「ちょっと、零くん!
 笑い事じゃないんだからね!
 頼むから、ちゃんと亜佐美に説明してよぉぉぉ」

ほとほと弱ったという感じで、あたしは零くんに泣きついた。

「あぁ、ごめん、ごめん」

零くんはあたしに素直に謝ってから、亜佐美に向かって話しかけた。

「えっとね、俺とカオルちゃん、仲はいいけど、一度だってお姉さんの
 思うような関係になったことはないんだよ。

 ごめんね、混乱させるようなこと言って…

 キスしようとしたときだって、実は、まぁ、ちょっと複雑な事情が
 あってのことだったしね」

ようやくほんとのことを零くんが話してくれたので、あたしはほっとした。
でも、亜佐美はひどくがっかりしたようだ。

「それ、ほんとにほんとなの?」

往生際悪く、そう言い募る。

「うん、ほんとにほんとだよ。
 ね? カオルちゃん!」

零くんに振られて、あたしも

「そう、ほんとにほんとだよ、亜佐美!」

と念を押した。

「なぁ~んだ。
 零くんだったらカオルとお似合いだって喜んでたのに…」

そう言って溜息をつく亜佐美を気の毒に思ったのか、零くんは再び謝罪の
言葉を口にする。

「ごめんねぇ~
 ちょっと悪ノリが過ぎちゃったね」

「ううん、零くんが悪いんじゃないよ。
 だから、気にしないで!」

慌てて手を振る亜佐美。

ようやく亜佐美の誤解も溶けたので、その後は、他愛もない話で和やかな
時間を過ごした。
亜佐美と零くんは初めてあって間もないというのに、そんなことなど感じ
させず、楽しげに話をしている。


そんな楽しい会話も少し落ち着いた頃…

「じゃ、俺、そろそろ行くよ。
 カオルちゃん、ゆっくり休んで」

と、零くんが切り出した。

「あ、そう?
 零くん、今日はわざわざ来てくれて、ありがとうね」

首を軽く横に振りながら、零くんがにこにこ笑っていたが、じゃあね、と
手を振り、ドアへと歩き出した。

「じゃ、私、そこまで送ってくるよ」

亜佐美が立ち上がり、零くんを追いかけるように部屋を出ていった。

ホテルの部屋にひとり残されたあたしは、窓の外を眺めた。
太陽はもう沈み、夜の闇へと向かっているポートシティの町が見える。

(この町を、零くんはホラーから守っているんだね。
 今夜はこのまま指令がないといいけど…)

あたしは祈るようにそう思っていた。



to be continued(8へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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