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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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…なんでもなくない(2)

ふざけたタイトルですみません。
しかも、内容とは全然関係ないタイトル… (苦笑)

さて…
明かりの消えた書斎のあちらとこちら。
鋼牙さんとカオルちゃんはどうする? どうなる?

…と、期待させるようなことを言ってみる。





::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

真っ暗な書斎に、鋼牙とカオルが立っていた。
カオルは、自分に声をかけてくれなかった理由が聞きたいのだと言う。

先ほど鋼牙が開けたカーテンの隙間から、弱々しい月光が室内に注いでいる。

その光は戸口に立っているはずのカオルの場所まで届くことはなく、
窓のそばに立っている鋼牙のシルエットを、うっすらと見せるくらいしか
力を持たなかった。

鋼牙の姿が確認しづらくなったせいで、カオルは少し落ち着くことができ、
昼間の出来事をぽつりぽつりと話しだした。

「今日ね、あたし、鋼牙を見かけたの。
 わぁ~、こんなところで偶然! って、あたし、おかしなくらい
 舞い上がっちゃって…

 それでね、慌てて追いかけたんだよ。
 気づいてほしい! 振り向いて! って思いながらね…」

そう言うカオルの顔はとても輝いていた。
だが、見る見るうちに、その表情に陰りが差した。

「でもね、すぐに見失っちゃった。

 そうするとね、今度はすご~く残念だなぁ、って落ち込んじゃったのね。

 どうしてかなぁ?
 鋼牙といると、ほんの小さいことで、嬉しくなったり悲しくなったり、
 そんなことの繰り返しなの。

 小さい頃はね、ずっと、ひとりぼっちだなと思ってて…
 大きくなってからもね、このままひとりぼっちでもいい! あたしには
 絵がある! 画家になる夢がある! って思っててたのに。

 鋼牙と出会って、ゴンザさんや零くんとも出会って、ずっとこのまま、
 みんなのそばにいられたらいいなぁ、って思うようになった。

 クスクス、おかしいね?
 今のあたしは、ひとりぼっちでいい、なんて、もう思えない…」

「…」

カオルの話を、鋼牙は返事もせずに黙って聞いていた。
おかしなことに、カオルは鋼牙の話が聞きたかったはずなのに、ほんの少し
言葉がこぼれたら、あれよあれよと止まらなくなってしまった。

暗がりにいるせいで、カオルは、まるで独り言でも呟くみたいな気持ちに
なっていた。

「鋼牙に何かを求めることはしたくないんだけど、今日は… 今日だけは、
 鋼牙の気持ちを聞いておきたいなぁ、って… そう思ったの。

 ほんの少しでいいからさ、鋼牙のほんとの気持ちが聞けたなら、あたし、
 また明日から笑ってられそうな気がするの。

 だからね、お願い、鋼牙。
 さっきの話の続き、聞かせ…」

カオルの言葉が唐突に途切れた。
それは、暗闇の中、空気が急に動いたのを感じて驚いたからだった。
気づけば、どうやら鋼牙が目の前にいるようだった。

彼の匂いが、体温が、そして息遣いがなんとなく感じられた。

その気配に、カオルは鋼牙の顔があるであろう辺りに視線を彷徨わせたが、
悲しいことに、カオルの目では暗闇の中の鋼牙を認められなかった。



「カオル…」

低く、優しい声がすぐ近くで聞こえ、カオルの身体は震えた。
姿が見えないならば、と、カオルはおずおずと手を差し出した。
カオルの手が、鋼牙の身体に触れた… と思った瞬間、カオルは強く
抱きしめられていた。

「!」

いきなりの抱擁に驚いて、身体を強張らせたカオルに、彼は囁いた。

「カオル…  俺は魔戒騎士だ。
 陰我を斬り、ホラーを斬るのが俺の仕事…
 そして、騎士としての仕事を、俺は何よりも優先する。

 そのことでおまえに寂しい想いをさせて…」

そこで、鋼牙の声が
辛そうに少し途切れた。

「そのことは、ほんとにすまないと思っている」

「…」

その言葉を聞いて、鋼牙の腕の中でカオルが小さく頭を横に振った。
鋼牙は、カオルの温かな体温を感じながら、さらに続けた。

「俺はこの仕事に誇りを持っている。 

 そして、その誇りを俺に教えてくれたのは、他ならぬおまえだ、カオル…」

そう、かつての鋼牙は、父、大河の仇をとりたいがために魔戒騎士となり、
憎しみのうちにホラーを狩っていた。
人間を守る、ということの本当の意味を知らなかった。
以前の鋼牙にとっては、’人間を守る’ ということは、ホラーを斬ることで
もたらされる ’おまけ’ ぐらいの意味しか持たなかった。

だが、カオルと出会い、過酷な運命にあった彼女を救うことで、鋼牙は、
初めて、父の遺(のこ)した ’守りし者となれ’ という言葉のもつ意味を
知ったのだった。

「俺は、その誇りを胸にどんな指令も必ずやり遂げてみせる。
 そして…」

鋼牙が固く抱いていた腕の拘束を解き、カオルの肩に手を置いて、彼女の
顔を見た。
カオルも、暗がりの中を懸命に鋼牙を見る。

「そして、必ず、おまえの元に帰ってくる」

その言葉を聞くと。カオルの顔がくしゃりと歪み、思わず下を向いた。
だがすぐに、顔をあげると、飛びつくようにして鋼牙の首にしがみついた。

カオルの流す熱い涙が、鋼牙の顎を濡らす。

ひとしきり抱き合った後、鋼牙は、カオルの頬に手をやり、まだ濡れている
カオルの目にキスをした。

そして、

「こんな言葉では不足か?

 笑ってくれるんじゃなかったのか?」

と少しおどけた口調で言うと、表情を崩した。
その言葉に、カオルはちょっと考えてから、口を尖らせる真似をして、

「そんな意地悪は言わないで!
 明日から… 明日からちゃんと笑うんだから!」

と言って、泣き笑いのような顔を見せた。



 パチッ

小さな音でスイッチが入り、暗かった書斎に明かりがついた。
一瞬目のくらんだカオルは、明かりから顔を背けて目を閉じたが、やがて、
ゆっくり目を開けると、鋼牙の顔を恥ずかしそうに見た。
しばらく見つめ合っていたふたりは、次第に引き寄せられるように近づき、
唇を重ねた。



(時が経てば、また、あたしは寂しさを持て余すかもしれない。
 でも、そのときはまた… 鋼牙に素直に気持ちをぶつけよう!)

カオルの全てを包み込んでしまうような鋼牙のキスを受けながら、カオルは
そんなふうに思っていた。
そして、また、カオルの目から一筋の熱い涙がこぼれていった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


期待は裏切るためにあるの!!  by selfish


…すみません。
大してラブラブしてなくて。


えっとですね…
鋼牙さんとカオルちゃんが「面と向かって気持ちを伝えあう」というシーンは、
こっぱずかしくて、ちょっと想像がつかないなぁと、以前から思ってまして。

「じゃあ、電話だったら、どうだ!」 …と考えてみると、鋼牙さんの電話
しているシーンが想像つかないということで、「ナイ」なぁ、と。

それきり、そんなことは忘れていたのですが…



それがですね!
今回たまたまカオルちゃんが電気を消したんです!!
「これだ!」と、思いましたね。 (笑)

カオルちゃんは話をしようと思って来たのに、鋼牙さんがあんまり乗り気じゃ
なかった。
だから、ちょっと驚かしてやれ、くらいの気持ちでカオルちゃんは電気を
消したんだと思うんですけど、その行動に思わず「やるじゃん、カオル!」と
喝采を送りましたね。



…と、まぁ、そういうわけで、鋼牙さんは今回よく喋ってます。
う~ん、こんな鋼牙さん、ダメかしら?

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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