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きんのまなざし ぎんのささやき

あの人の背中(4)

なんだか迷走してきました。
子犬のようなマユリを書くのが楽しくなってきた… (^◇^)
あと、雷牙が媚空に対して抱く感情が、書いているうちに、自分の中でちょっとずつ変わってきました。

嗚呼!
イイ感じで終われるんだろうか?
ま、これもぶっつけ本番で書くからこその醍醐味(心臓に悪いだけ、とも言う?)ですね。


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じっと寝ていることにも飽きたのか、媚空は昼食後になってリビングに顔を出した。
身体を動かすことは我慢しなければならないので、装備を取り出して、ひとつひとつ丁寧に手入れをすることにしたようだ。
その間も、そばにはマユリが居座って本を片手に読書をし、時折ちらっと媚空の様子を見ては嬉しそうに笑っていた。

ゴンザも最初のうちは微笑ましく見守っていたが、さすがにこれでは… と思いあぐねて、媚空が席を外したところでマユリにそっと耳打ちするように言った。

「マユリ様。
 媚空様のおそばにいたい、お役に立ちたいというお気持ちは、このゴンザにもすごくよくわかるのですが…
 あまりくっついてばかりいると媚空様の息が詰まってしまいますよ?
 程々に距離を作って差し上げた方が、媚空様にとって居心地がよいのではないでしょうか?」

そう言われたマユリは目をまんまるにして驚いた。
ゴンザの言わんとすることをすべて理解することはできなかったが、どうやら媚空に対してよくないことをしているようだ、ということはわかったらしい。

「私のしていることは、媚空にとって迷惑なことなのか?」

「いえいえ… 決してそのような…
 ただ、媚空様はこれまでずっとおひとりでいらした方です。
 ですから、あまりこちらが気を回し過ぎない方がよいと思うのです」

ゴンザの話を、眉間にシワを寄せて真剣な顔で聞いていたマユリは、

「ふうん…」

と言って考えた。

「とにかく、放っておいた方が媚空のためになる、ということだな?」

そんなふうにゴンザに聞き返し、ゴンザがにっこり笑ってうなずいてやると、マユリはようやく明るい顔になった。

「わかった、ゴンザ。

 では、私は出掛けてくる。
 夕方まで帰らないつもりだ」

これでいいんだな? とでも言いたげな顔でマユリはゴンザを見た。
ゴンザは再び大きくうなずくと、

「はい、マユリ様。
 行ってらっしゃいませ。

 あまり暗くならないうちにお帰りなさいませ」

と、マユリを送りだした。
マユリが出掛けてからしばらくして、リビングに戻ってきた媚空はきょろきょろと辺りを見渡した。
リビングには、モップを手に床を掃いているゴンザしかいない。

「ゴンザ、マユリの姿が見えないようだが…
 どうかしたのか?」

怪訝そうな顔をしてゴンザに尋ねた。

「ああ。
 マユリ様でしたら出掛けてくるとおっしゃって、たった今、出ていかれました。
 なんでも、夕方まで戻らないとか…」

素知らぬ顔でゴンザは答えた。

「そうか…」

それを聞いた媚空は特に表情を変えたわけではなかったが、胸のうちでは少しほっとしているのだろうな、とゴンザは思っていた。

「媚空様。
 わたくしも買い物に出掛けたいと思いますが、よろしいでしょうか?」

媚空がいるから… と特別な気遣いはしないほうがよいと思い、ゴンザもいつも通りの行動をしようと思っていた。

「ああ、私なら
別にかまわないが」

「では、行ってまいります。
 戸締りはしていきますが… なあに、誰が訪ねてくるわけでもありません。
 のんびりとお好きなようにお寛ぎくださいませ」

そう言うと、モップを手にしたゴンザは、ぺこりと頭を下げてリビングから出ていった。
ひとりになった媚空は、少しだけ軽い足取りで、途中になっていた手入れの続きをするべくソファへと向かった。



1時間ほど経過した頃、ソファでうつらうつらしていた媚空が静かに目を開けた。
玄関のほうに人の気配がしたのだ。
誰かこの家の者が帰ってきたのだろう。
というのも、侵入者のような妙な緊張感は微塵も感じなかったからだ。
足音がリビングのドアの前で止まったかと思うと、キィッと開かれたドアの影から雷牙が姿を見せた。
雷牙は媚空の姿をみつけると、

「ただいま、媚空」

と屈託のない顔を見せた。
とても自然な笑顔だった。

「ああ、おかえり。
 ゴンザもマユリも出かけていて留守だぞ」

「媚空ひとりに留守番をさせてるのかい?
 それは悪いことをしたね」

媚空は静かにかぶりを振り、

「恐らく、みんな私に気を遣ってくれたのだろう。
 お蔭でのんびりさせてもらっている」

と言った。
雷牙は白いコートを脱いで、自分でコート掛けにかけると、

「そうかい? それならよかった。
 ところで… 俺はこれから書斎に行くんだけど、媚空はどうする? ここにいる?」

と尋ねた。
暇を持て余しているだろう媚空を気遣ってのことだろう。
ついてくるか? という誘いだった。

「冴島家には、とてつもない量の蔵書があると聞いたことがある。
 もし、よかったら、それを見せてもらうことはできないだろうか?」

雷牙の誘いに応じるよう、媚空は雷牙に問い返した。

「ああ、もちろん構わないさ。
 それじゃあ…」

こっちへ、というふうにドアを開けて媚空を促した。

玄関とは反対の方向に廊下を、雷牙が先導するようにして媚空がついていくと、なんとなく前を歩く雷牙の後ろ姿を見る格好となる。
魔戒騎士にしてはかなり華奢な背中だったが、バランスよくついた筋肉がしなやかに動いていた。
正直なところ、雷牙の身体つきを見る限りでは、さほどの強さを感じないのだが…
そこまで考えたところで、

(いけない、いけない…)

と媚空はかぶりを振った。
どうやら、闘うことを前提として相手を見てしまう悪い癖が出てきてしまったようだ。
それに気づいて、思わずフッと笑ってしまう。

「ん? なに? どうかした?」

雷牙が何食わぬ顔で振り返って尋ねる。

「いや、なんでもない…

 どうも私は魔戒騎士を見ると、その弱点を探そうとしてしまう。
 今も、おまえのどこを狙えば仕留めることができるか考えていた…」

いつもなら正直に言わないことも、この男の前では隠さず言えてしまう。

(不思議な男だ…)

そう思いながら媚空は答えていた。

「ちょっ… やめてくれないかなぁ?
 媚空に後ろから狙われたら、一溜りもないじゃないか」

少し慌てたように口ではそう言いながら、この男に怯えたところなど少しもない。

「冗談だ。
 それに、おまえはそう簡単にやられる相手ではないだろう?」

その台詞を、媚空はひどく真面目な顔をして言うものだから、

「あなたが言うと、冗談には聞こえないよ」

と雷牙は応じて、笑い合った。

クールそうに見えて、案外、媚空の表情は豊かだ。
普段は表情を押し殺しているような状態だから、少しでも感情が顔に出ると、明確にそれがわかる。
媚空はとてもリラックスしているようだった。



「ここだよ」

そう言って、雷牙は書庫のドアを開けた。
すると、媚空に驚きとも歓喜とも取れる表情がみるみるうちに現れた。

「これは… 確かにすごいな」

古いインクの匂いとカビ臭いような匂いが入り混じった独特の匂いがふたりを包む。

「ここにあるものは自由に手に取るといいよ。

 もし、見たいものがあれば何でも聞いてくれ。
 俺でわからなければ、ゴンザが教えてくれるだろう。
 正直なところ、何がどこにあるのか、俺もすべてを把握していないんだ。
 ゴンザがいないとお手上げ、ってわけさ」

雷牙がそう言うと、さっさと自分の必要な書物の入った書棚へと近づいていった。
少し高い位置にある書物の中から1冊を手に取ると、中を開いて、これだ、と確認した。
パタンと閉じると、何気なく媚空の様子を見た。

 コツン… コツン… 

という足音だけが響く静かな空間。
媚空は手近な書棚に近寄ると、目の高さに並ぶ書物の背表紙をひとつひとつ眺めている。
そのまなざしはとても穏やかで、その横顔はとても美しく見えた。

(媚空でも、あんな穏やかな目をするんだな…)

なんとなく温かいものを感じた雷牙は、媚空に声をかけた。

「俺は書斎に行くよ。
 あなたは好きなだけここにいるがいい」

言われた媚空は雷牙を振り返り、

「わかった」

とだけ答えて、再び書棚へと視線を戻した。
フッと笑った雷牙は、媚空を残して書庫を後にした。



to be continued(5へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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