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きんのまなざし ぎんのささやき

かわいいあのこ(3)

若くてかわいいメイドさんが冴島家にやって来たら…

これはもう、いろいろなパターンが考えられて楽しい、楽しい!


魔戒騎士の頂点に立つ男、冴島鋼牙とあわよくば恋仲になろうとする、
野心的なメイドさん、っていう設定なんかは、ワクワクしますよね?

猫をかぶって近寄るけど、鋼牙にまったく相手にされない、とか
カオルちゃんを目の敵(かたき)にしてあの手この手で遠ざけようとするが、
それが鋼牙にバレてしまい、逆鱗に触れちゃう、とか
既成事実を作るのだ、と、鋼牙に夜這いをかけるものの、まったく鋼牙が
なびかない、とか

…どなたか、そういうメイドさんのお話を書いてくれる人、いませんか?



残念ながら、こちらにはそのようなメイドはおりませんが、そんなメイドの
話でよければ、続きをどうぞ…

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サクヤが来てからというもの、カオルは毎日のように冴島邸を訪れるように
なっていた。

冴島邸への訪問が、日課のようになってしまったため、カオルの一日の
過ごし方も自然と規則正しくなり、絵を描く時間には今まで以上に集中して
取り組むようになっていた。

(サクヤちゃんが来て、なんだかメリハリのある毎日になったなぁ)

そんなことを思いながら、描く作業に入ったカオルだったが、今日は
いつになく描くことに没頭してしまい、気付けばだいぶん日が傾いていた。

(いっけない!
 今日はサクヤちゃんに画集を見せてあげる約束をしていたんだった!)

慌てて出かける用意を整えると、紙袋に押し込んだ画集を引っ掴んで、
アパートを勢いよく飛び出していった。



息を切らしながら冴島邸の玄関先にたどり着いたカオルは、額に光る汗を
ぬぐい、呼吸を少し整えた。
そして、いつものように屋敷の玄関を思いっきり開けようとしたとき、
庭の方からサクヤの声が聞こえた。

(なぁんだ、庭にいるのか…)

そう思ったカオルは屋敷の横手に回り、庭の方へと足を向けた。
屋敷の角を曲がり、短く刈り込まれた芝生の美しい庭が見えてくると、
そこにサクヤの姿も見えてきた。

呼びかけようとして大きく息を吸ったところで、カオルは言葉を飲み込んだ。

サクヤは、庭に置かれたガーデンテーブルの前に立っており、その前には
鋼牙が椅子に座っていたのだ。
鋼牙とサクヤは話をしているようだった。

「…まぁ、それは本当ですか?」

「…xx…xxxx…」

「面白い… そんなことってあるんですね?」

「…xxxx…」

鋼牙はカオルに背を向けているので声がよく聞き取れなかった。
もちろん、鋼牙の表情も全く見えなかったが、サクヤの様子からは、どうやら
楽しそうに会話しているらしい。


(鋼牙…)

会話に割り込んでいくことがなんだか躊躇(ためら)われ、カオルは
こっそりと引き返した。
玄関前まで戻って来て、カオルはしばらく考え込んだ。

サクヤは、適当に相槌も打ってくれるし、素直に反応もしてくれるので、
カオル自身も話していてとても楽しい相手だったが、鋼牙がサクヤと
そういうふうに会話しているのを目撃してしまうと、なんだか少し
引っかかりを感じてしまう。

(楽しく会話しているだけじゃないの…)

そう思おうとするのに、なんだか割り切れない思いが残るのだ。
そんな思いに囚(とら)われる自分に、軽く嫌悪感も感じてきた。

しばらく悶々としていたが、思い切って玄関ドアを開けた。
当然のことだが、いつも出迎えてくれるサクヤではなく、久し振りに、
ゴンザの出迎えを受けた。

「いらっしゃいませ、カオル様」

「こんにちは、ゴンザさん…
 あれっ、今日はサクヤちゃん、いないの?」

とぼけた振りで、ゴンザに尋ねる。

「サクヤでしたら、庭のほうにいるかと思います。
 庭で剣をふるっている鋼牙様に、飲み物を持って行ったので…」

カオルの問いに何の疑問も持たないゴンザが答える。
きちんと返事をしてくれるゴンザに対して、騙(だま)しているような感覚を
覚え、カオルは居心地の悪さを感じた。

「ふ、ふ~ん、そうなんだ。

 …えっとね、今日は、サクヤちゃんに見せてあげるって言っていた画集を
 持って来たんだけどね。
 ゴンザさんから渡してもらえないかな?」

「それはまた、どうしたことで?」

(直接、渡せばいいのに…)

と、不思議に思ったゴンザが当然の疑問を口にした。

「え、あぁ、うん、ちょっとね…
 し、仕事… うん、急ぎの仕事があって、今日はこれで帰らないといけないの。

 それじゃ、お願いします」

まごつきながらも、なんとか返事をしたカオルは、画集の入った紙袋を
ゴンザに押し付けると、くるりと向きを変えて逃げるように帰っていった。

「あ…」

ゴンザが呼び止めようとして伸ばした手の先で、

  パタン

とドアが閉まった。
カオルの消えたドアと、手元に残った画集とを不思議そうに見つめて、
ゴンザは小さく息をついた。

いつまでもそうしているわけにはいかないので、ゴンザは、その足で庭へと
向かった。

サクヤの笑い声が聞こえてくる。

「おやおや、何やら楽しげですね」

そう言いながら、鋼牙とサクヤの元へと近づいた。

「あっ、すいません、すぐに戻ります!」

飲み物を持っていったきり、いつまでも戻らないことを怒られるのかと思って、
サクヤはゴンザに謝った。

「なになに、謝ることはないですよ。
 鋼牙様から何か面白い話を聞いていたのですか?」

ゴンザは鋼牙とサクヤとを等分に見た。

「俺ではない。
 ザルバのヤツがあることないことを面白おかしく話していたんだ」

鋼牙は穏やかに言った。
どうやら、もっぱら話をしていたのはザルバのようで、鋼牙はサクヤと同様
聞き役だったようだ。
だが、そういう鋼牙自身の機嫌も悪くはなかったのだから、サクヤとザルバの
会話を、鋼牙も楽しんでいたのだろう。

「ほほう、そうなんですか?

 ところで…
 今ほどカオル様が見えて、これをサクヤに、と…」

そう言うと、カオルから預かった紙袋をサクヤに渡した。
受け取ったサクヤは紙袋の口を開き、画集であることが判ると、

「あっ、お借りすることになっていた画集です。
 それで、カオル様は?」

お礼を言わないと… と思い、ゴンザにカオルの所在を聞いたサクヤだったが、
ゴンザは少し残念そうな顔をして、首を横に振った。

「それが…
 お仕事があるからと、すぐに帰ってしまわれて…」

それを聞いて、

「そうですか…」

サクヤはがっかりしたように呟いた。

『カオルのやつ、いくら仕事があっても、ここまで来たんなら、顔を見せる
 時間くらいはあるだろうに…』

先程ゴンザが感じたのと同じ疑問を、ザルバも感じたようだった。

ゴンザは、カオルの様子がどことなくおかしかったことを、この場で告げるのは
控えた。
言ったところで、サクヤが困惑するだけなのだから。

だが、ゴンザが複雑な表情をしていることを、鋼牙だけは気付いていたのだった。



to be continued(4へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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