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きんのまなざし ぎんのささやき

かわいいあのこ(4)

この回は、実は、ちょっとした予想外のことが発生しまして…

書いてる自分でもびっくりしました。
「あらっ、そっちに話が行くんですか?」って感じ!

きちんと構成を考えてたら、そんなことは起こらないんでしょうけど、
こういうハプニングが起こるのも、’勢い’ で書いているお蔭かと…


ただし、この後、’そっち’ に転がった話が、ちゃんと ’こっち’ に戻って
きてくれるかが心配なんですよねぇ~  (大丈夫か? 自分!)



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鋼牙とサクヤが楽しげに会話しているのを、カオルが目撃したあの日から、
カオルはパッタリと冴島邸を訪れなくなった。
正確には、ザルバが話の中心であったのだが、そのことをカオルは知る由も
ない。

ゴンザは、以前訪れたときのカオルの様子が気にかかり、後になって
鋼牙にだけはそのことを告げたが、鋼牙は「あまり気にするな」とだけ
言った。
そんなわけで、ゴンザとしては「急ぎの仕事がある」というカオルの言葉を
信じるより他はなかった。

一方、サクヤはというと、自分を妹のように可愛がってくれるカオルが、
姿を見せなくなったのを寂しく思っていたが、

(ここに遊びに来たんじゃないんだから!)

と、冴島邸での本来の目的を思い出し、これまで以上に熱心に仕事に
打ち込むことにした。



ところが、そんなある日。
屋敷に来てからずっと神経を張り詰めていたこともあったのだろう。
突然、サクヤが熱を出して寝込んでしまったのだ。

額を冷やしながら寝ているサクヤの元に、ゴンザはお粥を持って現れた。

「ゴンザさん、すみません。
 わたし、余計なお世話をかけてしまって…」

ゴンザに対して、サクヤは弱々しい声で謝った。

「何を言うのです。
 そんなことは気にせずに、今は自分のことを考えなさい。
 しっかり食べて、ぐっすり寝たら、すぐによくなるから…」

ゴンザは優しくそう言い、起き上がろうとするサクヤを手伝った。

「ありがとうございます」

サクヤが礼を言うと、うんうん、とうなずいて見せて、

「少しでも食べて、お薬をちゃんと飲むんですよ」

と言い残して、部屋を出ていった。



熱のせいで食欲のないサクヤだったが、ゴンザの好意を無駄にしては
いけないと思い、お粥に手を伸ばした。

白く立ち昇る湯気が、サクヤの動きに合わせてフワリと揺らいだ。
一口すくって、口元でフーフーと冷ましているうちに、おいしそうな匂いが
サクヤの鼻腔を刺激した。
そろそろとお粥を口に運ぶと、程よい塩気とほんのり甘い味が口の中に
広がった。

「おいしい…」

思わずサクヤから笑みがこぼれた。

とてもゆっくりとだったが、それでもゴンザの用意してくれたお粥をすべて
食べ終えたサクヤは、顔をしかめながら苦い薬を飲み、

「ごちそうさまでした」

と手を合わせた。
それから、モゾモゾと立ち上がると、トレイを抱えてドアのほうへと歩いて
いった。
少しふらつくものの、なんとかキッチンまでは行けそうだった。

部屋から出て歩き出そうとしたとき、廊下の角を曲がって、鋼牙が姿を
見せた。
すぐにサクヤに気がつくと、

「何をしている?」

と足早に近づいてきた。

「あ、はい。
 食べ終わった食器を片付けようかと…」

サクヤは弱々しいが、精一杯の声で言った。

「そんなことをして、また熱が上がったらどうする」

サクヤの目の前に立ちふさがる恰好となった鋼牙が、サクヤの手から
トレイを取り上げた。

「これは俺が持っていくから、おまえは大人しく寝ているんだな」

決して愛想がいいとは言えないが、鋼牙なりに気遣っていることが、
サクヤにも十分に伝わった。

「…ありがとうございます」

鋼牙の優しさに胸を熱くしながら、お礼の言葉をようやく絞り出した。

「どうした?
 つらいのか?」

鋼牙は具合でも悪くなったのかと勘違いをして、慌ててサクヤの額に手を
やった。

「まだ熱があるみたいだ。
 早く横になれ」

部屋のドアを開けて急(せ)かす鋼牙に、サクヤは、こくんとうなずいて
部屋に入っていった。
鋼牙は戸口のところに立ち、サクヤが横になったのを見届けると、

「夕食はまた部屋に持ってこさせるから、それまでゆっくり休め」

と言い、静かにドアを閉めた。

鋼牙が姿を消すと、サクヤは、少し動いて疲れたのと薬が効いてきたのとで
すぐに眠気を感じた。

(わたしは、なんて、いいお屋敷に来れたんだろう…)

サクヤはそう思いながら、うとうとしていたが、ものの数秒でストンと深い
眠りに落ちていった。

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サクヤが次に目覚めたとき、室内は少し暗くなっていた。
誰かがサクヤの額に手をあてていた。
どうやらその感触が契機となり、目が覚めたようだった。

少しひんやりと感じる、その手がどかされると、サクヤは思わず呟いた。

「カオル様…」

「あっ、サクヤちゃん。
 ごめんね、起こしちゃった?」

久しぶりに見たカオルは、穏やかで優しいまなざしをサクヤに向けていた。

「びっくりしたよ。
 久しぶりにこっちに来てみたら、サクヤちゃんが熱出したぁ、って
 聞いたから…

 まだ熱は下がっていないみたいだから、寝てようね?」

カオルの言葉にコクンとうなずいたサクヤが、カオルに尋ねた。

「あの、カオル様?
 お仕事はもうよろしいのですか?」

カオルは、「あっ」という顔を一瞬したが、

「う、うん、仕事のほうは大丈夫!
 もう終わったよ。

 あたしのことはいいから、早く元気になるよう、自分のことだけ考えてれば
 いいからね?」

「はい… くすくす…」

何かを思い出したように、サクヤが笑いだした。

「どうしたの? なんか変?」

カオルが問いかけた。

「あ、いえ…
 実は、さっきも、ゴンザさんに同じことを言われたなぁ、って思って…」

「そうなんだぁ。
 じゃ、今度こそ言いつけを守って、人の心配なんかしないこと! いい?」

カオルは片方の手を腰にあてて、もう片方の手は人差し指を立て、少しコワイ
顔を作って、サクヤにぴしりと注意した。

だが、すぐにクスッと笑うと、サクヤの顎のところまで布団を引っ張り上げて、
優しくポンポンと叩いた。

すると、再び、サクヤが笑う。

「ふふふ…」

「今度はなぁに?」

カオルが不思議そうに尋ねた。

「いえ…
 なんだか、カオル様、お母さんみたいだな、って思って…」

「え~っ、あたし、こんな大きな子どもはいないんだけどなぁ~
 っていうか、結婚もまだなんですけどぉ~」

カオルは冗談っぽく非難めいて言ってから笑い、サクヤもつられて笑っていたが、
やがて、その顔がスッと真顔になった。

「あの…
 カオル様は、鋼牙様とご結婚なさらないんですか?」

「えっ、何を急に…」

突然の問いに動揺してしまったカオルは、その後の言葉を失った。



to be continued(5へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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