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きんのまなざし ぎんのささやき

ここから(3)

季節の変わり目に、なかなか身体のほうが対応しきれなくなってきました。
年なのかしら? 年なのですね? あぁぁぁ! がっくり…

というわけで、短めですがよろしければ!


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「ところで、今日は?」

元老院付きのレオが、自分の管轄でもない場所をうろついているのは何か特別に用事があったからだろう。そんなふうに思った烈花は、レオにそう問いかけた。
レオは、改めて烈花に向きなおって口を開いた。

「ここの管轄の魔戒法師が新型の号竜の導入を考えているということだったんで、今日はその相談のためにやってきたんです」

話題が号竜のことになると、それまでの口調から一転して、レオの様子はとても落ち着いき、どことなく風格まで漂うくらいに見えてくる。



号竜とは、知ってのとおり、レオが発明した魔導具だ。
それまでは、ホラーを封印できるのは魔戒騎士だけで、残念ながら魔戒法師にはできなかったのだが、号竜が出来たことにより、法師でも容易く下級ホラーなら封印できるようになったのだ。
号竜は、鋼牙の持つザルバといった魔導輪と同様、ホラーの魂を閉じ込めたものであるため、その力をいかにコントロールし得るかが鍵であったが、レオの考え出した大胆かつ緻密な制御構造によりそれが可能となっていた。
レオを生み出した号竜は、今では多くの魔戒法師の手に渡り、我々でもホラーが倒せるのだという矜持(きょうじ)を法師たちが持ち、また、そのお蔭で魔戒騎士たちはより力の強いホラー退治に専念できることになり、一時期かなり険悪になっていた両者の関係性も表面上は少し落ち着いてきたと言ってよかった。

その号竜を発明した者としての自信と誇りが、自然と滲み出てきたのだろう。

「おまえの号竜は、どんどん扱いやすくなっているって評判なんだろう?」

烈花と馴染みのシグトは、かなり早い段階から号竜を相棒にしているのだが、彼と会うたびに、

「ここがすごいんだ!」

とか、

「こんなこともできるんだぜ!」

とか、まるで新しいおもちゃでも自慢する子供のように興奮した様子で、号竜の優れた点をこれでもか、これでもかとまくしたてられていた。
正直なところ、烈花は号竜にさほど興味がなく、号竜を自慢しまくるシグトのことはうるさくて仕方なかったが、それでも、号竜によってシグトを始め、多くの魔戒法師たちの意識が変わったことを肌で感じ、レオの功績を素直に認めてもいた。

「烈花さんにそう言われると、なんだかちょっとくすぐったい気がしますね」

そう言ってレオは照れ笑いを見せたが、すぐに

「でも、号竜はまだまだ改良の余地があるんです。
 あいつらをもっとよくして、より多くの魔戒法師に役立ててもらえるようにしなければ…」

と視線を遠い先にやって真面目な顔で呟いた。

その横顔を見ながら、烈花は不思議に思っていた。
狼怒(ロード)の鎧を継承する魔戒騎士であるはずのレオが、なぜ魔戒法師のように魔導具の制作にここまで没頭するのだろう、と。
確かに、法師としての才能があるのは事実なのだろうが、騎士として鎧を召喚し、ホラーと闘える立場にあるのであれば、そちらに重きを置けばよいのではないだろうか?



そんなことをつらつらと考えていたところ、不思議な気配を烈花は感じ取った。
それとほぼ同時に、レオもまた辺りの気配に注意を払う。
すると、暗い闇の向こうから、ぽぉっと緑色に光る球状のものが近づいてきた。

「っ!」

烈花とレオは、すぐに腰を落として片足を後ろに引き、烈花は筆に、レオは剣に手をかけて、いつでも抜けるように身構えた。
そうこうするうちに、光の玉は烈花とレオのそばまで近づいてきて、ふたりの頭の上をゆらゆらと揺れながらまわり始めた。
1回2回とまわるうちに、それはいつの間にか蝶の形となって、美しい羽を優雅に羽ばたかせていた。
その蝶が、中空の1点で止まったかと思うと、今度はフルフルと羽を小刻みに振るわせ始めたではないか…
やがて、羽から金粉のような光の雫が降り注ぎ、見る間にじわじわと不揃いに集まっ高と思うと、それらは魔戒文字の形を作り始めた。

「これは…」

光の文字を仰ぎ見ながら呟く烈花。

「…どうやら元老院からの急ぎの指令のようです」

さっと斜め読みしたレオがそう言うと、再度、声に出してそれを読み上げた。

「その昔、カリグスの都を大量の人々の血で赤く染めしホラー エストギル。
 その魔獣が今宵、南の管轄にあるレイクサイドタウンを襲い、騎士たちに追われて西へと逃走している。

 逃走方面となる場所にいる魔戒騎士ならびに法師は厳重に警戒せよ。
 エストギルを見つけた者はただちに報告を。また、これ以上の被害を出さぬよう最大限の力をもって、事(こと)に当たるべし」

レオが読み終わると同時に光の文字は蝋燭を吹き消したようにゆらりと揺らいでふわっと消えた。
そして、蝶の形であったものもまた光の玉となり、来た方向とは反対の方向へと飛び去っていった。恐らく、この先にいる魔戒騎士たちにも同じ指令を伝えるためであろう。
だが、烈花とレオはその玉の行方をのんびりと目で追う余裕などない。

「レオ!」

押し殺したように短く鋭く名を呼ばれたレオは、無言でうなずき烈花に応える。

「エルバ!」

レオは指に嵌めた魔導輪に助言を求めると、ひどくおっとりとした老婆のような声が聞こえてくる。

「かすかじゃが、邪悪な気を感じるよ。その気は… おお、おお、どうやらこちらに向かって近づいているようだねぇ。
 レオ、迎え撃つ気構えはできとるなっ?」

最後には、レオを叱咤するような鋭い口調に変わったエルバに、

「エルバ、僕は大丈夫だよ」

とレオは答え、チラリと烈花のほうに視線を送る。
烈花は、それに対してフッとふてぶてしい笑いを浮かべると、

「こちらも、いつだろうが問題はない」

と自信たっぷりに応えた。
そのとき、エルバの鋭い声が飛んだ。

「レオ! おまえさんから見て11時の方向じゃっ!
 ふたりとも油断するんじゃないぞっ!」

to be continued(4へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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