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こんな日が来るなんて(2)
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「なんでもないんだよ。そんな大したことじゃ…」
カオルから、心配事でもあるのかと気遣われた邪美は、笑顔でうそぶいたが、邪美が最後まで言わないうちに、カオルは、
「ほんとに?」
と静かだが、強い口調で尋ねた。
真摯な目が邪美を見つめる。
(この子は…)
邪美は大きく目を見開く。
邪美がカオルと初めて会ったときは…
いや、会う「前」には、あの鋼牙が掟を破ってまで守ろうとしたことに、カオルに対して強い疑念と妬ましさにも似た思いが沸き起こっていた。
そして、実際に会った時。
自分とは明らかに違う印象を持つカオルに、小さな衝撃を感じた。
そのときの彼女はあまりにも非力で、これといった価値も見いだせないようなちっぽけな存在。
こんな奴を活かしておく意味があるのか? 本当に鋼牙が守るべき者なのか? 邪美にはどうしても合点がいかなかった。
でも、今は違う。
カオルは、鋼牙にとって「特別な存在」なのだと心底思っている。
黄金騎士である鋼牙を支える存在。
彼女がいるからこそ、鋼牙はより強くなった…
そう… カオルは、魔戒騎士や魔戒法師とは違う強さを持っているのだ。
けれども、
「カオルの存在感は、相手が鋼牙だからこそ」
邪美はそう思っていた。
だが、最近、どうやらそれは違うようだ、というふうに思うのである。
(ほんとに不思議な子だねぇ)
素直で、明るくて、喜怒哀楽がはっきりしているカオルは、だからと言って全くの無垢で無邪気な女性ではない。
人間の弱さや醜さを知っていて、自分が非力であることや欠点があることもわきまえている。
でも、それでも諦めないしぶとさ、今ある場所から立ち上がろうとするタフさが、カオルの不思議な魅力なのである。
その証拠に、実際に彼女と会ったことのある者は、いつの間にか彼女に魅了されるのだ。
年齢的にはずっと上であるはずの邪美だったが、今日はなぜかカオルに頼りたいような気になっていた。
「ある魔戒騎士がいるんだけどね…」
邪美は、そう話し出していた。
それが、あまりに自然すぎて我ながら驚いたが、なんとなく流れに任せてみるのも悪くないような気がした。
「そいつってさ、あんたの大好きなヤツとおんなじで、不愛想で、よくわかんないとこでいろんなもんを独りで背負ってて、ほんと、不器用な男なんだけどさ…」
カオルは、うんうん、とうなずきながら聞いている。
「なんかさ、あたしの言うことにいちいち口出ししたり、自分が一番正しいんだって思い込む ’分からず屋’ だったりするんで、最初の頃はずいぶん腹も立ったんだけどね、なんかね…」
そう言って言葉を濁す邪美の代わりに、カオルが言った。
「好きになっちゃったんだね? その人のこと…」
ふふふ、と笑いながら、カオルが言うと、邪美も少し照れ笑いを浮かべながら、
「うん、まあね」
と隠さずに答えた。
「その人も、邪美さんのことが好きなの?」
至極シンプルにカオルが尋ねるものだから、邪美もシンプルにこくんとうなずいて見せた。
「よかったじゃなーい!」
ぱぁっとカオルの顔が輝いて、嬉しそうにニコニコ笑うので、邪美もしあわせそうな顔になった。
ところが、
「でもね…」
そう言ったきり、邪美は少し哀し気な顔になる。
カオルは、口を挟むことなく、じっと邪美の言葉を待った。
「そいつには、今はもう亡くなってしまったけど、立派な魔戒法師の両親がいてね。ちゃんとした家の出なんだよ。
だから、あたしみたいな、どこの馬の骨ともわからないような女はね…」
その先を言うのが辛いのか、邪美は黙り込んでしまった。
カオルも黙り込む。
邪美の悩みは、決して他人事ではない。カオルだって…
重い空気がその場を支配する。
「あはは、なんかごめんよ、カオル!」
邪美が、雰囲気を変えようと明るい表情で言った。
「ほんと大したことじゃないんだよ。別に、誰かにどうこう言われたわけでもないし…
ただ、ちょっと、ひとりで悶々とするっていうかさ。…なんかそういうだけなんだよ」
明るい笑顔を見せる邪美に、カオルは真剣な表情を崩さない。
そして、ふいに口を開いた。
「ねえ、邪美。この後、何か用事でもある?
よかったら、あたしに付き合ってくれない?」
to be continued(3へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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