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きんのまなざし ぎんのささやき

たまにはこんなものも(1)

師走って、ほんとに目まぐるしい…
でも、妄想も止めらんない。

毎度のことながら、思いつきで出発進行!
妄想列車は今日も走ります~

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(ここはどこだ…?)

涼邑零はゆっくりと目を覚ますと、目だけを動かして辺りを見た。
まず視界に飛び込んできたのは、青い空。 そして、明るい日の光。
次に感じ取ったのは、少し湿ったような土の匂い。
そして、優しく吹くそよ風…



(俺はなぜこんなところで寝てるんだ…?)

左手を胸に、右手の甲を額に置いて仰向けに寝ている格好のまま、零は
疑問に思う。
考えてみたところで答えは得られそうもなく、答えを得るのはそれほど
重要でないようにも思えた。



零は地面に手をついて、そろそろと起き上がった。
手のひらに触れるのは、柔らかい草地の感触で、太陽を浴びていたからか
ほんのりと温かかった。

上体を起こしたところで、今度はきょろきょろと広い範囲を見渡してみる。
自分が寝ていたのは、小高い緑の丘の上だということがわかる。
目の前に広がる青々とした広い草地と、その向こうに森が見える。
森の奥から流れてきているらしい小川が、草地の中を横切っていて、
水面が陽光を反射してキラキラと光っている。

そこには、人家などの建造物はもちろんのこと、およそ人工的に作られたと
思われる物はひとつとして見当たらず、当然かもしれないが、人の姿も
全くなかった。
360度すべてが ’自然’ という ’不自然さ’ …

それを、零は、少しも異様と感じていないことも、異常なことだった。



「ここは…」

ふと呟いた自分の声が、耳障りなくらい大きく聞こえる。
そのくらい、静かな場所だった。

いや…
耳を澄ませば、草地に咲く名も知らぬ白い小花の周りをブンブンと飛ぶ
虫の羽音や、天高くで鳴いている軽やかな鳥の声が聞こえる。



(いいところだな…)

そう思いながら、零はまたゴロンと丘に寝そべった。
大きく羽を広げた鳥が、零の真上の空に大きな円を描きながら飛んでいる。
寝ているわけでもなく起きているわけでもなく、ただのんびりと時間を
過ごす。

零の顔には、自分で気付かないうちに、自然と微笑が浮かんでいた。

誰にも何にも急(せ)かされず、邪魔されず…
すべきこと、務(つと)めねばならない責務もなく…



どのくらい時間が経ったのだろう。
あれから何時間も経つというのに、太陽が傾く気配がない。
腹も空かなければ、喉の渇きも覚えない。

ひとりでいるのに孤独は感じない。
ひとり… そう、零は完全にひとりきりだった!
必ずそばにいるはずの、 ’家族’ もいない。

誰とも喋らないまま、1日経ったのか、あるいは1週間経ったのか。
しかし、そんなことも気にならない。



ふと、寝返りを打った。

「いてっ」

何か硬いものが零の腰のあたりに触れた。
なんだろうと、コートの上から手をやると、ポケットの中に何かが入って
いる。

「?」

寝転がったまま、ポケットの中に手を突っ込んでみる。
指の先に小さく硬いものが触れたので、それを引っ張り出してみた。
手の中の物を、顔の前にかざして仰ぎ見た。

それは、棒付きのキャンディだった。

(なぁんだ、ただのロリ〇ップか…)


そう思って、またポケットに戻そうとする。
別に甘いものが欲しいわけではなかったし、口寂しいわけでもなかった。

だが、ふと手が止まった。

  ただの気まぐれ…

言ってしまえばそれだけの、些細な衝動だった。

ポケットに戻そうとしていた ’それ’ を、再び、目の前に持ってくる。
そして、おもむろに白と黒のひし形模様の並ぶ包み紙をめくった。
中から真っ黒なキャンディが現れ、その見た目の異様さに、まず驚いた。

だが、出してしまったものは仕方がない。
とりあえず、口の中に放り込んでみた。

その瞬間、うっと顔をしかめる。
見た目はともかく、甘くておいしいものだとばかり思っていたキャンディーは、
なんとも言えず、不味かった。
それはもう、想像を絶するほどに!
甘いと言えば甘いし、苦いと言えば苦いし、酸っぱいと言えば酸っぱいし、
臭いと言えば臭いのだ。

食べ物に臭いと言うのもどうかと思うが、どこか生薬(しょうやく)の
ような味(というか匂い)がする。
思わず、口から取り出した。

(こんなものウマイと思って食べるやつがいるんだろうか?)

そう思った瞬間だった。

(あぁ、でも、カオルちゃんが、これ、おいしいよ、って勧めてくれた
 んだったっけ…)

と思っていた。

(カオルちゃん?)

どうしてその名が出てきたのか不思議だった。
それが誰なのかわからない名前。
だが、確かにその名には聞き覚えがあった。

考えようとするが、何かが邪魔をするみたいで集中できなかった。
なんとも歯がゆい状況に、ヤケクソのように不味いキャンディーを、再び
口に放り込む。


「不味~~~い!」

叫ばなければいられないほど、とにかくひどい味だった。
でも、我慢して舐め続けていると、不思議なことに少しずつ記憶が
戻ってきた。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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