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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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ふ・た・り(1)

「咆哮」を妄想し終わったら、ちょっと満足しちゃいまして…
当分妄想なんてできないかな~ と思ってました。

思ってましたが…

すでに selfish が、ビョ~キなのを忘れていました。
無事に(?)次の発作が来ました… (苦笑)


今日から師走ですが、そして、いよいよクリスマスですが、selfish の
妄想には、そんなのちっとも関係ないみたいです。(すみません!)


「To be, or not to be」の続きとなりますので、未読の方は、先にこちら
お読みくださいませ。


拍手[21回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

'英霊の塔' での浄化が済んだ後、鋼牙はその足ですぐに屋敷に帰る
つもりだった。
だが、車を停めてある山小屋までカオルと一緒に歩いて戻る道すがら、
何気なく言ったカオルの一言で考えを改めた。

「ねぇ、鋼牙?
 ゴンザさん、疲れてないかな?
 今日は朝早かったのに、これからまた長い距離を運転してもらうん
 だよね?
 大丈夫かなぁ」

(確かに…)

この頃のゴンザは

「こう見えて、まだまだ若いんですから」

とか

「まだまだ若い者には負けませんよ」

などと強がっているが、そもそも、そういうことを口にするようになった時点で
年をとったという証拠だった。
それに、時折、自分で自分の肩を叩いていたり、腰をさすっていたり、という
光景を鋼牙もよく目にしていた。

「そうだな。
 今日慌てて帰る必要がないのであれば…

 ゴンザに相談してみるか」

鋼牙のその返事を聞いて、今夜は3人で山小屋に泊まれるかも… と
カオルの期待が膨らんだ。

車まで戻ってみると、ゴンザの姿はなかった。
どうやら、山小屋のほうにいるようだ。
カオルが浄化されたあのとき以来、久しぶりの山小屋に、鋼牙とカオルは
入っていった。
その気配を感じ取ったようで、ゴンザはすぐに出迎えに出てきた。
そのゴンザに、鋼牙は言った。

「ゴンザ、今日は朝も早かった。
 ゴンザもカオルも疲れたんじゃないか?

 今晩はここで1泊して、明日屋敷に帰れば… と思うがどうだ?」

「いえ、わたくしは大丈夫でございます。
 ですが、もし万が一、事故でも起こしてカオル様の身に何かあっても
 いけません。
 鋼牙様がそうせよとおっしゃるなら、それに従います」

ゴンザは判断を鋼牙に任せた。
鋼牙はカオルを見て言った。

「今晩はこっちに泊まることでいいか?

 久しぶりの東の管轄だ。
 行きたいところなんかもあるんじゃないのか?
 明日はゆっくりあちこちを回ってから戻ってくればいいだろう?」

カオルは嬉しそうに、ぱぁっと顔を輝かせた。

「えっ、いいの?
 懐かしい場所にも行ってみたいなぁ~ って思ってたとこなの。
 鋼牙がいいって言うなら、泊まりたいな」

正直な胸の内を言葉にした。
その返事を聞いて、鋼牙はうなずいた。

「よし、決まりだ。

 ゴンザ、今夜はここに泊まって、明日、屋敷に戻ってくればいい。
 なんなら、明日も泊まってもいいが…  まぁ、その判断は任せる」

「判りました…」

ゴンザは鋼牙に答えた。
鋼牙の決定を聞いて、カオルはもう今晩のことを考えていた。

(ここだときっと満天のお星様が見えるよね~
 鋼牙と2人で天体観測する?
 きゃ~、ロマンチック~)

気をつけていないと、顔が勝手にニヤけてしまう。

『くっくっく…』

ザルバがそんなカオルに気づき、密かに笑っている。
それを見て、カオルは慌てて表情を引き締める。
だが、鋼牙の決定にはまだ続きがあった。

「では、俺は先に帰っている」

「はい、カオル様のことはお任せください」
「…!」

至極、当然といった感じのゴンザの返事と、カオルが驚いて息を飲んだのとが
同時だった。

『はっはっは…』

ザルバはとうとう大口を開けて笑い出した。
それまで笑いを噛み殺していたが、カオルの情けない表情を見て我慢が
できなくなってしまったのだ。
最初からザルバには鋼牙の考えていることも、カオルの期待していることも
お見通しだったので、笑うのを我慢していたらしい。

「なんだ、ザルバ?」

鋼牙が左手を持ち上げて魔導輪に問いかけるが、ザルバは笑いを
無理矢理抑えながら答えた。

『いや… クッ…
 なんでも… ない… グフッ…』

だが、一方であることに気づき、それを相棒に知らせてやった。

『鋼牙、魔戒道を使うなら急がないと、時間がないぜ』

「そうか…
 では、ゴンザ、カオルを頼む」

鋼牙はゴンザにそう願い、カオルにも優しい顔を向けたが、すぐさまコートを
翻(ひるがえ)し、山小屋を後にした。

去り際にザルバが声をかけた。

『カオル、そういうことだ…
 じゃあな』

本当にあっという間の出来事で、カオルにはどうしようもできなかった。
鋼牙が出て行ったドアが閉まってから、一拍おいてから溜息をついた。

(は~っ
 そうだよね。
 鋼牙は魔戒騎士なんだもん…)

魔戒騎士のそばにいる者として、自分にもある程度の覚悟はできていると
思っていたが、屋敷に戻ると言った鋼牙を当然のように送り出したゴンザと
完全に意表を突かれた自分とのギャップがありすぎて、正直なところ、
カオルはちょっぴり落ち込んだ。

ゴンザの態度に、鋼牙との付き合いのキャリアを見せつけられたような
気がした。

急に元気のなくなったカオルの様子を見て、ゴンザは心配そうに声を
かける。

「カオル様?
 どうかなさいましたか?」

「えっ、あぁ… 何でもない。
 うん、気にしないで」

カオルは慌てて、不自然な笑顔を顔に貼り付けてみた。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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