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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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To be, or not to be(5)

金狼感謝の日から公開してきました 「To be, …」 もこの回で終わりです。

「咆哮」からの引用が多いです。
っていうか、多過ぎです。 (苦笑)

この妄想をするのに(引用するのに、と言ったほうが正しいか?)
何回「咆哮」を見たことやら…
それだけに飽き足らず、一期の第21話「魔弾」の最初のほうで、
鋼牙があの絵にそっくりな場所にカオルを連れて行くシーンも
再試聴しました!
鋼牙、若~い! カオル、かわい~!

最後なんて言わないで、もっと鋼牙さん撮ってほしいな~
「最後」は、映画をヒットさせるための常套文句でしょ?
そうだと言ってくださ~い!


拍手[23回]


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

塔の中では、浄化の儀式が粛々と執り行われていた。

<我ら牙狼の称号を受け継ぐ者よ。
 光を浴びるがよい>

「はい」

柔らかくまばゆい光が鋼牙に降り注ぐ。
鋼牙は心を空っぽにして、その光を浴びた。

<今、お前の肉体に宿る邪気は、お前の陰我と共に消え去るだろう。

 しかし… その刻印は我らの力では敵(かな)わぬ>

「判っています」

なかば予想していたことだった。
ストレートに告げられたことで、鋼牙はその言葉を潔く受け入れることが
できた。

<我らにはお前の未来は見えない。

 お前がすべきことは…
 お前の命と、そして命をかけて守るべき者と対面することだ>

浄化の光を浴びながら、その言葉が示す真(しん)の意味を、鋼牙は
考えていた。

光が弱まっていき浄化の儀式が終わったとき、鋼牙は以前より身体が
軽くなったことを感じていた。
もちろん、胸の刻印が消えたわけではない。
今は感じないが、刻印が身体を蝕んでいく痛みも、これまでどおり
昼夜を問わず鋼牙を苦しめるだろう。

だが、不思議と心は穏やかだった。

「お前がすべきことは、お前の命と、そして命をかけて守るべき者と
 対面することだ」

そう言われて、鋼牙は決心がついた気がした。

(カオルにはすべて話してしまおう。
 そうすれば、俺はカオルを真っ直ぐ見つめられる気がする)

鋼牙はその想いを胸に '英霊の塔’ を後にした。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

カオルとゴンザの元に戻ってきた鋼牙は、ゴンザを先に車に帰し、
しばらく一緒に歩きたい、とカオルを誘った。


「カオル、もっとお前の話を聞かせてくれ」

「どんな?」

「俺の知らないことなら何でもいい」

「鋼牙の知らないあたしのこと?
 なんだろう?
 あたしの知らない鋼牙の話ならたくさんありそうだけど」

「…」

「あれっ?
 そんなものなどない、じゃないの?」

「そうだな」

カオルは、一瞬、触れてはいけない部分に触れてしまったかと心配になった。
だが、鋼牙が否定したことで、自分が不安に思うようなことはないのだ、と
安心することができた。

だが、鋼牙は、塔の中で決意していたのだ。
刻印のことをカオルに告げようと。
だからこそ、カオルに話してしまうことで、「カオルの知らない俺のこと」 は
なくなるはずだった。

刻印のことを話すときが来た、と鋼牙は思った。

「カオル… 俺は…
 …!」

そのとき、カオルの時が止まってしまったようになった。
ザジにより時間の流れが変えられたのだ。
ザジは、かつて牙狼が倒したホラー達の邪気が固まり実体化したもの
だった。

ザジの身体の一部が鋭いトゲ状に変形し、カオルをピタリと狙っている。
カオルを守るため、鋼牙はザジと相対(あいたい)することになった。

ザジとの闘いの中で、鋼牙は自分の倒したホラー達の雄たけびを聞き、
そして、改めて感じた。
自分は、人間の陰我から生まれるホラーを、太古の昔から倒し続けてきた
黄金騎士、牙狼の称号を受け継ぐ者なのだということを。
そして、これからも人間を守るため、ホラーを倒すのが自分の宿命で
あることを。
だが、それは、他の誰でもない自分が選んだ道なのだ。


刻印のことをカオルに告げることは実に容易(たやす)い。
そして、告げることで自分の抱える重荷をひとつ減らすことができるだろう。

だが、その代わり、その重荷はカオルが背負うことになる。

(俺はカオルを守ると決めた。
 そのカオルの笑顔を奪うようなことはしない…)

ザジを倒した今、鋼牙にもう迷いはなかった。

刻印のことを話すと決めたときの、’英霊の塔’ の中で感じた穏やかさよりも、
話さないと決めた今、心が爽快なまでに澄みきっているのを感じていた。

「俺は…
 何?」

時間が元通り動き出したとき、カオルが鋼牙に聞き返した。
ザジが時間の流れを変えた直前の会話の続きだった。

「俺は…
 俺は、牙狼の称号を継ぐ者だ。
 それは変えようがない」

鋼牙はそう答えた。
そんな当たり前な答えで、鋼牙の言わんとすることがカオルに伝わるとは
思えなかったが、鋼牙自身はそれでいいとも思っていた。
だが、そんな鋼牙の答えに、カオルはしっかりと応えた。

「わかってるよ。
 今までもこれからも…」

(そんな貴方を、あたしは全部受け止めていきたいと…
 そんなふうにもう決めてるからね)

カオルの答えの裏側にはそんな想いが隠されていた。
それは、鋼牙にはうかがい知れないことだったが。


「あれっ?」

先程までは美しく整っていた、ホラーを象(かたど)った彫刻の顔の部分が
壊されていた。
ザジとの闘いで、ゲートであるこの彫像の一部を鋼牙が破壊したのだった。
その破壊された傷跡に、古い魔戒文字が刻まれていた。

「なんて書いてあるの?」

カオルの問いにザルバが答える。

『守りし者が守るべき光を得たとき、そこに試練が訪れるだろう…
 と書いてある』

鋼牙はその言葉を噛み締めていた。

(カオル…
 俺はお前と出会えたことで、ひとりで闘っていたとき以上の試練を
 乗り越えなければならなくなったのかもしれない。
 だが、俺は、それを後悔していない。
 どんな試練にも、俺は立ち向かって見せる…)

鋼牙のそんな決意には、このときのカオルは気づくはずもなかった。


どんなに強い結びつきであろうと、ひとりひとりの人間なのだから、
互いの想いが相手にすべて伝わることなどありはしなかった。
だが、互いを思いやり、相手のために強くありたいと2人はそれぞれに
願っていた。


「帰るぞ」

鋼牙にそう言われてカオルはうなずいて従った。

鋼牙が育ち、牙狼の称号を継承した大切なこの場所を、カオルは最後に
振り返った。
美しい景色をもう一度その目に焼き付ける…


(鋼牙はこれからも牙狼であり続ける…

 少し寂しい気もするけど…
 それが鋼牙なんだもんね)


そんな想いに浸っていたら、

「おいっ」

鋼牙が足を止めて声をかけてきた。
カオルが慌てて振り返り走り寄る。
鋼牙はカオルをそばまで来るのを待たずに歩き出す。


(そうだね、あなたはいつだって前に向かって歩み続ける…
 あたしは置いていかれそうになることもあるんだわ。

 でも…
 あなたはちょっぴりだけ、あたしに歩調を合わせてくれる…

 それは、あなたもあたしと一緒に歩きたいから、って、そう考えても
 いいかなぁ?
 ねぇ、鋼牙、どうなの?

 えっ、あたし?
 あたしはねぇ… うふふ…)


陽が西へと傾き、光も輝きを失いつつある中を、鋼牙とカオルは、
ひとつの影を作りながら重なり合うように寄り添い歩いていくのだった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「咆哮」の何が好きって、鋼牙とカオルが一緒に歩くシーンです!
冒頭と途中と最後の合計3回も一緒に歩いてますよね。

ひとつ前の「秘密」では、霊獣を訪ねるツアーのスタート地点となった
公園で、あの優しいはずのレオくんがカオルちゃんを置いてスタスタ
歩いて行っちゃうという、まさかのシーンがありました。
レオくんらしくないなぁと思って見ていたのですが、「咆哮」で鋼牙さんが
カオルちゃんに歩調を合わせて歩くシーンを強調したかったのかしら?
と勝手に解釈しています。

最後の「おいっ」て声をかけるところ…
selfish には、大河パパとイメージがかぶりました。
「まぁまぁ、お父さんと似てきたわねぇ」 としみじみ…
きっと、’英霊の塔’ には大河パパも眠っているからそう感じたのかも…


そうそう、原作に忠実に… とは思っているのですが、この妄想では
原作とは意図的に変えた点があります。

原作では、ゴンザさんは先に 「屋敷」 に帰るように言われていたのですが、
ここでは 「車」 に戻るように、としました。
ゴンザさんが北の管轄にある屋敷に帰ってしまったら、鋼牙さんたちは
どうやって帰るんだろう? って点がどうしても解決つかなかったので。
まさか、歩いて帰るわけにもいかないしねぇ~
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無題

最後まで読めれたこと感謝、長々とご苦労さまでした。鋼牙とカオルが歩くシーン必見なかなか見れませんものネ、カオルが鋼牙の口癖を物まねすると
鋼牙の返答するシーンが好きで、萌えをかんじてます、ニコニコの件ですが、一度自分で、ニコニコに登録したところ登録できないとの返答が返って来てこれでもうできないだめ諦めて半年近く過ぎて皆さんの助言で息子に話したところ出きるとの回答、エ、エ、できるの見えるの見えました、嬉しいのと、何故もっと早くきずかなかったのかと悔しい、悔しい次回のニコニコが待ちどうしい、
かなまま 2012/11/30(Fri)22:28:30 編集
Re:無題
二期では全体的にカオルちゃんが大人びてしまってちょっぴり物足りなさも感じていたりしたのですが、「咆哮」の回でははしゃいでいるカオルちゃんが見れて、逆に新鮮でした~

ニコニコ、無事見れるようになってよかったですねっっっ
ここだけの話(にするのは無理かな)、動画としてアップしていらっしゃる方がいるので、過去の放送回も見ることができますよ。(ホントはダメなはずなので、いつ削除されてしまうか判りませんけど…)
画面の上のほうにある「動画」って白い文字をクリックしてから「ら・ら・ら」で検索してみてくださいね。

好みが分かれるところだとは思いますが、個人的には第7回の旅情がテーマの回が selfish は好きでした。
「ジャーニー」(by もんた&ブラザーズ)のアレンジが滅茶苦茶かっこよかった!
スナック専属ピアニスト(という設定になっている)事務員Gさんがいい仕事をしてます!
(Kくんではなく、Gさん押してどうするんだって感じですが)

きゃ~、かなまま様、どうしましょう?
12月はただでさえ忙しい月なのに、今年の12月は例年以上に(ニコニコ見るのに)忙しくなっちゃいますね~
 (笑)
【2012/11/30 23:08】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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