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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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もしもの話(14)

なかなか進まないアクションシーンなのに、1週お休みもらってすいませんでした!
さあ、いよいよハーリーティーとの最後の決戦!
コーガっ! やっつけておしまいなさいっ!


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「おのれ…」

ハーリーティーの美しい顔が憎々し気に歪み、白く滑らかだった肌に亀裂が生じました。
メッキが剥がれるように白い皮膚がパラパラと落ち、その代わりに肩や背中から黒光りする本来の姿がムクムクと現れてきました。
最後に現れた顔は、巨大ホラーとよく似て大きな目に逆三角形をしています。
そして、細く締まった腰にぷっくりとした大きく細長い腹が後ろに伸びているの詩型もそっくりでしたが、唯一、腕の形状だけは異なっていました。
巨大ホラーの腕が大きなカマであったのに対し、ハーリーティーの腕は人間と同じ形状で、その両手には青龍刀のような大きく反り返った武器が握られていました。

こうした反応が物語っていました。巨大ホラーの遺した最期の言葉が紛れもなくハーリーティーの弱点を示していることを…

『コーガ、ぬかるなよっ』

バルザからかけられた言葉に、コーガは顎を引き、無言で応えました。

ハーリーティーが仕掛ける攻撃は、2本の刀を巧みに操り、流れるように途切れなくコーがを襲います。
コーガもそれを受け、交わし、弾き返して善戦していますが、やがてじわりじわりと押され、後退していく形勢となりました。

「コーガ!」

心配のあまり声をあげ、身を乗り出すカオルンをレイが後ろ手に庇うようにして押しとどめます。
固唾を飲んで見守るふたりの目に、とうとう、剥き出しの岩肌まで追い詰められたコーガの姿が映ります。

「「っ!」」

『ろわろわ、のるらこざありんるがえ?(おやおや、もう後(あと)がないようだね?)』

余裕たっぷりにハーリーティーが言います。

「くっ…」

厳しい状況に歪んだコーガの顔を見て、ハーリーティーは勝利を確信したように
「そろそろ決着をつけようか?」

と大きく右手を上げ、力任せに振り下ろしました。
それを牙狼剣で受けましたが、これまでとは比べようもないほどの打撃に弾き返すことができません。
しっかりと刃(やいば)を受けた体勢からじりじりと押されます。
すると、ハーリーティーが今度は左の手を高々と差し上げました。

『そめげろやみがっ!(これで終わりだっ!)』

言うなり振り下ろされた刀が、牙狼剣に叩きつけられ、2本の刃の重みにさらに押されていきます。
いよいよコーガの眼前10数センチのところまで刃が迫ったときに、コーガは左手を強く握りしめ、前へと突き出しました。
ですが、渾身の拳はハーリーティーの右手のわずか下を掠めただけで、届きませんでした。

「嗚呼っ」

悲鳴にも似たカオルの叫び声。
レイも思わず助太刀しようと自分の剣に手をかけて駆けだそうとしました。

そのとき…

「バルザっ!」

とコーガが叫び、

『はぁーっ』

というバルザの盛大な溜め息が聞こえた後、

『ずぁーっ!(ぐぁーっ!)』

という咆哮がとどろいたかと思うと、ハーリーティーは大きくのけぞりました。よく見ると、ハーリーティーの右手からボタボタと緑の体液が流れ出していて、指が1本、ストラップか何かのように皮1枚でつながっている感じでブラブラと揺れていました。

刀を取り落とし、左手で右手を庇うように包んだハーリーティ-は、痛みのために身体をくの字に曲げています。
その好機を見逃すこともなく、今度はコーガが牙狼剣を高く掲げて、真っすぐにハーリーティーの身体に振り下ろしました。

  ぎゃああああああ

洞窟中の空気を震わすようにハーリーティーの断末魔が響き渡ります。
その声がだんだん小さく消えてなくなる頃には、ハーリーティーの身体も黒い塵となり、消滅していきました。



  ガシャン!

牙狼の鎧を解いたコーガが、反動で足をよろめかせます。
が、すぐに態勢を持ち直して、ほっと小さく息をつきました。

「コーガっ!」

駆け寄ったカオルンがコーガを見上げて、泣き笑いのような笑顔を見せたので、コーガはそっと頬に手をやり、柔らかい表情を見せました。

「やったな!」

遅れてやってきたレイも安心したように声をかけます。

「危ないところだったがな…
 こいつのお陰だ」

そう言ってコーガは左手のバルザをふたりに突き出します。

『まったく、俺様にあんなことさせやがって!』

プリプリと怒っているバルザを見たふたりは、説明を求めてコーガの顔を見ます。

「をぴゆさね…
 あの巨大ホラーが遺した言葉の意味は ’指を咬め’。
 だから、バルザに奴の指を噛んでもらったんだ」

そう言ったコーガに、バルザは

『あんな年増の指なんか咬ませやがって!
 コーガ、おまえが咬めばよかったんだっ!』

と怒りの収まらない様子でなおも悪態をついた。
ところが、コーガは悪びれもなく、

「仕方がないだろう?
 俺に咬まれることを警戒して、隙を見せなかったんだからな。
 それに、俺はホラーを咬むなんてまっぴらごめんだ」

と言うものんだから、

『俺様だってヤなこった!
 なにか? おまえは自分が嫌だからって俺様にその役回りを押し付けたってことか?
 これはおっきな貸しだからなっ! コーガっ!
 いいか? 覚えとけよっ!』

やいのやいの言い合う様子を見ながら、カオルンとレイは顔を見合わせ、苦笑を浮かべた。




暗い洞窟から出て、久しぶりに太陽の光の下(もと)に出てきた3人は、安堵したように笑顔を浮かべた。

「じゃあ、俺は一足先に城に戻るよ。コーガたちはゆっくり帰ってくるといい」
そう言ってレイは、カオルンの乗ってきた馬を引いて、先に帰っていきました。
「募る話もあるだろ?
 カオルンはコーガの馬に乗せてもらいなよ…」

きれいなウィンクをしてお茶目な笑顔を見せたレイを、カオルンは複雑な笑顔で見送りました。



to be continued(15へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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