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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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月の光を集めて(1)

さあ、また、新しい妄想の始まりです!
よし、気合入れて書かねば!
…と思っているのですが、なんだか気持ちが空回りして初っ端はかなりかなり短めです。とほほ…

今度の妄想は、これから寒さが厳しくなるというリアルな世界とは真逆の初夏のお話です。
また、みなさんに少しでも楽しんでいただけたらいいなぁ、と思いつつ…



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「確か、この先じゃなかったかな?」

初夏を思わせるくらいによく晴れた日のこと。
車1台が通れるほどの道幅はあるものの、舗装などまったくされていない砂利道を歩いていた零が、足を止め、額にうっすらとかいた汗をぬぐいながら言うと、

『そうね。わたしの記憶に間違いがなければ、もうそろそろだと思うんだけど…』

カチカチと金属的な音とともに、艶っぽいシルヴァの声がそれに応えてくれた。

「あれからもう2年? いや3年経つのか?」

そう言いながら、零は再び歩き始めた。

『3年ね。
 でも、ゼロ。今はもう誰もいないかもしれないわよ?』

それでもいいの? と言いたげなシルヴァの問いかけに、

「いいんだよ、別に…」

と零は薄く笑って言った。




やがて、大きく左に曲がった道をそのまま進むと、それが見えてきた。
新緑の柔らかい緑で彩られている中、零の歩いている砂利道から左脇のほうに延びる小道を上がった斜面の一部が、うっすらと青く染まっていた。
それを見た零がはっと息を飲み、ふっとまなざしを緩めた。

一歩一歩近づくたびに点描のように見えていたそれが、段々と姿をはっきりとさせていく。
それは、花だった。群生して咲く青い花。



砂利道から外れて小道を登り、少し高いところまで来て足を止めて振り返る。
眼下を埋め尽くすように咲いている花房を揺らして、斜面を登ってきた風が吹き抜けて、目を細めている零の髪を揺らした。

『見事ね…』

人間と長い時間を共に過ごしてきた魔道具の目にもそれは美しく見えるのか、シルヴァもため息交じりに呟いた。

「ああ、本当に…」

少し汗ばんだ肌に優しい風を受け、零は目を閉じて大きく深呼吸をした。
そうすると、甘い花の香りが胸一杯に満たされて、より一層零の気持ちを穏やかにさせてくれる。

零はゆっくりと目を開けて、群生する花を見渡して思っていた。
これだけの花が人の手をかけずして咲くことはないんだろうな、と。

そう思うと同時に、3年前に出会った人の姿が零の脳裏に浮かんだ。
とても美しい人だった。
黒く艶やかな髪に白い肌。黒目がちな潤んだ瞳で寂しげに笑った顔。

(彼女は今でもここにいるんだろう…)

その考えに至ったとき、それまで穏やかだった零の顔が少しだけ悲し気に歪んでいた。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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