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きんのまなざし ぎんのささやき

もしもの話(16)

いよいよ、ラストスパート!
朦朧としながらも書ききるぞぉ!
ね、ねむい… ZZZ…




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「あたし… あなたのそばにいてもいいの?」

少し落ち着いたカオルンはコーガの腕の中で言いました。

「…いてもらわなければ困る」

穏やかな声がカオルの耳に、そして、カオルンがもたれかかっているコーガの胸からじかに振動となって響いてきます。
それを聞いたカオルンは嬉しいと思う反面、やはり不安は捨てきれませんでした。
カオルンはそっとコーガの胸を押し、顔をあげました。
まだ潤んでいるカオルンの目と、少し哀しそうなコーガの目がまっすぐに見つめ合います。

「その言葉、信じたい… でも…」

言い淀むカオルンに、コーガは彼女の背を抱く手に力を込めて優しいまなざしを送ります。
それに励まされてカオルンは言葉を続けました。

「でもね、いつかやっぱりまた今みたいに不安になって、こんなふうに面倒くさいこと言ったりして、何度もコーガを困らせそうな気がするの。
 それでもいい? そんなあたしでもいい?」

そう言いながら、コーガが自分を見放す返事をするかもしれないという不安に身が震え、鼻の奥がツンとします。
今泣いたりしたらだめだ、とカオルンは無意識に唇を噛んで涙を堪(こら)えます。
それを見て、コーガは切ない気持ちになりながらもどうしようもなく彼女が愛しくて、わずかに表情をゆるませます。

「そのときは、また何度でも言うだけだ。おまえでなければだめなのだ、と…」
そう言うと、コーガはきつく噛んでいるカオルンの唇を優しく親指でなぞりました。
そのときになって初めて自分が唇を噛んでいたことに気づいたカオルンは、ハッと噛むのをやめました。
かすかに歯の痕が残ったカオルンの唇に、コーガは包み込むようにふわりと優しいキスを送ると、カオルンの目元から目尻を撫で、涙の痕をぬぐいました。
コーガのひとつひとつの仕草が、自分が確かに愛されていることをカオルンに伝えています。

それでも、カオルンは、どうしても確かめておきたいことを訊かずにはいられませんでした。

「でも… でもね?
 もしも、もしもだよ? あたしがコーガの子どもを産めなかったら… そしたら、コーガは困らない?」

必死な表情ですがるように尋ねるカオルンに、コーガはこんなときだというのに、彼女がとてもかわいくて、笑みがこぼれそうになってしまいました。

「それを言うなら…
 もしも、それを理由に俺のそばにおまえがいられなくなるとしたら、おまえは困らないのか?」

「えっ…」

そう切り返されて、カオルンは視線が不安げに揺れました。

「でも… だって…」

答えを探しあぐねるカオルンを、コーガはその腕に閉じ込めるように抱きしめます。
そして、カオルンの耳に口を寄せ、その思いを口にします。

「’もしも’の話ばかりをしていてもしょうがないだろう?
 もしも俺たちの間に子どもが授からないのだとしたら…」

核心を突くようなコーガの言葉に、カオルンはハッと息を飲んで身体を固くしました。
腕の中で小さくなっているカオルンの背中を、コーガは優しくさすります。

「それなら、それまでのこと… だろ?」

さらっとそういうコーガに、カオルンは顔を上げて反論しようと口を開きかけますが、コーガは再びその唇を自分の唇で覆い、彼女の気勢をそぎました。
カオルンの目は大きく開かれましたが、その反対に、開きかけた口は言葉を飲み込み閉じられました。
それを確かめたコーガは、カオルンに言い聞かせるように彼女を見つめてゆっくりと言いました。

「子どもが授かるかそうでないかは、俺たちで決められることではないんだ。
 だから、どうあがいたところでどうしようもない。

 けれども、自分が誰のそばにいたいのか、誰とともにありたいのかは自分で決めていいはずだ。だから…」

コーガの温かい手がカオルンの頬を包みます。

「何があろうと俺のそばにいろ。
 俺から離れることは許さない」

選ぶ言葉は強く激しいものでしたが、その声音はとても優しいものでした。
カオルンは目を潤ませながら、頬にあるコーガの手に自分の手を重ねました。
コーガはカオルンの顔を覗き込みます。

「カオルン…
 この手を離すな。いいな?」

言い含めるような、それでいてどこか懇願するような声がカオルンの胸を震わせます。

「…うん」

小さく呟いた声とともに、大粒のキラキラ光る熱い涙がカオルンの頬を伝っていき、カオルンは鋼牙の胸に顔を埋めました。





夕暮れどき。
コーガとカオルンが城に戻ってきました。
ふたりの到着を聞いたゴーザンが、

「ああ、カオルン様! よくぞご無事で…
 ようございました。ほんとにようございました」

と涙ながらに迎え入れました。
そして、城中の人が安堵と喜びで大きく湧きたちました。





その夜、香油をたっぷりと落とした湯に浸かり、疲れた身体をほぐしたカオルンは鏡の前で髪を乾かしながら、長かった今日1日を振り返っていました。
コーガは、というと、城に着くなり、今日1日で溜まってしまった政務のために執務室に閉じこもり、まだ戻ってきていませんでした。

はぁっ、とカオルンは深い溜め息をつきます。

(コーガの足を引っ張ってばかりね… だめだな、あたしって…)

鏡に映る自分の暗い顔を見て、一層気分が落ち込みます。
カオルンは鏡台に両肘をつき、顔を覆って再び大きなため息をつきました。

すると、気配もなくカオルンの背後から忍び寄る人影が…
その人影は、彼女に気づかれぬようそっと手を伸ばし、カオルンを後ろから抱きしめました。
突然のことに、一瞬ビクリとしたカオルンでしたが、

「また、余計なことを考えているな?」

という耳元で聞こえたよく知る声に、緊張を緩めました。

「コーガ…」

ホッとしたようにその名を呼び、首を捻って振り返ると、コーガと見つめ合いました。自然と、笑顔がこぼれます。

「もう終わったの?」

「ああ、急ぎのものだけ済ませてきた。
 あとは明日にまわしたから心配ない」

「心配ない、って…
 ほんとは今日片づけてしまわないといけないお仕事だったんでしょう? 大丈夫なの?」

不安げなカオルンにコーガはより表情を和らげました。

「明日でも支障はないから大丈夫だ。
 それよりも俺には優先すべきことがある」

「優先すべき… こと?」

カオルンは首をかしげて訊き返します。
コーガはそれには答えずに、ほんの少し意地悪そうに口角をあげると、カオルンの唇にキスをし始めました。
1回… 2回… 3回…
どんどん熱く、深くなるキスにカオルンは思考を蕩(とろ)けさせられ、身体から力が奪われていきます。

「今夜は何よりもおまえを抱くこと… それが最優先事項だ」

そう言うとコーガはカオルンを抱き上げて、ベッドへと歩き出しました。
慌てて力の入らない腕でコーガにしがみついたカオルンの耳に、バルザの声が聞こえてきました。

『コーガ、カオルンが二度と馬鹿なことをしないようにしっかりとつなぎとめとけよ』

仕事を終えたばかりで抜くことを忘れていたバルザがニヤニヤしています。
それを見たカオルンは真っ赤になり、コーガは不機嫌な顔になりました。
コーガはそっとカオルンをベッドに横たわらせると、指から抜いたバルザを少し乱暴に台座に戻して言いました。

「おまえに言われなくてもわかっているっ」

『おいおい乱暴にするなよ?
 俺様にはもちろん、女には優しく、優しく、だぜ?』

「フン、おまえの助言などいらんっ」

そう言うと、バルザを台座ごと箱に押し込み、パタンとその蓋を閉じました。
そして、振り返ると、ベッドの上で半分身体を起こして様子を窺っているカオルンのほうへと、上着を脱ぎながら近づきました。

コーガがカオルンの身体のすぐ脇に膝をつき、ギシッとベッドを軋むのに合わせて、カオルンの鼓動も大きくドクンと跳ねました。

「カオルン…」

カオルンの顔にかかる髪を指でそっと払ったコーガのまなざしは熱く揺れていました。




カオルンの中で、見えない将来への不安は消えてはいませんでした。

でも、今このときは、カオルンに触れる指も、唇も、舌も、身体もどこもかしこも燃えるように熱いコーガの熱に包まれて、気を失いそうなほどのしあわせを感じるカオルンなのでありました。



fin
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なんとか、タイトルにつながったかな?
’もしも’ の話…

将来のことはわかりません。
たとえ、後から考えたら間違いだったかなと思うことでも、今「正解だ」と思えるならば、信じて積み重ねていくしかないですよね?

でも!
コーガとカオルンが深~~~い絆で結ばれていることは間違いないっ!
二人は別れちゃいけません!
何があっても、たとえ離れていても!
そこだけは、ええ、絶対に正解っ!

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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