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きんのまなざし ぎんのささやき

女というヤツは(2)

なんだか波乱が起こりそうな出だしに、みなさんの妄想も膨らんでいるみたいですね!

居候だというのに、向こう見ずなくらいに鋼牙に反発するカオルちゃんには、最初、とっても驚きましたが、今ではとっても懐かしく愛おしい…

さてさて、お話の続きは… と、その前に、鋼牙視点で少し書いてみようかな?


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鋼牙が雨に打たれながら屋敷に帰ってみると、いつものようなゴンザの出迎えはなかった。

髪を伝って落ちてくる雨粒を頭を振って払い落とすと、鋼牙の口から思わず小さな溜め息がこぼれた。
身体のほうは魔法衣が護っているからそれほど濡れてはいない。
だが、雨に濡れた髪も、頬も、耳も、かなり冷たく冷えていた。
だから、唯一の家族とも言えるゴンザの「おかえりなさいませ」という耳に心地の良い声と、乾いたタオルの出迎えが欲しいと鋼牙は思っていたのだが、どうやら今日はツイていないようだ。

それでも、リビングに入り、魔法衣を自分の手でハンガーにかけると、さすがに鋼牙も人心地ついた。

女物の傘とレインブーツが、玄関の隅に水たまりを作って置かれてあるのを見たから、あの女は外出先から帰っているようだ。
リビングに誰もいないところを見ると、あいつは2階の自分の部屋にでもいるのであろう。
ゴンザはどこかに出掛けているか、あるいは、無理矢理、また絵のモデルに駆り出されているのかもしれないな、と鋼牙は思った。

『鋼牙。
 その濡れた頭を早くどうにかしないと、いくらおまえさんでも風邪を引くぞ!』

「そうだな」

ザルバの親切心にそう返事をして、洗面所へと向かう。
タオルで拭けばいいだろうと思っていたが、洗面所のドアの前まで来ると考えを変えた。

(いっそ風呂を沸かして、入った方がいいな)



そう言えば、あの女がこの屋敷に来た夜。
風呂の使い方を教えてほしいと、あの女がゴンザに頼んでいたときのことが頭によぎった。

「…と、まあ、こんなところでしょうか。
 なあに、大して難しくはございませんよ」

「うん、わかりました… ありがとう、ゴンザさん!

 あと、他には何か気を付けることってないですか?
 あがったら換気扇をつけろ、だとか、バスマットをどうしろ、とか…」

カオルが亜佐美の部屋に厄介になったときに、あれはこうしろ、それはああしろ、と結構うるさく指示されたことが記憶に残っていたのだ。
大雑把なように見える亜佐美が、神経質なくらいにいろいろ言うもんだから、さすがにここを追い出されると行くところのないカオルは少し慎重になっていた。

そんなふたりのやりとりを聞くともなしに聞いていた鋼牙は、というと、こいつもゴンザの前では殊勝な態度をとるんだな、などと思いながら見ていた。
すると、鋼牙の視線に気づいたカオルは、慎重に… という気持ちはどこかに消え失せ、さっそく噛みついてきた。

「なに? さっきからずっとこっち見てるけど、何か言いたいことでもあるの?」

眉間に皺を寄せ、口をとがらせている。

(どうしてこの女はこう可愛げがないんだ?!)

心とは裏腹に、

「べつに…」

鋼牙はそう言ってやりすごそうとしたが、面倒臭い奴だな、と思っていることが顔に出ていたようで、さらにカオルは突っかかってきた。

「フンだ!
 あたしだって、居候だっていう自覚はちゃんとあるんですからね。
 できるだけこの家のやり方ってものに合わせようと思ってるんですぅ!

 あなたなんて、どうせ、ゴンザさんになんでもかんでもやってもらって、そんなことは気にもかけちゃいないんでしょうけどね。

 ああ、わかったぁ~
 きっと自分でお風呂ひとつ沸かせないんじゃない?
 えぇ、そうよ。そうに決まってるわ!」

「何ぃっ!」

カオルの態度にカッとなった鋼牙の顔色が変わる。

「あいにくだな!
 確かに1階の風呂はゴンザ任せかもしれんが、自分の部屋のバスルームはちゃんと自分で湯を沸かしている。
 おまえなんかに、まるで何もしない子どものように言われるのは心外だ!」

出来るだけ押さえつけた声でそう言ったが、表情は不機嫌そのものだった。
それを聞いた途端、カオルは鳩が豆鉄砲でも食らったような顔になった。

「え、なあに?
 あなたの部屋にはバスルームがついているの?」

驚いた顔で、カオルは鋼牙とゴンザの顔を交互に見た。
すると、ゴンザは鋼牙の顔色を窺いながらもおずおずと、

「はい…
 鋼牙様のお部屋にはコンパクトなものですが、バスルームが隣接されております。
 帰宅が遅くなったときなど、お好きなときにシャワーなどがお使いいただけるように…」

とカオルに説明をした。

「ふぅ~ん、やっぱりお金持ちって違うのね。
 それじゃあ、なんでも人にやってもらうことなんて、当たり前だわね…」

カオルは心底恐れ入ったという感じでなにやらひとりで納得していたが、それを聞いた鋼牙が、

「だ・か・ら!
 俺は自分でしていると言ってるだろうが!」

と食ってかかり、ふたりの間でゴンザがオロオロする光景が繰り広げられたのだった。



(見てろ!
 今日は、俺が風呂を沸かしてやる!)

そんなふうに意気込んだ鋼牙は脱衣所に入り、風呂場に通じるドアに手をかけようとした。
すると、

  バシャ バシャ

と水音がした。

(なんだ? ゴンザか?)

そう思った鋼牙は、

「誰かいるのか?」

と声をかけながら浴室へと通じるガラス戸に手をかけた…


to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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