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きんのまなざし ぎんのささやき

女というヤツは(4)

週に一度の公開ペースになっていますね。
お待たせしていて申し訳ないです。

この妄想はテンポがよくないと面白くないと思うのですが、そう言った意味では、このノロさは完全に失敗ですね…
できましたら、前回までのお話を思い起こしてテンション高めにしてお読みいただければ… と思います。
よろしくお願いします。 (^_-)-☆



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オブジェの浄化からの帰り際に雨に降られ、屋敷に帰ってみればカオルに先を越されて風呂を待たされる羽目になった鋼牙だったが、ゆっくりと風呂に浸かることですっかり身体も温まり、風呂から上がった。
そして、渇いた衣服に袖を通し、白く湯気ののぼる頭をガシガシとタオルで拭きながら廊下に出てみると、キッチンから出てきたカオルとちょうど鉢合わせする恰好となってしまった。
ふたり同時に動作が止まる。
つい先ほど入浴中に覗かれそうになったカオルは、一瞬、バツが悪そうな表情をしたが、すぐになんでもないふうを装って話しかけてきた。

「そういえば言い忘れてたんだけど…

 ゴンザさんは買い忘れたものがあるからって、さっき出掛けたの。
 留守にすることをあなたに伝えてほしいって…

 じゃ、そういうことで、ちゃんと伝えたからね!」

なんとなく視線をそらして早口で言ったカオルが、鋼牙の脇を抜けていこうとした。
が、すぐに何かに気が付くと足を止めた。

「あっ!
 それって、あたしのタオルじゃないの?
 なんであなたが使ってるのよぉ」

少し咎めたてるように言うカオルに、

「置いてあったから使っただけだ。
 わざと間違えたわけじゃない…」

と、鋼牙は不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。
そして、首にかけていたタオルを乱暴に引き抜くと、バッと広げてみた。
白地にサックスブルーのラインが川の流れのような曲線を描いているだけだと思っていたが、広げてみて初めて分かった。
それは、大きなチューリップの花が大胆に配置されたデザインで、この屋敷で使用しているタオルではなかったのだ。

「ちょっともう、信じらんない!
 普通、気付くでしょ?」

そう言いながら、カオルは鋼牙の手からタオルをひったくって睨む。

「ああ… そういえば手触りがいつもと違うなと思った…」

鋼牙の正直な言葉に、カオルがカチンと来た。

「なによ! 安物で悪かったわね!
 あなたがいつも使っているのは、フッカフカの高級なタオルですもんね!」

「何もそこまで言ってないだろっ」

カオルの剣幕に押され気味になりながらも、鋼牙は反論する。

「言わなくっても、そう思ってたんじゃないの?
 だったら、そんなの一緒じゃない!」

「…」

何を言ってもポンポンと言い返すカオルに、鋼牙の機嫌はどんどん悪くなる。

「これからは気をつけてよね!」

捨て台詞のようにそう言って、カオルは足音も荒くその場を離れていった。
後に残された鋼牙は面白くなさそうに彼女を見送るしかなかったが、ちょうどそんなところにゴンザが帰ってきた。

「これは鋼牙様! お戻りでしたか?」

「ああ、少し前にな」

鋼牙はたった今の不愉快なやりとりを隠そうと努力しながらゴンザに答えた。

「留守にしておりまして、申し訳ございませんでした。
 ただいますぐにお夕食の準備をいたしますので…」

そう言うと、ゴンザは会釈をして鋼牙の脇を抜けてキッチンのほうへ向かおうとした。
が、鋼牙の前まで来ると、ふと何事か思い出したように立ち止まり、こう言った。

「それにしても、鋼牙様。
 女性がいるというのは、なんともいいものですな」

「ん?」

ゴンザの言わんとすることがわからず怪訝な顔をする鋼牙に、ゴンザはニコニコと笑いながら続けた。

「カオル様がお見えになってからというもの、こう、なんと言いますか、このお屋敷の中の雰囲気がどことなく明るくなったような気がいたしませんか?」

そう言って、ゴンザは玄関のほうを振り返った。
そこには、彼女のレインブーツと傘があり、確かに、屋敷の落ち着いた色彩の玄関のその一角だけを少し明るく見せていた。

ゴンザの言うことに必ずしも反対したいわけではないが、今の鋼牙は素直に同調したくもなかった。
鋼牙は繕うことなく最上級に不機嫌な顔をした。

「俺にしてみれば、あいつがここに来てからというもの、よく吠える犬でも飼っている気分がするよ。
 人が親切でここに置いてやってるというのに、なんだかんだとすぐにうるさく噛みついてくるんだからな!」

鋼牙の答えにゴンザは驚いて、

「カオル様を犬に例えるのはいかがなものかと…
 少々奔放なところがあるようですが、明るくてよいお嬢さんではございませんか…」

と遠慮がちに取り繕うように言った。

「フン!」

と、同意しかねるように鼻を鳴らす鋼牙。

「とにかく。
 俺はあの女と、これまでも、これからも、深く関わり合いになるつもりはない!
 ゴンザ! おまえも、そのつもりでいろ!」

そう言った鋼牙は憤然と歩き出し、書斎へと消えていった。
あとに残されたゴンザは、少し唖然としてから、やれやれ、という表情を見せて、

(もう少し仲良くおできになるといいのですが…)

と溜め息をついた。



…だが。
このときのゴンザは知る由もなかった。
翌日、ゴンザの身に(そして鋼牙にも)とても恐ろしいことが待っている、ということを…



その頃。
自室に戻ったカオルはベッドにダイブして、自己嫌悪に陥っていた。

(あたしったら、居候の身なのに、またやっちゃった…)

少しくらい嫌なことがあっても我慢しなきゃいけないとは思っているのだが、この屋敷の主(あるじ)を話していると、どうしたわけだか決まって喧嘩のようになってしまう。
枕にうずめていた顔を起こして情けない顔をしていたカオルだったが、やがてニヤッと笑った。

(ふふふ~ん♪
 でも、明日こそはきっと名誉挽回するわ!

 あいつにあたしの手料理をご馳走して、居候させてもらっているお礼とこれから仲良くしようねってことをちゃんと伝えないと…
 そのために、今日はお買い物にも行ってきたんだからぁ♪)

カオルのニヤニヤは、それからしばらく続いた。
そう…
カオルもまた、知る由もなかった。
明日、自分の企みがものの見事に失敗することなどは…



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


はい!
最後までお付き合いありがとうございました!

公式様で、カオルが鋼牙に手料理を振る舞っていましたが、今回は、その前日を想定して妄想してみました。

自分が住むところを無くしてどこにも行き場がないとはいえ、好きでもない男(しかも指環をくれて、ちょっと困るんだけど… って思っている男)の屋敷に転がり込むカオルちゃんの感覚って、やっぱり、どこかフツウじゃないですよね?
今回、事あるごとにぶつかっているふたりですが(あんまり楽しくて喧嘩ばかりさせちゃった!)、カオルちゃんはフツウじゃない、ってことでご容赦を…

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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