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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

最近の’妄想’
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最近の’お礼’

鋼(はがね)のつばさ(2)

温かい拍手コメありがとうございます!!
連載モノを書いているときは、このコメントにそりゃもう励まされております!

し・か・も…
初めての翼と邪美の妄想にチャレンジしているだけに、
  ヘタクソだよね
  需要がないよね
  誰も読まないよね
と、ものすご~~~く後ろ向きな気持ちで書いてるので、より一層、胸に
グッときてます。
ありがと~ございま~~~す!


さて…
妄想のほうですが、翼って名前に似合わず、ちっともかる~くないですよね?
きっと、翼のつばさは鋼鉄製なんだろうな~~~ ってことでタイトルを
決定!
ははは、少しも内容に関係ないタイトルで、すいません!

そんな妄想でよろしければ、またお付き合いくださいませ!



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

翼が日向の後を追った後、翼から連絡が入ったのは、それから1時間近く
経過した頃だった。

日向が魔戒騎士に襲われ、大怪我をしたというものだった。
日向は、すぐに元老院に担ぎ込まれて手当てが施されている最中であるとの
こと、まだ、意識が戻っていないことも知らされた。

そして、翼はその足で日向を襲った騎士を追う、というのだ。

その知らせを聞いて、邪美は胸騒ぎを感じていた。

(翼のやつ… 無理をしなきゃいいが)


そんなふうに翼を心配していると、邪美の脳裏に、翼と初めて会った時の
ことが、フラッシュバックのように甦(よみがえ)った。

(あいつは、魔戒樹から助け出されたあたしを、死人(しびと)といって
 忌み嫌ったっけ…)


あれから、ずいぶん時が流れた。
’山刀翼’ という男について、邪美なりに理解したつもりでいた。

(あいつは、ほんっとに頭が固いヤツだよ…

 鋼牙と同じように話し下手なだけならまだしも、融通が利かない頑固者
 ときてるから、さらに始末が悪いときてる。

 なにかあれば、掟、掟と、とにかくそればかりだ。

 誰よりも鈴のことを気遣っているくせに、里の者の手前、表立っては
 それを示そうとしない。
 たったふたりの兄弟なんだから、もっとお互い、甘えたっていいのにさ…

 それに、人一倍責任感が強い、ときてるから、ひとりでなんでも抱え込み
 過ぎるんだよ。

 ’破滅の刻印’ のことについてもそうだ。
 鈴はともかく、あたしには言ってくれてもいいんじゃないか?
 そんなに、あたしじゃ、頼りにならないか? ってんだ!

 あ~~~、もうなんだか、無性に腹が立ってきた!)

翼を心配していたはずが、なぜだかふつふつと怒りが湧いてきた。
そんな邪美に、背後から声が掛けられた。

「邪~美!」

振り返ってみると、そこには鈴が立っていた。

「鈴…
 どうした?  何かあったのかい?」

邪美は、心配そうに覗き込むようにして、鈴の様子を窺(うかが)った。
とは言え、鈴の身長は初めて会った頃よりもずいぶん伸びて、表情も風情も
ずっと大人びていた。
何もできない、守られるだけの子どもでは、もうなかった。

「ううん… 別に。

 今日はにぃが帰らないかもしれないみたいだから、邪美の家に泊めて
 もらおうかなぁ、なんて思って…

 ねっ、いいでしょ?」

鈴が少し首を傾けて、邪美に尋ねた。
邪美はふっと表情を緩めた。

(少しは成長したかと思ったら、子どもじみたところも残ってるんだね…)

邪美は、鈴に近づいてから言った。

「あぁ、構わないよ。
 さっきの変な魔戒騎士のこともあるから、そのほうがいいね。
 翼も安心するだろうし…」

「うん、ありがと!    …ねぇ、邪美?」

「ん?」

優しく聞き返す邪美に、少し迷う素振りを見せてから、鈴は口を開いた。

「邪美は最近のにぃのこと、どう思う?」

「どうって?」

邪美は、内心どきりとしながらも平静を装って聞き返した。
鈴が声を掛けてきたのは、実はこのことが聞きたかったのかもしれない、と
思いながら。

「にぃは、鈴に何かを隠していると思うんだ」

「…」

邪美は一瞬言葉を失ったが、すぐにこう答えた。

「鈴もそう思うかい?」

邪美の問いに、鈴は黙ってうなずいた。

「あたしもそう思うよ。
 翼は確かに何かを隠してる。
 あたしにも、それが何なのか教えてくれない」

「えっ、邪美にも?」

今度は邪美がうなずいた。

「あぁ、そうさ。
 あたしも何も聞かされていない。

 そのことがもどかしくてねぇ…
 実は、今も、ひとりで翼に対して怒ってたところさ」

そう言うと、邪美は苦笑いを浮かべた。

「そうなんだ…  邪美にも…」

鈴は困ったような、ほっとしたような、なんだか複雑な表情を浮かべながら
呟いた。

「まったく、あいつにも困ったもんだよ。
 ひとりで全部背負い込んじまってさ…
 こんなかわいい妹を心配させて、悪い兄貴だねぇ」

鈴の気を紛らわそうと、邪美はわざと大袈裟に呆れて見せた。

「まぁね…  それがにぃだから仕方ないよ…

 でもね、邪美。
 にぃが頑固なのは、閑岱を守っているからなんだと思うよ」

「どういうことだい?」

確かに閑岱は俗世間から離れた場所ではあったが、だからと言って、閑岱に
いる者すべてが頑固者であるわけではない。
あれ程に頑固な男もそうそういない、と思えるのは、翼を置いて他には
いなかった。


「邪美も知っているように閑岱は魔戒法師の里でしょ?
 だから、他の管轄を守る魔戒騎士より、魔戒法師との結びつきが深いんだ」

それは、邪美でもすでに気付いていたことだ。

騎士の中には、稀に魔戒法師の使う術を扱える者もいるが、翼もその一人
だった。
それは、血脈に由来するところもあるだろうが、環境に依(よ)ることも
あった。
代々、閑岱を任されている白夜騎士の称号を持つ男は、その両方のおいて、
他の騎士よりずば抜けていると思われた。

だが、邪美には、それが、翼のあの頑固さとどのように結びつくのかが
判らない…

「他の魔戒騎士は、魔戒法師のことを、同じ闘う仲間として認めてくれて
 いるよね?

 もちろん、中には、’ホラーを狩れない存在’ として魔戒法師のことを
 蔑(さげす)んでいる騎士もいることは知っているよ。

 でもね、そのどちらの考えだとしても、魔戒法師は人間とは違うレベルの
 存在だ、ってことになるでしょ?

 そこのとこがね、多分、にぃは違うんだ。
 にぃにとっての魔戒法師は…」

鈴は考えながら、そして言葉を選びながら、話していった。
そして、邪美の反応を確かめていたが、邪美がじっと話を聞いているのが
判ると、鈴はそのまま話を続けた。

「そう、ある意味で人間と同等なの。

 他の騎士にとって守るべき者が ’人間’ であるように、にぃにとっては、
 魔戒法師も ’人間’ と同じように ’守るべき対象’ なんだよ。

 それが、この閑岱の地を守る魔戒騎士の家系に生まれたにぃにとっては、
 すごく自然なことだったんだ。

 にぃの中では、自分以外の者はすべて、’守らなければならない者’ なんだと
 思う…  魔戒法師も含めてね」

「…」

邪美は、鈴の言葉を受けて、考え込んだ。
そんな邪美に、鈴は懇願するように言った。

「’守るべき者’ に弱音を吐いちゃいけないって、そんなふうににぃは思ってる
 んだと思うの。

 だからね、邪美。
 何にも言わないにぃを許してあげて…」

邪美は、はっとして鈴を見た。

(この子は…)

鈴の成長を、邪美は邪美なりに把握していると思っていたが、その邪美の理解を
上回るくらいに、鈴の内面はずいぶんと成長しているようだった。

(あたしは、鈴の師匠ぶっていたけど…
 なんだい、これじゃぁ、師匠失格だ…)

自嘲気味に笑った邪美は、鈴に向かってこう答えた。

「あぁ、わかった。
 あたしが、許すも許さないもないよ…

 翼はああいう男なのさ。

 不器用な生き方かもしれないけど、それがあいつだもの…」

鈴がほっとしたように笑い、邪美もそれに応えるように笑った。



to be continued(3へ)
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



拍手[17回]

コメント
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需要ありますよ!
翼&邪美好きとしては非っ常~にうれしいです!(鋼カオももちろん好きですが)続きが楽しみです!翼は鋼牙とは違った意味で固いですよね。鋼牙よりも一層融通が利かないような気がします。
連載中って微妙に後ろ向きになりますよね、なんでだろう…。
くわい 2013/04/21(Sun)22:37:25 編集
Re:需要ありますよ!
くわい様は、翼×邪美押しですものね!

selfish は、実は、このふたりには押し切れないものがありまして、なんとなく、しっくりこないのですが…

それが、「ひょっとしたら、今なら書けるかも?」などと思って書いてみたわけなのです。
でも、やっぱり、その… なんとも… はい…

くわい様の期待されるものには程遠い気がしますが、この後も、ゆる~~~い感じでお楽しみいただければなぁと。
なにとぞ。 (笑)
【2013/04/21 22:52】
おおお~…
鈴ちゃん、大人ぁ~!
やっぱり一番翼くんの傍にいるだけの事はありますね。良く見てるなぁ~と、感心しまくりです。

個人的には、日向くんの怪我の具合も気になる所ですが…。
URL 2013/04/23(Tue)10:17:04 編集
Re:おおお~…
実は、日向にも「可愛い待ち人」がいるんじゃないかなぁ~と思っているんですよね。
普段は、目が合うだけでお互いドキドキしてしまい、慌ててそらしちゃうような「ほのかな恋心」が…
今回のこの怪我で、腕を吊ってる日向をサポートするようなチャンスがあったりして、少しだけ二人の仲が深まっちゃうとか?

あっ、芽様が心配しているのは「怪我の具合」だったですね。
失礼しました~~~
【2013/04/23 18:35】
大人ですね~
邪美も鈴ちゃんも大人ですね~、翼も少し大人になったかな?私も最初は「翼に邪美はもったいなさすぎる!」なんて思っておりましたww
特に本編で描写されている訳でもないですしね。
だから邪美はいったい翼のどこがよかったのかを考えて自分で捏造まで至りましたww
くわい 2013/04/24(Wed)22:14:35 編集
Re:大人ですね~
翼と邪美は捏造のやり甲斐があるでしょうねぇ~
selfish は、とてもそこまで妄想が及ばず、MAKAISENKI の枠からは飛び出せないですwww

やたらと突っ張ってた翼に理由をつけてみたいなぁ、ということと、邪美には告白してほしいなぁ、ということで、この妄想を書いてみましたが、大丈夫でしたか?

書いているうちに鈴ちゃんがどんどん「おとな~」な感じになってしまい、自分でもびっくりしています。
彼女に何かあったんだろうか?
自分でも理由が判りませんけど… (苦笑)
【2013/04/25 07:13】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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