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きんのまなざし ぎんのささやき

鋼(はがね)のつばさ(4)

もう、小学生の作文みたいになっちゃってます。
邪美がこうした。翼がこうした。
何の情緒もない… (がっくり)

これはアレですよ。
一本気な翼と飾りっ気なしの邪美だからです!
…というのは言い訳ですね。 (苦笑)

みなさん、脳内補完のほう、よろしくお願いしますね。





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翼が熱を出したその夜、看病をしたいという鈴の気持ちを尊重して、
邪美は別室にいたのだが、夜もかなり更けた頃、翼の部屋にこっそり
様子を見に来た。
すると、鈴が翼の枕元でウトウトと夢の世界に誘われていた。
邪美はクスリと笑みを浮かべ、別室から運んできた布団を、鈴にかけて
やった。

鈴に代わり、邪美が、翼の額の手拭いを取ると、冷たい水に浸して絞り、
翼の額を冷やしてやった。
相変わらず、熱は高いままだったが、翼は穏やかな寝顔をしていた。

すべてのものが眠りについたような、静かな閑岱の夜。
休息する騎士と、まどろむ少女。
その兄妹を見つめる邪美のまなざしは、母のように優しかった。


結局、一晩中、翼の熱は下がらないまま、邪美は翼の額を冷やし続けた。
そして、朝一番の光が翼の部屋の窓に届いた頃、邪美は、ふたりを
起こさないように、音も立てずに、翼の寝室から姿を消していった。

その邪美の後ろ姿を、翼はうっすらと目を開けて見送ると、再び、瞼を
閉じ、眠りに落ちていった。



鈴が起きてみると、「用があるから出掛ける」 という邪美の走り書きが
残されていた。
邪美が再び鈴の家に顔を出したのは、だいぶん日が高くなった頃のことで、
手には、六花草(りっかそう)を携(たずさ)えていた。

「翼の熱はどうだい?
 まだ、高いようなら、この草を煎じて飲ませてやりな。
 これはとてもいい熱冷ましの薬だから…」

翼はまだ微熱があったので、鈴は、さっそく草の葉を煎じて翼に飲ませた。
すると、あれほどしつこかった熱も、しばらくすると嘘のように引いて
いったのだ。

「邪美、ありがとう!
 これで、にぃもずいぶん楽になるよ」

嬉しそうな鈴を見て、邪美もほっとした。

「ねぇ、邪美。
 にぃに栄養のつくものを食べてもらいたいから、鈴はこれから買い物に
 行ってくるよ。
 その間、鈴の代わりに、にぃのそばにいてもらってはダメかなぁ?」

「そんなの、お安い御用さ。
 気をつけていっておいで」

それじゃあ、と、元気に飛び出していく鈴を、邪美は手を振って見送った。
木々や家々の間に、駆けていく鈴が見え隠れしている。

「あ~あ、あんなに走ると転ばないかねぇ?」

そんなふうに独り言を呟くと、邪美はクスリと笑った。

鈴が見えなくなるまで見送った後、邪美は翼の部屋に行ってみた。
戸口で、中にいる翼に声を掛ける。

「翼、開けるよ?」

中から返事があったので、部屋の戸を開けてみると、翼は、床(とこ)の
上に上体を起こしていた。

「もう、起きて大丈夫なのかい?」

「寝てばかりいると、どうにも身体が痛くてな…」

翼は肩を回し、首を左右に曲げながら、苦笑いを浮かべた。

「熱が下がったばかりなんだ。
 あまり無理はするんじゃないよ?」

軽くたしなめる邪美に、翼は、

「あぁ、わかってる」

と、素直に返事をした。

「今、鈴は買い物に出かけたよ。
 用があれば、あたしに言っとくれ。
 何か、用事はあるかい?」

翼は少し考える素振りを見せたが、すぐに

「いや、何もない」

と言った。

「そうかい」

邪美はそう言うと、どうしたものかなぁ、と手持ち無沙汰な様子を見せた。
そんな邪美を見て、翼は、おもむろに口を開いた。

「邪美、世話をかけたな」

いつになく殊勝な言葉に、邪美は驚きながら答えた。

「なんだい、あらたまって…
 あたしは、何もしちゃいないさ。
 礼なら、鈴に言っとくれよ」

少し照れたように邪美は言った。

「いや。
 一晩中寝ずについていてくれただろう?
 それに、徹夜したその足で六花草を積みに行ってくれたと聞いている」

「…なんだい、知ってたのかい」

邪美はぽつりと呟いた。

少し居心地の悪い時間が、無言のまま過ぎた。
それを破って翼が決意したように口を開いた。

「邪美、お前のことだ、薄々感づいているとは思うが…

 俺には ’破滅の刻印’ がある」

いきなりの告白に、邪美は翼を凝視した。

「俺は、そのことは誰にも告げずにいようと決めていた。
 その運命を受け入れ、最後まで騎士として闘ってやる、と。」

邪美は無言で聞いていた。

「だがな、鋼牙に言われたよ…  ’最後まで諦めるな’ と。

 口先だけでなら、誰でもなんとでも言える。
 だが、鋼牙は、俺の目の前でそれを体現してみせたんだ」

それは、闇に堕ちたと思われていた四十万ワタルが、実際にはそうでない
ことを鋼牙が見抜き、最後まで彼を救うことをあきらめずに救うことが
できたことを差していた。
翼はどこか遠くを見るような表情だったが、やがて、邪美を真正面から
見つめた。

「だから、邪美。
 俺も、大人しく死を迎え入れることはやめた。
 最後の最後まであがいてやる、と決めた。

 そのことは、鋼牙にもしかと約束してきた」

「翼…」

胸の刻印のことは、決して翼の口からは聞かれないと思っていただけに、
邪美は胸が熱くなった。
刻印がもたらす過酷な運命を受け入れ、生き延びることをあきらめていた
翼は、どこかギスギスとして危うかったのだが、今や、その影はどこにも
見えなかった。

「その言葉を、ずっと聞きたかったよ」

邪美はぽつりと呟くと、嬉しそうな笑みを見せた。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

鈴が買い物から帰ると、荷物を置いてすぐに、翼の部屋に顔を出した。

「にぃ、帰ったよ!」

息を弾ませながら、元気よく言った。
翼は、

「し~」

と人差し指を立てて、鈴に静かにするように促した。
邪美が、すやすやと眠っていたのだ。
鈴は、あぁと大きくうなずいて、翼と顔を見合わせて笑った。
翼も鈴に笑みを見せると、邪美の寝顔に優しいまなざしを向けた。

すると、夢でも見ているのか、邪美の顔にしあわせそうな笑みが浮かんだ。


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


翼の胸の刻印は消えていません。
今でも、刻一刻と翼の命を蝕んでいるところです。
しかも、命の危険をかえりみず、躊躇せずに鎧の召喚を繰り返す翼は、
どの魔戒騎士よりも、命の消耗が激しかったようです。

刻印のことは、鋼牙も、翼も、誰にも告げずにいたと思うのですが、
その過酷な運命に「立ち向かう」と決めた翼だったら、邪美には、
自ら話すことができたのではないでしょうか?
そんなことを妄想してみたのですが、いかがだったでしょう?


まさかここまで、長く書くとは思いませんでしたが…  (苦笑)


拍手[29回]

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翼や鋼牙に限らず
魔戒騎士の人達って、下手に心身共に強いから「自分で何とかしよう感」が強くて、例え大切な事であっても、人には言わないのでしょうね。
だからカオルは泣いちゃうし、邪美も黙って心配するしかない。
魔戒騎士を取り巻く女性陣は、大変ですね。
URL 2013/04/26(Fri)17:17:10 編集
Re:翼や鋼牙に限らず
おっしゃるとおりですねぇ~
だから、魔界騎士たちの恋愛事情について、いろいろな方が妄想するのでしょうね!!
悶々としたり、キュンキュンとしたり…
いやぁ、我々も、うっかり巻き込まれちゃいましたね? (笑)
【2013/04/26 22:07】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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