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きんのまなざし ぎんのささやき

呪縛を解き放て(9)

王子復活!
そして物語は終わりま…  (あれ? おかしいなぁ~)


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ゴーザンのいる部屋に王子たち3人が姿を見せると、
ゴーザンは、

「おぉ」

と驚いてみせ、すぐににっこり笑って言いました。

「無事、王子の心を取り戻したのですね。よかった…
 いやはや、ほんとによかった」

心底ほっとしているゴーザンに、王子は、

「すまなかった。
 おまえにも心配をさせたようだな」

と詫びました。
でも、すぐに、ゴーザンのかたわらにいる老婦人と女中の姿に気付くと、
王子の表情にサッと緊張が走りました。
それに気づいたゴーザンは慌ててふたりを庇うように両手を広げます。

「王子! この者たちについてはご心配なく…

 この老婦人は怪しげな指輪に操られていたのです。
 その指輪は、レイ様が先程斬ってくれたので、もう大丈夫にございます。

 そして、この女中も主人にただ忠実に仕えただけなのです。

 王子がこの者たちを許しがたく思う気持ちは、このゴーザンもよく理解
 できるつもりです。
 ですが、今はなんの力も持たぬ者たちです。
 どうか、寛大なお心で許していただくわけには参りませんか?」

そう言うと、ゴーザンは頭を下げました。

「…」

王子は黙ってゴーザンを見て、次いで、その後ろにかばった老婦人と
女中を見ました。

老婦人はこの騒ぎに気づかないのか、食事を終えて気持ちよさそうに
ウトウトとしています。
そこで、夫人に代わり、女中のターリアが王子に謝りました。

「王子様、そして、皆様。
 このたびは、本当にご迷惑をおかけしました。
 申し訳ありませんでした。

 奥様はレイ様のお蔭で魔物から解放され、すっかり落ち着かれた
 ようです。
 ありがとうございました。

 旦那様が亡くなられてからというもの、奥様は旦那様の遺されたこの
 お屋敷を守って、森の奥深くに留まってまいりました。
 ですが、それが、かえって奥様にとっては過去に縛られ、魔物に
 つけいられることになってしまったようです。

 今回のことで、奥様もずいぶん弱られてしまいました。
 できることなら、これからはこの森から出て、ご城下近くでのんびりと
 穏やかに過ごすことができれば、と思います。

 もちろん、今回の責めについては、奥様に代わって私が何なりと
 負います。
 ですから、奥様のことはどうかお許しくださいませ。

 身勝手だとは思いますが、どうか、このとおりでございます!」

そう言うと、ターリアは、ゴーザン以上に深々と頭を下げました。
その様子を見て、王子はしばらく考えていましたが、やがて表情を
フッと和らげると、

「わかった。
 おまえの主人への忠義の心に免じて、この場で決断しないでおこう。
 城に帰ってからゆっくり判断する… それでいいか?」

とターリアに向かって言い、ゴーザンの顔を見ました。
ゴーザンは王子の言葉に嬉しそうな顔を見せると、すぐに頭を下げ、

「ありがとうございます!」

と王子に礼を言いました。
老婦人は、と言うと、相変わらず幸せそうにまどろんでいます。
つい先ほどまでハツラツとしていたあの姿はもうどこにもなく、一回り
小さくなった寝姿は、無邪気な赤ん坊のようにも見えました。




さて。
王子が元に戻った今となっては、ここに長居する理由はありません。
王子たち4人は ’ウィドーの館’ を辞去することにしました。
老婦人は眠ってしまったので、女中のターリアひとりが見送りました。

一同を代表して、ゴーザンが声をかけました。

「今日のところはいったん城に戻りますが、また近いうちに今後のことを
 相談しに参ります。
 なに、大丈夫です。
 王子はきっとあなた方を悪いようにはしないでしょう」

ゴーザンの言葉に、ターリアのメガネの奥の目が潤みます。

「はい… ありがとうございます…」

ターリアはメガネを外し、真っ白なエプロンの裾を目頭にあててから、
ゴーザンに感謝のまなざしを向けました。
メガネを取ったターリアは思った以上に美しく、ゴーザンは自然と顔が
上気するのを感じました。

「そ、それでは、また後日…」

少しうわずった声でそう言うと、ゴーザンは馬にまたがりました。
顔の赤いゴーザンに、レイが近寄ると、

「もう挨拶のほうはいいのかい?
 なんなら、ゴーザンだけ残ってもいいんだぜ?」

と周りの者に聞こえないような小声でゴーザンに言いました。
それを聞いて、ゴーザンは慌てて答えます。

「そんな心配は結構です!
 年寄りを冷やかさないでください!」

ちょっと怖い顔で言いましたが、レイは平気そうです。

「冷やかしてなんかいないさ!

 ま、冗談はこのくらいにして…

 ところでさ、王子が見つかったこと、まだみんなに知らせてないから、
 王子のことを今も探してるんじゃないかな?
 だからさ、俺とゴーザンは一足先に戻って、探している連中に教えて
 あげようかなと思うんだけど…」

レイは自分の考えを話すと、反応を確かめるように王子たちをぐるっと
見回しました。
それを聞いて、ゴーザンはコホンと咳をしてから言いました。

「そうですね、それがいいでしょう。

 では、王子、カオルン。
 我々は一足先に参りますから、おふたりはゆっくりお戻りください。

 では、レイ様! 参りますぞ!」

ゴーザンは大きな声でそう言うと、ターリアや王子たちにお辞儀して、
馬を速足(はやあし)で進めました。
置いてけぼりをくらった格好になったレイは、

「おいおい、待ってくれよ!
 まったく…」

と呆れたように言うと、

「それじゃ、コーガ、カオルン。 お先に!」

とゴーザンを追って、馬を走らせて行ってしまいました。

王子とカオルンは、やれやれ… というふうに顔を見合わせてから、
それじゃあ、と馬を進めようとしました。

「あ、お待ちください…」

そう言ったターリアが、一抱えもあるような箱のようなものが入った袋を
王子に差し出しました。

「王子様、例のものにございます。
 荷物になってしまいますが、どうぞお持ちください」

「うむ…」

そう言って袋を受け取った王子は、それをカオルンの乗ってきた馬の背に
結びつけました。
そして、ゴーテの背にカオルンとふたりで乗ると、ターリアに見送られながら
出発しました。



to be continued(10へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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