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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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Be happy!(1)

思い起こせば、これを書いたのは、実は1ヶ月も前のことでした。

読み切りにしてアップしようかなと思ってましたが、なんとなく続きも
書けそうな気もして…

そのときは、そのまま放置してしまったのですが、今なら書けそうか?
…というわけで、ぽちっとアップしちゃいました。

え~い、先のことは明日に任せた!
がんばれ、明日の自分! (笑)




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「零には、命を狙われていたんだったな…」

鋼牙がそう呟いたことがあった。




零くんがふらりと北の管轄にある冴島邸に遊びに来て、いつものように
鋼牙と挨拶がてら剣を交えた。
そう言えば、騎士同士の私闘は禁じられているらしい。
なんか、そんなことを前に聞いたことがある。
だけど…

あたしが鋼牙たちの勝負を目(ま)の当たりにしたことは、実は、そう
多くないのだけれど、彼らの、文字通りの ’真剣勝負’ からは、
ふたりの研ぎ澄まされた集中力がビンビンと感じられ、お互いへの並々
ならぬ信頼と、どこか崇敬の念みたいなものがヒタヒタと伝わってくる。

あたしには闘いのことは少しもわからないけれど、強い相手と対等に
渡り合えることをふたりは無邪気に喜んでいるようにも見えた。
そして、そんなときのふたりの姿は、子どものように純粋に思えた。

その日も、零くんは気の済むまで鋼牙と闘うと、仕事があるから、と、
お茶も飲まずに帰っていった。

「じゃあね」

と、あたしには屈託のない笑顔を向け、鋼牙には無言でうなずいて見せて、
零くんはハーレーにスッとまたがると、後ろ手に手を振ってから遠ざかって
いった。
零くんっていつもそうだ。
人それぞれにテリトリーのようなズカズカと踏み込んでほしくない場所が
あるのだとしたら、零くんはその場所にスッと自然に入ってきて、
気づいたときには、スッといなくなっている。
鮮やかな人だよね…



そのときだ。
零くんを見送りながら、そう言えば… という感じで鋼牙が呟いたのだ。

「零には、命を狙われていたんだったな…」



あたしは少し驚いて鋼牙の横顔を見たが、鋼牙は視線を前に見据えたまま
だった。
あたしは、くすっと笑ってから、鋼牙と同じように前を向くと、

「…そうだね。

 あの頃の零くん、ものすごくギラギラした目をしてたよね…」

そう言いながら、あたしの脳裏には、数年前の零くんの姿が浮かんでいた。

ずいぶん年下なのに妙に大人びていて、でも、笑うとあどけなくて、
その反面、笑顔のままで人を殺(あや)めるような狂気も持っていて…
喧嘩とかすごく強いのに、なんだかふとしたことで壊れてしまいそうな
脆(もろ)さも感じた。

今、あたしの隣で同じ方向をみている鋼牙だって、出会ったばかりの頃に
比べると、ものすごく変わったと思うけれど、そうだね、零くんも
変わったね。


あたしは、 鋼牙のほうを振り返りながら、にこにこしながら聞いてみた。

「ねぇ、鋼牙?
 零くんって、すっごく素敵になったよね?」

鋼牙は少し驚いた顔で、カオルをまじまじと見た。
鋼牙の視線の意味がわからず、きょとんとしているあたしに、鋼牙に
代わってザルバが尋ねてきた。

『おいおい、カオル。
 まさか、鋼牙を捨てて、零に鞍替えする気か?』

「へっ?」

一瞬、ザルバの言っている意味が解らずに、間抜けな声が出た。
だけど、すぐに理解すると、あはは、と笑い出してしまった。

「えぇ~っ、何言ってるの、ザルバ。
 変な勘違いしないでよぉ~」

すぐに否定したあたしに、

『なんだ、違うのか』

とザルバはつまらなそうに言ってから、

『よかったな、鋼牙』

と、鋼牙をおちょくるのを忘れなかった。

鋼牙は、ふんっ、と小さく鼻を鳴らしただけだったが、なんだか少しホッと
したように見えたのは、あたしの欲目だろうか?




そんな、なんということのない会話を交わしたのは、半年前のことだった。

今、鋼牙は ’約束の地’ というところにいる。

そして、鋼牙の旅立ちと入れ違いのように、零くんは ’元老院’とかいう
ところの直属の魔戒騎士になったとかで、とても忙しい日々を送っている
ようだった。

あたしも、初めての絵本がなんとか無事に出版され、絵本がたくさん
売れるようにと、いろんなメディアの取材を受けたり、各地の本屋さんを
訪ねたり、慌ただしい日々を送っていた。
そのバタバタもようやく落ち着いてきたとき、ふとした思いつきで、
ポートシティにいる亜佐美に連絡を取ってみた。
懐かしくて、あれもこれも話したいことはいろいろあるんだけど、何から
話していいのか迷ってしまう。
そんなあたしの気持ちが解ったのか、

「カオル、こっちに来ることはないの?
 遊びにおいでよ!」

と、亜佐美の方から誘われた。

「あっ、いいかも。
 ちょっとのんびりどっか行きたいな、とは以前から思ってたし…」

なんだかあたしもその気になって、あっという間に、ポートシティ行きが
決定してしまった。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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