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きんのまなざし ぎんのささやき

Be happy!(3)

いくら親友で、同じ時期、同じ町に住んでいても、それぞれしか持たない
思い出がありますね。

そうかと思えば、別々の町に住み、何年もの月日が流れてしまっても、
会ってしまえば、一瞬のうちにタイムスリップしたかのような感覚を
覚えるのも ’女友達’ ってものでしょうか。

カオルと亜佐美も、きっとそんな感じだったんじゃないかなぁ?

さて、女友達との再会の次は、いよいよ ’アノ人’ が登場です。
カッコよく書けるかな?
がんばれ、今日の自分!


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『案外、あっけなかったわね』

「そうだね。
 でも、こういう人の多いところに近い場所での戦闘は、やっぱり、
 ちょっと気を遣うな…」

ここは、ごみごみとした繁華街から細い路地を入ったところにある、
半ば廃墟と化したオフィスビル。
耳をすませば、目と鼻の先の街の喧騒が、苦も無く聞こえてくる。
そんなビルの屋上で、指令をひとつ片付けて鎧を返還した俺は、
ホッとしながら、相棒のシルヴァとそんな会話をした。

「さてと…」

一仕事終えた後、錆びてボロボロになった非常用の外階段を注意深く
降りるのはちょっと面倒だな…
そう思った俺は、1~2歩助走をつけて、屋上の端にあるフェンスの上に
飛び乗ると、そのままふわりと飛び降りることにした。

 しゅたっ

すえた匂いのする地上に降り立つと、ちらっと周囲を見渡して、誰にも
見咎(とが)められなかったことを確認すると、何事もなかったような
顔で、明るくにぎやかな方へと歩き出した。



日付はとうに変わっていたが、それでも、この辺りは人の往来が途切れる
ことはない。
アルコールの力を借りて陽気になった多くの人々が、家路につくのか、
はたまた次の店に消えるのか、ゾロゾロと、おのおのの目的地へ向かって
歩いていた。
そんな人波に逆らうことなく、流れに身を任せて歩いていく。

(あれっ?)

ある地点にきたとき、急に人の流れが悪くなった。
少し伸び上がって前方を見ると、流れを止めるものが見えた。
飲み過ぎたのか歩道脇にしゃがみ込んだ女性だ。
その女性のそばには、連れなのか、やはり女性がひとり。
しゃがんだ女性の肩に手を置いて、ゆさゆさと揺さぶっている。

俺はちょっと片方の眉をあげただけで、それ以上、なんの思いも抱かず、
そのまま通り過ぎようとした。

『ゼロ!』

シルヴァが短く低く一言だけ呼びかけたのと、

「ねぇ、ちょっと、カオルぅ!
 しっかりして、ってば!」

という声が重なって聞こえた。

(えっ?)

驚いた俺は、その女性たちへと足を向けた。

首をうなだれ、長い髪が邪魔をして顔が見えない女性を覗き込もうと
して、連れらしいお姉さんに怪訝な目を向けられる。
だが、そんな視線をものともせず、お姉さんの反対側にしゃがみ込んで、
声を掛けた。

「ねっ、カオルちゃん?
 ひょっとして、カオルちゃんなの?」

すると、酩酊状態と思われる女性がゆっくりと顔をあげた。

「あれっ? 零くん?
 こんらとこれ、ろ~しらろ?

(こんなとこで、ど~したの?)」

頭を気持ちよさそうにゆらゆら揺らしながら、トロンとした目をして、
カオルちゃんが言った。

「それはこっちの台詞だよ。
 ね、いつこっちに来たの?
 っていうか、どうしたの、こんなに酔っ払っちゃって!」

驚いて矢継ぎ早に質問したが、そんな俺の言葉なんか聞こえてるんだか
聞こえてないんだか、カオルちゃんは、

「はい…  はい…」

と、にこにこしながら虚ろに返事するだけだった。
そんなカオルちゃんの様子に、俺は溜め息をつくしかなかった。

「参ったな…」

すると、カオルちゃんを挟んで反対側にいたお姉さんが声を掛けてきた。

「あの…」

「ん?」

「あなた、カオルのこと知ってるの?」

「あぁ、まぁね。
 お姉さんはカオルちゃんの友達?」

「えぇ、カオルとは学生時代からの友達なの」

「そっか…  俺は
涼邑零。
 つきあいの長さでいったらお姉さんに負けるけど、カオルちゃんとは、
 うん、まあ、いろいろあってね…  仲良くしてもらってる間柄さ。

 ねっ、ところでどうしたの、カオルちゃん。
 こんなに酔うほど飲むの、珍しいんじゃない?」

さっきから気になっていることを聞いてみた。

「それについては、私にも責任があるのよね…」

少し難しい顔をするお姉さんと、ここで話し込んでいても通行の迷惑だ。

「なんだか話が長くなりそうだよね?
 よかったら、もう少し落ち着く場所に移動しない?」

「そうね…  でも、カオル、歩けそうにないし…」

カオルちゃんを見て、困った顔をしているお姉さんを余所(よそ)に、
俺は、これからどうするか少し考えてから、いい気持ちで半分寝ている
ようなカオルちゃんを抱きかかえて立ち上がった。

(えぇ~っ)

驚いて目を丸くしているお姉さんを軽くスルーして、自分の聞きたい
ことを言った。

「ね、お姉さんはカオルちゃんの今日の泊まる場所、わかってる?」

「あ、うん」

「そっ。 よかった。
 じゃあ、とりあえずタクシー拾って、そこまで行こっか?」

若干、人目を集めてしまっているので、この場所から早く移動しよう。
お姉さんは、まだ思考が混乱しているのか固まっているが、構わずに、
さっさと歩き出した。

「あっ、ちょっと、ねぇ!」

お姉さんがそう言って、俺を追いかけてくるのを、後ろに響いている
コツコツというヒールの音で確認しながら、タクシー乗り場へと急いだ。

途中、カオルちゃんがぼんやりと目を覚まし、

「あれれぇ~
 あらしっらら、零くんに、らっこされれるのぉ~?
 なんらら、恥ずかしぃ~

(あたしったら、零くんに、抱っこされてるのぉ~?
 なんだか、恥ずかしぃ~)」

とケタケタと笑い出した。

「カオルちゃん、起きたの?
 大丈夫? 気持ち悪くない?」

心配してそう聞いてみたが、カオルちゃんはちっとも俺の話を聞いてない
みたいで、

「零くん、いつも、ありがろ~れ~
 零くんが来てくれらら、もう安心らね?
 零くん、大好きらおぉ~

(零くん、いつも、ありがと~ね~
 零くんが来てくれたら、もう安心だね?
 零くん、大好きだよぉ~)」

と、首にぎゅっと抱き付いてきた。
酔っぱらいってのは、力の加減を知らない。
見事に急所を決められて、俺は目を白黒させて慌てた。

「カオルちゃん、く、く、苦しいって…
 解ったから、もう、大人しく寝ててっ!」

両手がふさがっているからどうしようもなく、でもこのままでは、
ほんと~~~に危ないので

(カオルちゃん、ごめん!)

と心の中で謝ってから、頭突きをひとつ喰らわせた。
もちろん、 ’目一杯’ 手加減することは忘れない。
(ホントに軽くだからね!)

「いっらぁぁぁい!
 あらしが零くんのこと好きっれことが、そんらに迷惑らの?
 あらし、らいちゃう… んらか… ね…

(いったぁぁぁい!
 あたしが零くんのこと好きってことが、そんなに迷惑なの?
 あたし、泣いちゃう… んだか… らね…)」

俺が頭突きしたところに手をやって痛がっていたカオルちゃんが、
す~っと静かになった。

「ちょっ、カオル! 大丈夫っ?」

俺とカオルちゃんとのやりとりを黙って見ていたお姉さんが、慌てて
カオルちゃんに呼びかける。

「大丈夫だよ、お姉さん。
 カオルちゃんは、寝てるだけさ」

「へっ?」

そう、カオルちゃんは喋り疲れたのか、俺の腕の中でスヤスヤと
寝ていた。
俺の腕の中で安心しきって眠るその寝顔を見ながら、俺の顔には、
ごく自然に微笑みが浮かんでいた。



to be continued(4へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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