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きんのまなざし ぎんのささやき

Be happy!(4)

(1)…カオル視点
(2)…亜佐美視点
(3)…零視点
ときて、(4)はタクシーの運転手視点とか???

眠りこけるカオルちゃんを間に、初対面の零くんと亜佐美ちゃん。
どうなるんだろう?

…って、selfish がこんなこと言ってちゃいけないんですけど、今後の
展開をあんまり考えてないので、限りなく読み手様と近い感覚です。(笑)

なんだかあまり物語は進まないのですが、よろしければご覧ください。


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タクシー乗り場で1台のタクシーに乗り込むと、カオルを真ん中にして、
後部座席にぎゅうぎゅう詰めで3人が座ることになった。

カオルと知り合いだという彼の話は、多分ほんとのことで、カオルの
様子からも信頼できる人なんだとは思うけど、やっぱり、意識のない
カオルと彼だけを後部座席に座らせるわけにもいかないと思ったのだ。

左カーブでカオルの身体が右に傾き、私のほうに寄りかかってきた。

(お、重い…)

そう思ったのは、ほんの一瞬で、

「大丈夫?」

と、カオルを挟んで反対側に座る彼が、すぐにカオルの身体をそっと
元に戻してくれた。

「えぇ、ありがとう」

自分よりもはるかに若い彼だったが、こんなふうに、自然に人を気遣える
ことにちょっと驚いた。
人当たりがよく、気の付く割りには、’あざとい’ というわけでもない。


なんの仕事をしている人だろう?
カオルとはどこで知り合ったのだろう?


彼のほうをそっと窺(うかが)うと、頬杖をつきながら、窓の外を見て
いた。
気になるけれど何も聞けないまま、私たちの乗ったタクシーは夜の町を
走り続け、程なくしてホテルのエントランスに滑り込んだ。



ホテルのフロントで何分かやりとりをした結果、カオルの部屋のルーム
キーをゲットすることができた。

カオルを座らせたロビーの椅子を振り返ると、彼がカオルを揺り起そうと
肩を揺さぶり、声をかけていた。
私が近づいていくと、彼がこちらを向いたので、言葉の代わりに
ルームキーを見せた。
すると、彼は、カオルが起きないことを、ちょっと肩をすくませる
ジェスチャーで伝えてきた。

その仕草も嫌味無く見える。
ほんと、不思議な子だ。


無言での会話を終え、カオルを再び抱きかかえた彼を、私は後ろに従える
格好で、エレベータへと向かった。

彼の腕の中で気持ちよさそうに眠るカオルは、夢でも見ているのか
ニコニコと笑っている。

上へと向かうボタンを押すと、すぐに扉が開いた。
先に中へ入って、扉が閉まらないよう ’開’ のボタンを押し、彼が
乗り込むのを待った。
やがて、エレベータは音もなくスッと上昇する。
さて…


「ね、カオル重くない? 大丈夫?」

彼にそう声を掛けてみた。

「ん、平気。
 カオルちゃん、そんなに重くないよ」

会ったときから思っていたけど、彼の口調は、ずっとフランクだった。
礼儀を知らない若い子に対等な口をきかれるのは気になるものだが、
でも、彼に限っては嫌な気はほとんどしない。
そんなことをつらつら考えていると、

「それに…」

と、彼は言葉を継いできた。

「カオルちゃん、また少し痩せちゃったんじゃないかな」

そう言うと、彼が少し切なそうな顔でカオルを見た。
笑うとあどけなくも見えたが、シャープな横顔に憂いを帯びている様は、
間違いなく大人の男といったふうで、見てるこっちがキュンとなった。

彼は、カオルが好きなんだろうか…



「ふうん…」

思わず口を突いて出た言葉に、彼は反応した。

「なに? どうかした?」

と、こっちを向いて聞く。
ちょうどそのとき、エレベータが目的の階に到達して扉が開いたので、
私は ’開’ のボタンを押しながら、

「なんでもない」

と言って、彼に、どうぞ、と道を譲った。



エレベータを降りて、廊下へと歩き出す。
今度は、彼の後ろを私が従う恰好になった。
私の前には、カオルをお姫様抱っこしたまま、苦も無くスタスタと歩く
男の背中が見える。

どちらかと言えば華奢な体躯にも関わらず、力はあるらしい。
黒く長いコートの裾が、彼が歩くのに合わせて、リズミカルに揺れている。

(カオルよりだいぶん年下なんじゃない?)

彼が見せた人懐こい笑顔を思い出しながら、私はそう思った。
ふいに彼の足が止まり、その人懐こい顔が振り返った。

「ここでいいんだっけ?」

と、あるドアの前で、小首をかしげて彼が尋ねる。
長い髪がサラリと揺れ、なぜだか微かにドキリとした。

「あ… うん、そうね。
 待って、今開けるから」

ルームキーとドアに書かれた部屋番号を見比べて返事をすると、私は彼と
場所を代わり、ドアの前に立った。
開錠してドアを開けると、ドアストッパーでドアを固定してから中に入る。


シングルルームだから、そう広くはない。
カオルの分と、自分の分のカバンを壁際のデスクに置くと、ベッドの
寝具をエイッとめくった。

「とりあえず、ここに寝かせて?」

「OK~」

狭いドアを、カオルを抱えながら苦労してすり抜けた彼が、長い足で
ドアストッパーを蹴ってドアを閉めた。

そのままベッドのそばまで来ると、ベッドに片膝をつき、カオルの腰の
あたりをベッドの中央にふわりと降ろした。
カオルの足を降ろしてから、今度は上半身を降ろすのだが、そのとき、
カオルと彼とが重なるように見えて、ドキッとした。

「さて、これでいっかな」

「あ、ありがと。
 ほんと、あなたがいてくれて助かったわ」

そう言いながら、少し赤くなった顔を隠すようにして、カオルに布団を
掛けてやる。

「それにしても…
 カオルちゃん、どうして、こんなになるまで飲んだのかなぁ?」

カオルを優しく見下ろしていた彼が、顔をこちらに向けて聞いてきた。
その口調は、決して咎(とが)めるふうではなかったが、私は自分にも
非があると思っているので、情けない顔になった。

「私も、まさか、こんなになっちゃうとは思わなくって…」

そう言いながら私はカオルの眠るベッドの隅に腰かけた。

「えっと、私は、篠原亜佐美。
 涼邑さんは、ポートシティの人?」

「そ、俺はこの町に住んでる。
 あ、俺のことは、零、って呼んでくれていいよ」

「わかった。
 じゃあ、あたしも ’零くん’ って呼ぶことにするわ」

こうして、夜も更けたホテルの一室で、
ついさっきカオルとの間であった
ことを、ついさっき会ったばかりの零くんに話すことになった。



to be continued(5へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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