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きんのまなざし ぎんのささやき

L'Oiseau bleu(5)

レイが〇〇する

というシーンを書きたいばっかりに「to be continued」にしたら、なんだか、
妄想が膨らみまくってます。
それがいいのやら悪いのやら…


さてさて…
今宵もお休み前のひとときに、メルヘンはいかがですかぁ?





::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

シャロンと別れた後、ひとりになって、レイはあれこれ考えてみましたが、
ふたりの間のことをひとりでいくら考えてみたところで、所詮は答えが
見つかるわけもなく、ましてや解決するわけもありませんでした。

とにかく、シャロンのほんとの気持ちを知らないことには、どうにも前に
進めません。
彼女に会うのが怖い気もしますが、

(それでも明日また彼女に会いに行こう…)

とレイは心に決め、寝苦しい一夜を過ごしたのでした。



翌日。

(どんな顔をして会えばいいだろう…)

そんなことを考えながら、レイはシャロンの家に向かって庭を横切って
いました。
朝露に陽光が弾け、庭の草木がすべて、きらきらと美しく輝いています。

(あぁ、気持ちのいい朝だ…)

爽やかな朝の空気を胸いっぱいに吸い込んで、目線を少し上に向けて、
レイは青空を見ました。

シンメトリーな幾何学模様を形成している木々の間を抜けていると、
選定バサミと脚立を抱えてこちらに歩いてくるノーマンが見えました。

レイは、ぱっと表情を明るくして、まだ少し遠くにいる彼に向って
手を振り、

「やぁ、ノーマン。
 今日もいい天気だね」

と大きな声で言いました。
ノーマンのほうも、脚立を肩からひょいと持ち上げて、レイに合図を
します。

レイの近くまで来たところで、ノーマンは肩から脚立を下ろすと、
笑顔を見せました。

「おはよう、レイ」

レイも足を止め、ノーマンに答えます。

「おはよう、ノーマン。
 朝から、精が出るね。

 俺、これから、シャロンに会いに行くんだ」

シャロンの名が出ると、ノーマンは 少し表情を曇らせて、あぁ、とも、
おぉ、ともつかない中途半端な返事をしました。

「どうしたの? 何かあった?

 …!
 まさか、シャロンがどうかした?」

レイがやや慌てて尋ねました。

「いや、そうじゃない…  うぅむ、違うとも言えんかのぅ」

ノーマンは歯切れ悪く、そう言ってから、

「実はな、レイ。
 シャロンのことで、おまえさんに頼みがあるんじゃよ」

と続けました。

「頼み?」

いぶかしげに問い返すレイに、ノーマンはうなずいてから答えます。

「そうなんじゃ。
 いや、頼みといっても、わし自身も迷っておっての…」

そこでいったんノーマンは話すのをやめ、何やら考え込みましたが、
レイは、ノーマンが話すのをじっと待ちました。
やがて、ノーマンがぽつぽつと語り始めました。

「シャロンは、おまえさんも知ってのとおり、口の不自由な子でな。
 両親も早くに亡くしてしまい、可哀相な娘なんじゃ。

 本人はそれほど苦には思うてはおらんのかもしれんが、同じ年頃の
 よその娘のように、おしゃれをして遊びに行こうとしないで、わしの
 手伝いをして、草木を相手にしているほうがいいと言ってな…

 やはり、口のきけないことで、ごく普通の楽しみを自分から避けているの
 かもしれん。

 そんなあの子が、ある日、お城の舞踏会に行ってみたいと言うたんじゃ。
 わしも婆さんもそれはもう喜んでなぁ~
 綺麗に着飾ったあの娘(こ)を城へと送り出してやったんじゃ。

 興奮に頬を染めて帰ってきたときの、シャロンの喜びようといったら…」

遠くを見るような目をして、ノーマンは言いました。
自然と顔には笑みが浮かんでいます。

「それだけじゃない。
 舞踏会の翌日から、おまえさんが毎日シャロンを訪ねてくるようになった。

 わしらは大喜びじゃったよ。
 多分、シャロン本人もな。

 じゃが、最近のシャロンときたら…」

そう言うと、ノーマンはほぉーっと溜め息をつきました。
真剣な表情でノーマンの話を聞いていたレイは、

「それは俺も気づいてたんだ。
 最初はあんなに楽しそうだったのに、って。

 理由を聞いても首を振るばかりで、何も言ってくれないし…

 俺、嫌われたのかなぁ。
 何か気に障ることでもしたのなら言ってほしいのに…

 やっぱり、手話ができないと駄目なのかなぁ」

と言って、悔しそうに唇を噛みます。
最初のうちはノーマンに向けての言葉でしたが、だんだん、独り言のように
呟く感じになりました。

いつもは飄々としているレイが、こんなにシリアスな表情を見せて真剣に
シャロンのことを考えているのを見て、ノーマンは少なからず嬉しく
思いました。

「せめて、あの子の口がきけたらと思わんでもない。
 だが、こればっかりはな…

 西の森の魔女の呪いを解くことなんぞ、かなわんことじゃて…」

ノーマンは残念そうに言いました。

「えっ、シャロンは魔女の呪いのせいで話せないの?」

驚いたレイが聞き返します。

「そうなんじゃ…

 あれは、シャロンが4つの頃じゃったか…
 西の森で迷子になったことがあっての。

 みんなで総出で探してもらったんじゃが、どうにも見つからんかった。

 それが、翌朝、ひょっこり森の中で見つかったときには、そらもう
 心底ほっとしたもんじゃった。
 てっきり、狼にでも喰われちまったかと半分諦めていたからのぉ。

 ところが、そのときには、あの娘(こ)の声はもう…

 どうやら、西の森の魔女が通りかかって、あの子の声を奪っていった
 らしんいじゃが、なにぶんシャロンが幼かったこともあって、詳しい
 ことはよくわからんのじゃ」

「だったら、ひょっとして、その魔女を倒したら、シャロンの声は元に
 戻るかもしれないってこともありうるのかな?」

希望が見えたように思ったレイは、明るい顔になって言いました。

「それはどうかのぅ」

確信が持てず、ノーマンは曖昧に答えました。

「少しでも望みがあるって言うのなら、俺が西の森に行って、その魔女を
 こらしめてやるよ!」

軽い調子で言うレイに、ノーマンは慌てて止めました。

「やめなされ。やめなされ。

 西の森の魔女はきれいな顔のわりに、それはそれは残忍だと聞く。

 おまえさんが行って大怪我でもしようものなら、わしらはどう償えば
 いいかわからん。

 頼むから、そんな無謀なことはやめておくれ」

「そっか…」

レイは残念そうに言いました。

「じゃあさ、ノーマンの頼みっていうのは、いったい何なの?」

「それなんじゃが…」

まだ、迷っているふうなノーマンでしたが、思い切って話し出しました。

「レイがあの娘(こ)によくしてくれているのは、ほんとにありがたい
 ことじゃと思うとるんじゃ。

 じゃがな、今のシャロンは少し混乱しておるようじゃ。
 おまえさんの好意にも、自分の気持ちにもな。

 そこでな、シャロンの気持ちが少し落ち着くまで、あの娘と会うのを
 控えてもらえんかと思ってな」

「えっ」

ノーマンの頼みに、レイはとても驚きました。

「会わないことがいいのかどうかも、正直、わしには判らん。
 レイがどうしても会いたいというなら、それを無理に、とも言えん。
 婆さんにも、余計な口出しじゃと言われたんじゃが…

 もちろん、わしも、若いもんのことにどうこう口を挟むような野暮は
 したくはない。
 したくはないんじゃが、それでもやっぱりシャロンのことを思うと…」

苦悩に顔を歪めたノーマンが、すまなそうに、レイの顔を見ます。

(ノーマンはほんとにシャロンのことを大事に思っているんだなぁ)

そんなふうに思いながら、レイは、彼の言葉について考えていました。

「この年寄りの言うことも、少し考えてみてくれんか、のぅ?

 わしの頼みとは、そういうことじゃ」

ノーマンはそう言うと、よっこらしょ、と脚立を抱え上げて、それじゃ、と
庭の反対側へと歩き出しました。

「…」

その場に残されたレイは、ノーマンに挨拶するのも忘れて、深く考え込んで
しまいました。



to be continued(6へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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