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きんのまなざし ぎんのささやき

L'Oiseau bleu(8)

いよいよ、戦闘シーン!
selfish に書けるんだろうか… とビクビクもんでしたが。
どうしたことでしょう!
今日はすんなり書けました…

レイのお話っていうことで、ここまで書く間もずっと、手探りで書いている
みたいなところがあって、なかなかスムーズには書けなかったのですが、
今日は違いました。

何が違うのだろう… (よく解らない!)


あっ、今回のお話には ’血’ が出てきますので、苦手な方はご注意を!
(ただ、まぁ、牙狼を見ている方なら大丈夫かな、とも思いますけど)





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倒す!

そう決めてしまえば、レイに迷いはありませんでした。
それまで逆手に持っていた双剣を順手に持ち替え、化け物めがけて遮二無二
突っ込みます。

「うぉぉぉぉ」

レイの気迫のこもった叫びに気づいた化け物は、レイのほうに方向を変え、
こちらもすごい迫力で突進してきます。
10メートル近くあった互いの距離が、あっという間に縮まります。

激突する寸前で、レイは大きく跳躍し、化け物の首筋あたりを切りつけます。
そして、化け物の背に足をつき、反動をつけて飛び上がろうとしました。
ところが、化け物の背中は、藻なのか、コケなのか、よく解らないものが
生えていて、それが、とても滑りやすくなっていたから、たまりません。
案の定、レイは足を滑らせ、化け物の背を滑り台のようにずるずると
滑り落ちる羽目になりました。

「うわっ!」

腐ったような匂いのする化け物の不浄な身体に、レイの右半身がこすり
つけられます。

地面に足がつくなり、膝を曲げ、肩からぐるりぐるりと前方に何回転かして、
落下の衝撃を抑えました。
一方、化け物のほうは、点々とどす黒い血を流しながら数メートル走った
ところで止まり、早くも方向を変えてこちらに突っ込んできます。

「くっせ~っ」

レイは袖のあたりの匂いを嗅いで、思わず叫びましたが、目は、化け物から
少しもそらしませんでした。
突進してくる化け物にも冷静に、レイはじりじりと立ち位置を変えました。
レイの元いた場所を、化け物は走り抜けていきます。

それを横目に見ながら、レイは、すばやく辺りを見回しました。

(ちょうど手頃な木はないかな、っと…)

化け物と交互に周囲をちらり、ちらりと見ていると、

(おっ、あれなんかちょうどいいんじゃないかな?)

と、目当ての木を見つけることができました。
横に大きく枝を張ったその木のそばまで、レイはすばやく移動します。
そして、おもむろに化け物に向かって叫びます。

「へい、こっちだよ!」

レイの位置が判らなくなり、大きな耳をバサバサと忙しく動かしてレイを
探していた化け物は、その声を聞きつけて、猛然と突っ込んできました。

その様子を見届けてから、レイはその木に向かってダッシュしました。
木の手前1メートル程のところでジャンプすると、木の幹を右足で蹴り、
横に張った太めの枝に両手を掛けました。
飛びついた反動で、そのまま蹴上がり、枝の上で獲物を待ちます。

手負いの化け物はそれこそ頭から湯気を出しそうなほどの怒りで我を
忘れています。

レイは剣をきつく握りしめると、枝の真下を通る化け物の首をめがけ、
飛びつきました。

レイの剣は落下の力も加わり、深く深く化け物の首に刺さりました。

もともと大きな口を、裂けよとばかりに大きく開いて、化け物が叫びます。
ですが、剣が首に深く刺さり、喉をも突き破っていたため、その叫びは
かすれたような音しか作りませんでした。

化け物は、最期の足掻きとばかりに闇雲に暴れまわります。

深々と刺さった剣が取れずに、必死に剣にすがりついていたレイですが、
とうとう、剣から手が離れ、化け物の背中から振り落とされてしまいました。

「ぐわぁっ」

ゴロゴロと石ころのように何回転もしてから、ようやくレイは止まり、
あちこちの痛みに耐えながら、化け物の姿を必死に目で追いました。

化け物は、あちこちの木に身体をぶつけながら走りまわっていましたが、
とうとう、大きな木にまともにドォォォンとぶつかると、ズルズルと
崩れていきました。

「いててて…」

レイは左腕を押さえながら、立ち上がりました。
そして、びっこを引きながら、倒れた化け物の元に向かいました。

大きな木の根元には、大きな黒い塊が横たわっていましたが、見る間に
ドロドロと解けていきました。
それは、大きな黒い水たまりのようになり、空気に解けたか、地面に
吸われたか、やがて消えて無くなってしまいました。
あとには、ものすごい臭気が残り、やや黒ずんでしまった地面の上には、
レイの剣が落ちていました。

レイは息を止めるようにしながら、その剣を拾い上げ、少しでもその場から
遠く離れようと、痛む足を庇いながら歩きました。

化け物の臭気が少し薄らいだところで、ようやくレイは深呼吸をしました。
ところが、

「くっせ~っ」

自分の身体にあの化け物の臭気が染みついていて、臭くてたまりません。
立ち止まるより歩いている方が幾分匂いも薄れる気がするので、レイは
座り込みたい誘惑に耐えながら、森の中を歩きました。

すると、レイの目に、それはそれは美しい湖が飛びこんできました。

「助かった…」

レイは、足を速めて、そのまま湖にザブザブと入っていきました。
少し冷たい水が、髪や衣服から汚れを引きはがしてくれるようです。

何度も頭の先まで潜っては、ゴシゴシ擦りました。
そのうちに、匂いもだいぶん薄らいだので、ようやくレイは水際まで
引き返し、太陽の熱であったまっている大きな岩の上に大の字で
寝そべりました。

「ふぅ~、生き返ったぁ」

化け物を倒した安心感と疲労感、そして、太陽の温かさとで、いつしか
レイはウトウトとしていました。

そのときです。

急に空気に緊張感が宿ったのをレイは感じました。
すばやく身体を起こし、剣を引き寄せました。

すると、どうしたことでしょう!
いつの間にか、レイの前に女が立っていました。

ところが、これが、ただの女ではありません。
長身のレイを見下ろすくらいの身長で、抜群のプロポーションを引き
立てるように、ぴったりと身体のラインが出る美しい銀のドレスを
着ていました。
そして、この世のものとも思えないくらい綺麗に整った顔をしています。
その美しい顔が、不機嫌そうに歪められ、レイをじっと見つめています。

「あっ、どうも…」

レイは、曖昧に挨拶してみました。
もちろん、油断なく、いつでも剣を振るえるように身構えていました。

すると、その女は、レイの言葉など軽くスルーして、

「あなた、何者?」

と、高圧的に尋ねました。

(ひゅ~、声までイイときたか…)

内心、そんなことを思いながら、レイは答えました。

「俺は、レイ。
 サエジーマ国から来た」

「ここへは何をしに?」

女は名乗ろうともせずに、次の質問をしました。

「ある女の子に呪いをかけた魔女が、この森にいると聞いたから来た…」

そう答えながら、レイは何かに思い当たったので、その疑問をすぐさま口に
しました。

「ひょっとして、おまえがその魔女なのか?」

逆に問われた女が、嫣然(えんぜん)と笑いながら言いました。

「私のことをそう呼ぶ者がいるのは確かね」

その笑顔は、吸い込まれそうに美しく、同時に、このうえもなく恐ろしくも
見えました。

さすがのレイもぶるっと震えが来ましたが、シャロンの顔が脳裏をよぎり、
勇気を奮って尋ねました。

「おまえは、シャロンという娘を知っているか?
 10年くらい前にこの西の森で迷子になった女の子だ。
 そのときに、彼女は、魔女に… つまり、おまえに声を奪われたらしい。
 覚えているか?」

そう言うと、レイはぐっと魔女を睨みました。

「シャロン?
 えぇ、覚えているわ。
 深い森のような瞳をもった娘…」

魔女は少し遠い目をして言い、レイの反応を見るように流し目を送りました。

「では、やはり、おまえが彼女の声を奪ったんだな?
 なら、さっさと、彼女の声を返してもらおう!」

そう言うと、レイは後ろ手に剣の柄を強く握りしめました。
魔女のほうはそれを知っているのか知らないのか、少しも動じずに、こう
言いました。

「まぁ、お待ちなさい、ぼうや。
 今度は私があなたに尋ねる番よ… いいでしょ?」



to be continued(9へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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