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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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Shall we …(11)

カオルン、踊っちゃった!
王子と踊っちゃった!

王子って踊れるんだ… そっか…


えっ、続き?

う~~~ん、期待しないでください。 お願いだから…




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

豪華で瀟洒なシャンデリアがきらびやかに照らし出す大広間には、一流の
楽師たちが奏でる優雅な旋律が流れ、美しく着飾った人々のお喋りと笑い
声がさざ波のようにカオルンの耳に届いてきます。

(あたし、今、舞踏会で踊っているんだわ。 それも王子と…)

カオルンは夢でも見ているように、ぼんやりとそんなことを思いながら、
話がある、といったきり黙ってしまった王子の言葉を待ちました。



王子はようやく気持ちが固まったのか、わずかにそらしていた視線を
まっすぐにカオルンに向けました。

「カオルン…
 俺はこれまでも… そして、これからも、この国の平和と繁栄のために
 前だけを見て歩いていきたいと思っている。

 だが、隣におまえがいてくれたら、どんなにか…」

適当な言葉が見つからなかったのか、王子はそこでいったん言葉を切ったが、
すぐに、カオルンを少し抱き寄せ、その耳元で何かをささやきました。
その言葉はフロアの喧騒にまぎれ、誰の耳にも届きません。
ただひとり、カオルンを除いて…



ほんの一瞬の後、王子はすぐにカオルンから離れ、何事もなかったように
ダンスを続けます。

何事もなかったように?

いえ、そんなことはありませんでした。
王子の耳たぶはサクランボのように赤く色づいていました。
そして、カオルンのほうは、リンゴのように頬を染めました。





大盛況のうちに舞踏会は幕を閉じました。


伯爵夫人に借りた素敵なドレスを脱ぎ、きれいにメイクしてもらった
お化粧を落としたカオルンは、風呂上がりの火照った身体を窓辺に
もたれかけ、ぼんやりと夜空を眺めていました。

「何もかもが夢だったのかしら…」

つい数時間前のことがとても信じられませんでした。
カオルンが覚えているのは、フラッシュバックのように思い起こされる
断片的なものでした。




ダンスの後、王子に手を引かれて誘(いざな)われたテラス。

あちこちにかがり火が焚かれ、幻想的に見える庭。

幾万もの星が瞬いている夜空。

静かでひんやりと冷たい外気。

王子の握る手に感じる温もり。


そこで、初めて聞かされた、自分がミツッキー国の王女であったという
事実。

「おまえが王女であったとしても、そうでなかったとしても、俺の
 気持ちは変わらない…」
熱く囁く王子の甘い声。

「’あの夜’ から、おまえを迎え入れることばかりを考えるあまり、
 おまえのことを放っておいてしまった… 許してくれ」
そう言って、優しく見つめる王子の目。

すぐ近くだというのに、ひどく遠く感じた大広間の明かり。

そして、とても、とても近くに感じられた王子の存在。




まだ濡れている髪をタオルで拭きながら、

「夢なら覚めなきゃいいのに…」

そう呟いて、カオルンは溜め息をつきました。



  コンコン…


部屋のドアを遠慮がちにノックする音が響きました。
カオルンは驚きの表情を見せましたが、慌てて戸口に駆け寄ると、
そっとドアを開けました。


そこにいたのは、ゴーザンでした。

カオルンはなんとなくホッとしたような残念なような複雑な気持ちで、

「どうしたの?」

と尋ねました。

ゴーザンは申し訳なさそうな顔で、

「こんな時間に失礼…
 実は、王子からことづかったものがあって」

と言うと、手に持っていた包みをカオルンのほうに差し出しました。

「これは?」

包みを受け取りながら、怪訝な顔でカオルンは尋ねます。

「その品は、カオルンがミツッキー国の王女であったという証拠の品。
 幼かったあなたが城から逃げ出したときに持っていたものだと…」

ゴーザンの答えを聞いて、カオルンはその包みを慌てて開きました。
中から出てきた懐剣と櫛を、仔細に見つめるカオルンに、

「お父上とお母上の形見… になりますかな?」

と、ゴーザンは声をかけました。
そして、さらに、胸元の内ポケットから大事そうに取り出したものを
カオルンに差し出しました。

「それから、これは王子からのメッセージです」

カオルンが、きれいに4つに折られたその紙片を受け取ると、

「では、わたくしはこれで…
 おやすみなさい」

と挨拶をして、にっこり笑ってゴーザンは立ち去りました。
カオルンはその後ろ姿に向かって、

「おやすみなさい」

と挨拶をし、部屋のドアを静かに閉めました。

両手に、ゴーザンから渡されたものを持って、カオルンはベッド脇まで
戻り、サイドテーブルに懐剣と櫛の包みをそっと置きました。
そして、そのままベッドの端に腰を下ろすと、王子のメッセージが
書かれた紙片を開いてみます。

そこには、走り書きしたような王子の字がありました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  「おまえが王女である証拠」をゴーザンに託した。
  大事に持っていてほしい。

  それから…

  今夜のことは、夢でも何でもない。
  その品が、「夢でない証拠」にもなるだろう。

  だが、もし、それでも夢だと思うなら… 決して覚めることのない
  夢だと思えばいい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


カオルンは、そのメッセージを読み終わると、そっと胸に抱きました。

(明日、王子に逢ったらどんな顔すればいいんだろう…
 王子と何を話すんだろうか?)

身体感じる心地よい疲労感に引きずられるように、カオルンはベッドへと
沈み込みました。
その顔には、しあわせそうな微笑みが浮かんでいました。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

王子とカオルンがその後、しあわせに暮らしたのはもう知ってるね?
さぁさ、今夜のお話はこれでおしまいだよ!

ほらほら、もう眠くてたまらないんだね?
ゆっくりお休みなさい。  カオルンと同じように…


fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



ようやく終わりました。
結果的に、とても長いお話になりましたねぇ~

王子がカオルンの耳元でなんと囁いたのか?

一応、書いてはみたのですが、やはり、ここは、みなさんの妄想ポイント!
ってことでお楽しみいただいたほうがいいのかなぁと思って消しました。


Shall we … というフレーズで、すぐに思い当たるのは、Shall we dance?
ですが、ダンスだけじゃないいろいろなことを、ふたりでいっぱいして
ちょ~だい!


2013/07/11 追記
拍手コメントへのお礼で、
> 今回書けませんでしたが、夫人とレイとの出会いは、夫人の家から逃げ
> 出したボルゾイ(今は亡き伯爵の飼い犬)を、レイが送り届けた…
> みたいなことを妄想していました。
と書きましたら、是空様より素敵なイラストをいただきました!


ひゃあ~ カッコいい♡
是空様、素敵なものありがとうございました!!


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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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