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きんのまなざし ぎんのささやき

Shall we …(10)

わずかな時間を見つけては書いているので、通して読み直すとチグハグな感じが
否めない… (う~~~)

でも、公開せずに持っていても、ど~せあんまり変わんないので、エイッと
公開します。


せ~の、ポチッ
(あ~、やっても~た~~~)



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

王子に誘われたカオルンは、

「あの、あたし… そんなに踊れないかも、ですよ?」

と、声をひそめてこっそり言いました。

がんばった、とは胸を張って言えました。
でも、それが上手いかどうかは別の話なので、カオルンは予防線を張った
のでした。
それを聞いた王子の表情は、少し緩み、

「では、やめておくか?」

と意地悪を言いました。
そう言いながらも、王子は手を差し出します。

そんな風に言われると何か試されているような気がして、負けず嫌いな
カオルンはついつい意地を張りたくなります。
ぐっと覚悟を決めて、カオルは自分の手を王子に預けました。
王子はその手を取ると、カオルンをフロアへと導きました。


(おい、王子がダンスを踊るらしいぞ)
(まさか、あの王子から声を掛けるなんて…)
(相手はどこの娘だ?)


先程まで大広間に漂っていた緊張の空気が、今度はざわざわとした雰囲気に
変わりました。

その雰囲気にカオルンは飲み込まれそうになりましたが、それに気づいた
王子は平然としてカオルンに言いました。

「俺だけを見てればいい」

恥ずかしげもなくそんなことを言う王子に、カオルンは一瞬ポカンとして、
次の瞬間、口を尖らせて言いました。

「なにそれ?
 黙って従えってことですか?」

その言葉に、王子は足を止めて驚いた顔で振り返りました。
王子は自分の言った言葉が意図しない方向に取られたことに気付くと、

「どうしておまえはそう…」

と呆れたように言いかけしたが、みなまで言わずに、

「…俺が言いたかったのは、 ’周りは気にするな’ ということだ」

と穏やかに言いなおしました。
その答えに、カオルンは、あぁ、とうなずいて見せて、

「なんだぁ、そういうこと」

と呟きました。
そうした話を交わしているうちに、緊張しそうだったカオルンから、無駄な
力が抜けていました。

フロアの開いているスペースに立つと、王子がカオルンのほうに向きなおり、
軽く会釈をしました。
カオルンもにっこりと微笑み、膝を折りました。

王子の右手がカオルンの身体を支え、左手が優しくカオルンの右手を握り
ました。
握られた手は、しっくりくる感触を求めて、何度か握り直されます。


 ドキン…


カオルの心臓が跳ねました。
周りの景色が白く飛び、カオルンの目には王子以外、何も映らなくなりました。
ふたりは目を見交わし、呼吸を整えます。


 最初の一歩…


それさえ踏み出せれば、あとはもう音楽に乗るだけでした。
王子のリードに合わせて、これまでに何百回、何千回と踏んだステップを
踏みます。

とは言え、レイよりも長身の王子では、キープされる位置が少し上に変わり、
戸惑いを覚えながらの滑り出しです。
しばらくダンスに集中していましたが、王子が声を掛けました。

「なんだ、意外にちゃんと踊れるじゃないか」

王子の言葉に、カオルンも負けずに言いました。

「それは、あたしの台詞です。
 実は、王子は踊れないんじゃないか、って疑ってたんですから」

それを聞いて、王子は吹き出しました。

「ふっ…
 これでも、一応、一国の王子なんでね。
 一通りのことは人並みにできるつもりだ」

そんな軽口を叩きながら、ふたりはフロアを滑るように踊り続けます。


(おい、見たかよ。王子が楽しそうだぞ…)
(あぁ、あんな王子、初めて見たかも知れん)
(何を話してるんだ? 気になるな…)


小声で交わされる声が、独特なざわつきを引き起こします。
それに気づいた王子が、慌てて顔を引き締めがら言いました。

「こういう場での王子としての振る舞いも、身につけてるはずなんだが…

 どうも、おまえといると調子が狂うな」

それを聞いたカオルンは、再び口を尖らせます。

「あたしのせいだって言うんですかぁ?

 えぇ、えぇ、どうせ、あたしといると、王子の格も下がりますよぉ~だ!」

ぷいっと顔を背けた瞬間、カオルンはステップを間違えてしまいました。

「あぁ!」

バランスを崩して、カオルは王子の胸にぶつかります。
慌てるカオルンに王子は

「大丈夫か?」

そう言うと、いったん動きを止めました。

「ごめんなさい…」

小さくなって謝るカオルンに、王子は

「どうということはない」

と、さらりと言いました。
てっきり嫌味のひとつも言われるかと思っていたカオルンはホッとしました。
カオルンが落ち着くのを待って、

「いいか? いくぞ」

と、王子は声を掛けます。

「はい…」

カオルンは、自分でも驚くほど素直に返事をすると、王子のリードに合わせて
再び踊り出しました。



すると、間もなく、

「おまえに話がある」

真面目な顔をして、王子は言いました。

「なんですか?」

カオルンは王子の顔を見ました。
王子はカオルンを見ずに、周囲に目を配っています。
他のカップルとぶつからないようにそうしているのでしょうが、カオルンには、
なんとなく、王子が意識して自分から目をそらしているように思えました。
そのとき、

「!」

王子のリードがピタリと止まりました。
行きたいスペースに別のカップルがいるのです。
すぐに、他にスペースを探そうとしますが、なぜか、王子たちの周りは混雑
しており、空いたスペースが見当たりません。

周囲にいるリーダーと目が合うと、さりげなく他のスペースへと移動して
スペースを空けてくれますが、すぐに違う別のカップルが近づいてきます。

みな、王子とカオルンの様子が気になるらしく、ダンスにかこつけて、
少しでも近づいて、話の断片なりとも聞こえないか? と目論んでいるの
でした。


「…話は後だ。
 少し強引にここを抜けるぞ」

王子はそう言うと、少しだけ開いていたスペースに身体を割り込ませて、
広い場所へと出ていきました。
踊りながら、王子はどんどん国王の玉座の前まで来ました。
さすがにそこまで図々しく追いかけてくるような者はいませんでした。

数メートル先に、国王がゆったりと座っていらっしゃいます。
カオルンから、国王がこちらを見て微笑んでいるのが見えました。

(う~ 緊張する…)

カオルンがドキドキしそうになったそのとき、

「さっきの話の続きなんだが…」

王子もまた、少し硬い表情でカオルンに声を掛けました。



to be continued(11へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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