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きんのまなざし ぎんのささやき

Shall we …(9)

なんでこんなに長くなったんだろう。

最初は、「舞踏会を書いてみたい」 それっぽっちのことだったのに…

あぁ、それっぽっちのことだったのに。



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ゴーザンに案内された王子とレイは、小さな部屋に通されました。
その部屋には、旅装束のままの男がひとり、疲れ切った身体を椅子に預けて
いました。
男は、ゴーザンの後ろに王子がいることに気づくと、慌てて立ち上がり、
ひざまずいて最敬礼をとりました。

ゴーザンが一礼して退室しようとすると、王子は

(ここにいろ…)

と目配せをしました。
ゴーザンは一瞬動きを止めましたが、静かにドアを締めるとそのすぐ脇に
立ちました。

王子は、ゴーザンに向けていた目を男に戻すと、

「遠い国までご苦労だった。
 疲れているところを悪いが、さっそく報告を聞きたい」

ねぎらいの言葉も早々に、男を急かしました。

「はっ。 では、さっそく。
 まずは、結論からお話すると…

 見事、証拠は揃いましてございます」

少し誇らしげに言う男の言葉に、王子はあからさまに安堵してみせ、身体の
力をほぉ~っと抜きました。

「そうか… それで?」

男は王子が満足していることが判ると、少し緊張を解いてから話を続けました。

「ミツッキー国が隣国に攻め込まれたとき、カオルン様を連れて城から逃れた
 乳母は、残念ながら亡くなっておりました。
 ですが、その姪なる人物から、そのときの話を聞きましてございます。
 また、カオルン様が王女である証(あかし)として乳母が託された、王家の
 紋章入りの懐剣と櫛とを預ってまいりました」

そう言うと、男はカバンの中から包みを出すと、丁寧に開いて、王子の前に
両手で差し出しました。
王子はそれを受け取ると、しばらく眺めてからゴーザンに預けました。

その後、男は、これまで調べたことを要領よく、王子に報告していきました。

「…ざっと、これらが報告となります。
 詳しい報告書は、後日、お持ちいたします」

男は報告を終えると、王子に深く頭を下げました。
王子は、

「よくやってくれた、礼を言う。
 遠いところまで行かせて済まなかった。

 もう下がっていいぞ。
 ゆっくり身体を休めてくれ」

穏やかにそう言いました。

「ははっ」

かしこまった男が、荷物を手にして部屋を出ていくのを、王子たちは見送り
ました。



小部屋のドアが閉まるの待って、レイはさっそく王子に声を掛けます。

「驚いたな。
 王子がこんなことを調べさせていたなんて…」

レイはゴーザンと顔を見合せます。
ゴーザンも深くうなずいてから言いました。

レイはゴーザンと顔を見合せます。
ゴーザンも深くうなずいてから言いました。

「王子がそのようなことをするということは…」

カオルンとの仲を進展させようとしてのことか、とゴーザンは暗にほのめかし
ました。

「おまえたちが考えているとおりだと思う」

照れ隠しからか、王子はふたりから微妙に目をそらした状態で言いました。

「でもさ、カオルンがミツッキー国の王女だったっていう証拠が掴めたから
 よかったようなもんだけど、もし駄目だったらどうする気だったの?」

王子同様、ほっとしたようなレイは、興味本位でそう尋ねました。

「そうであったとしても ’俺は’ 別に構わない。

 あいつのことをとやかく言う者が出てきたときに、王女である証拠があれば
 説明しやすい… ただ、それだけのことだ

 もし証拠がなくとも、どうとでもしてみせる」

王子は至極当然、と言った感じで答えました。

「…」

レイは言葉にはしませんでしたが、眉を引き上げて、へぇ~ っという表情を
して見せました。

今度は、ゴーザンが少し厳しい顔で王子に問いました。

「わたくし達にも秘密にしていらしたのは、何か理由があるのですか?」

側近としての自負があったゴーザンは、王子に内緒にされていたことに、
少しわだかまりを感じていたのです。

「カオルンの調査におまえ達が関わったことが知れると、難癖をつけるヤツも
 出てくる。
 その面倒を避けただけだ。

 おまえ達を信用していなかったわけではない」

王子はゴーザンを安心させるように言いました。
その言葉を聞き、胸のつかえが取れたゴーザンは、

「王子、よく解りました。

 それでは、せっかくよい知らせが舞い込んだのですから、カオルンにもぜひ
 このことを伝えてあげてくださいまし」

そう願いました。

「…そうだな」

王子は一言そう言うと、すぐに小部屋を出ていきました。


後に残されたレイとゴーザンが、安心したように大きく息を吐くと、互いに
笑顔を交わしました。




大広間に戻った王子は、カオルンのいた壁際に目をやりました。
すると、カオルンとレオは、まだ楽しそうに会話を続けていました。

そのことに、少し複雑な想いが込み上げたのはほんの一瞬でした。
王子はすぐに気持ちを引き締めて、真っ直ぐ、真っ直ぐ、カオルンのもとに
近づいていきます。

王子の行動はみなの注目の的でした。
大広間中に、軽い痺れを伴うような緊張が走ります。

カオルンもレオも、王子に気が付くと、自然にお喋りが中断されました。

王子が目の前に来て立ち止まると、レオはポカンと開けていた口を閉じ、
王子に頭を下げました。
カオルンも慌ててスカートをつまみ、膝をちょこんと折りました。

まず、王子は、見覚えのあるレオのほうに声を掛けます。

「おまえは、レオ・フドゥーだな?」

「はい、そうです」

緊張の面持ちのレオは、頭を下げたまま答えました。

「この国始まって以来の天才と聞いている。
 国費で留学していたと思ったが… 帰国したのか?」

王子は穏やかに聞きました。

「はい、つい1週間前に戻って参りました」

「そうか…  ときに、レオ。

 カオルンと話し中のようだが、少しカオルンに話があるのだ。
 すまないが…」

「も、もちろん、構いません。
 では、僕はこれで…」

そう言うと、レオはカオルンに向かってうなずいてから、一礼をしてその場を
離れました。

レオを見送ってから、王子はようやくカオルンに視線を向けました。
カオルンは注目を浴びていることが気になるらしく、チラリチラリと周囲の
様子を気にしています。

「あ、あのぉ、話って?」

そう切り出したカオルンを無視し、王子は、こう言いました。

「せっかくの舞踏会だ。  …踊るか?」

「えっ?」



to be continued(10へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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