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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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最近の’お礼’

子どもなんかじゃ(2)

プリプリ怒ってるカオルちゃん。
美佳ちゃんが演じると、さぞや可愛いだろうなぁ~
…と妄想しつつ、今宵もおつきあいをば!




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

机に肘をつき、両手を汲んだ鋼牙が視線を伏せている。
机の前で腰に手を当てて仁王立ちになっていたあたしは、そんな鋼牙を見下ろしていたんだけど、すぐに、鋼牙は視線だけをあげて見つめてきた。

その眼差しに、思わずたじろいでしまった。
というのも、鋼牙の目は一見穏やかに見えて、無遠慮なまでに真っすぐで、あたしの内にまでぐいぐいと入り込んでくるような強い意志を持ったものだったからだ。

そんな鋼牙に、思わずたじろいでいると、ぎしりと革の軋(きし)ませながら、鋼牙が椅子から立ち上がった。
はっとしたときには、机を回り込んだ鋼牙がすぐそばまで来ていた。
目の前までやってきた鋼牙を、あたしは見上げるようにして見つめる。
内心の動揺を表に出さないよう、精いっぱいの虚勢を張って…

「カオル…」

なによ、と口では言わずに、視線だけで伝われとばかりに口を真一文字に引いて、鋼牙を睨むように見る。

「それではこうしよう。
 おまえを大人として扱っていると、おまえにわからせればいいのだろう?」

鋼牙が少し顔を近づけて、無駄にいい声で囁いてくるから、

「えっ?」

とあたしは視線を揺らしてしまう。

そんなあたしを見て鋼牙はわずかに口角をあげる。
そのどこかイジワルで熱い眼差しに、釘付けになり微動だにできずにいると、鋼牙はグイっとあたしの腰を抱いて引き寄せてきた。

さらに顔を近づけて、熱い眼差しが注がれる。

「いや、正しくないな。
 ’大人として’ ではなく、’大人の女として’ が正しいのか…」

そう言う鋼牙の唇は、あたしの唇のギリギリのところにあって、鋼牙が喋るたびに、鋼牙の熱い吐息があたしの唇にかかっている。

「それとも…
 おまえの方から、それを証明してくれても構わないが?」

どうする? とばかりに片眉をわずかに上げる鋼牙に、
あたしの方からって、何?
大人の女なのよって、あたしが証明するってこと?
それって? んっ?
と慌ててしまう。
それに、触れそうで触れないその唇に、溜まらなく恥ずかしいような、じりじりと苛立つような複雑な感覚を覚えて焦ってしまう。

「やっ… ちょっ… えっ? 鋼牙?」

すると、そんなあたしの反応を楽しむように鋼牙の目がわずかに細められる。
思わずポッと頬染めてしまうような艶っぽい鋼牙に、ドキドキと自分の鼓動が速くなるのを止められない。




すると、急に… それこそカードをぱっと裏返しにしたかのように鋼牙の表情が一変した。
そして、あたしの腰に回した手で押され、そのままドアのほうへと導かれる。

「だが、今はやるべきことがある。
 ’大人’ のおまえなら、それはわかるだろう?」

鋼牙の態度が急に変わってしまったことに戸惑っているあたしになんかお構いなく、鋼牙は書斎のドアを大きく開いた。

「片づけなきゃならないことをさっさと片づけるから、証明するのは今晩まで待っていろ。
 おまえが納得いくまでどれだけでも付き合ってやるから」

そう言うと、ポイッと効果音が聞こえてくるように書斎の外へと放り出された。その扱いにはただ唖然とするしかできない。

そんなあたしの目の前で、書斎のドアが閉まっていく。
が、あとちょっとで閉まるというところで、もう一度開かれたドアから鋼牙が顔を出す。

なんだ? 何を言われるの?
思わず、身構えたあたしに、鋼牙は一言。

「いい子で待ってろ」

それだけ言うと、今度こそ書斎のドアがパタンと閉じられた。

「…」

茫然としたあたしは、しばらくその場で固まるしかなかったが、ハッと気づくとどうにも怒りが収まらなくなった。

「なによ! 子ども扱いして!」

ついさっきまで顔を赤らめていた理由とは全く異なる理由で、顔を真っ赤にしたあたしは、鋼牙の消えたドアに向かって拳を振り上げてから、足音も荒くその場をあとにした。

きぃぃぃっ!
見てらっしゃい、鋼牙!
絶対、あたしの大人の魅力でメロメロにしてやるんだからねっ!




その頃、書斎では…

『おいおい、鋼牙。
 カオルを怒らせてどうするんだ…』

ザルバが呆れたように言った。

「…」

鋼牙は何も答えずに、ザルバの言葉をスルーする。

『おまえさんにとっちゃ、カオルが大人だろうがガキくさかろうが、どっちだっていいんだろ?』

鋼牙は、まあな、という代わりに、フッと小さく笑みを浮かべた。

『まぁったく…』

ザルバは海よりも深い溜め息をつく。
そして、さも面倒くさそうに言葉を続けた。

『さっさとやることやって、カオルの機嫌を取ってやれ』

「ああ」

鋼牙はそう返事をすると、読みかけだった書物を手に取り、鋭い視線を走らせるのだった。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


今宵、ふたりの間でどのようなやりとりがあるのやら!
いや~ん♡ た・の・し・みぃ~

どっちがどんなふうに証明するんでしょうね?

「これで満足か?」と鋼牙が聞くのか?
「これでわかった?」とカオルがニッコリ笑うのか?

お好きに妄想して、ニマニマしてくださりませ~♪

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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