きんのまなざし ぎんのささやき
牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです
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子どもなんかじゃ(1)
1期のちょっとブッ飛んでるカオルちゃん、かわいかったな~
…と思い出していただきながら、こんな妄想はいかがでしょう?
…と思い出していただきながら、こんな妄想はいかがでしょう?
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ゴンザさんとお茶の時間。
おいしいと評判のシュークリームを前にして、あたしは口元が緩むのを感じていた。
「これ、ふわとろクリームがた~っぷり入っていておいしいヤツですよね?
きゃー、うれしぃ~♡」
テンションMAXのあたしの声に、ゴンザさんもニコニコとしながらティーカップに琥珀色に輝く紅茶を注いでいる。
「カオル様にそんなに喜んでもらえて、わたくしも並んだ甲斐がありました」
コトリとカオルの前に置かれた紅茶も、なんだか嬉しそうにきらきらと揺れている。
ありがと、とゴンザに答えてから、カオルは大きなシュークリームを両手で持った。
ゴツゴツとした硬めのシュー皮のカットした隙間から、白いホイップクリームが顔を覗かせている。
クリームがたっぷり入っているという噂なだけに、かなりの重みを感じるのも、カオルの期待をいやが応にも高めてくれる。
「いっただきま~す!」
大きな口を開けて、最初の一口をかぶりつく。
香ばしい香りと甘い香りが鼻を抜け、一歩遅れて、濃厚でいて上品な甘さの舌にも滑らかなクリームが口の中いっぱいに広がった。
「んふ~♡」
言葉にならず、吐息だけでおいしいことをゴンザさんに伝える。
ねぇ、ゴンザさん、伝わった?
ゴンザさんを見ると、満足そうに何度もうなずいてくれていて、どうやらちゃんと伝わったみたい。
もう一口…
「はむっ」
嗚呼、しあわせだぁ~
けれども、シュークリームって最初の一口はいいけど、食べ進めるうちにどんどん中のクリームが氾濫してくるのよねぇ。
やだ、こっちがこぼれそう。
あっ、こっちからも!
そうやって悪戦苦闘しているところで、リビングへと誰かが入ってきた。
あっ、鋼牙!
ゴンザさんがすぐに鋼牙に近寄り、声を掛けている。
「鋼牙様、おかえりなさいませ」
「ああ…」
そう言いながらコートを脱ぐ鋼牙に、ゴンザさんが手を貸している。
コートを脱いで身軽になった鋼牙があたしのほうを見たので、
「おかえりなさい」
とシュークリームとの格闘を中断して、にっこり笑った。
「ただいま」
優しい目をした鋼牙がそれに答えて、それからクスっと笑った。
「ん?」
何を見て笑うのかわからないあたしがキョトンとした顔をすると、
『おいおい、カオル。
おまえ、今、すごーくしあわせそうな顔してるぞ』
とザルバが言った。
だから、
「えーっ、だってしあわせだもん。
このシュークリーム、とってもおいしいんだから~」
と能天気に答えたら、
『クックックッ、いい大人が菓子ひとつでそこまで喜ぶとはな』
と言うから、ちょっとばっかりムッとする。
ムカつくザルバに反論のひとつもしようと口を開きかける。
だが、結局のところ、あたしは言葉を飲み込まざるを得なくなったのだ。
というのも、鋼牙があたしにぐいっと顔を近づけてきたから…
思わず、身体を後ろに引いてしまっていたが、鋼牙はそれにも構わず手をあたしの顔へと伸ばしてくる。
鋼牙の目線はあたしの口元。
そして、指もそこに近づいてくる。
ごくっ
無意識のうちに喉が鳴る。
やがて、鋼牙の人差し指の背が、あたしの口元をクイッとぬぐって、あたしの目の前で止まった。
「ついてるぞ…」
鋼牙の指には、クリームが…
「あっ」
と言ったときには、もう鋼牙がそのクリームをペロリと舐めていた。
あたしは、息を飲んだまま動けない。
は、はずかしい…
羞恥心で顔を赤くするあたしに対して、鋼牙はなんでもないことのように平然として、こう言った。
「こぼすなよ?」
そして、あたしの頭をクシャクシャと撫でて、フッと余裕の笑みを浮かべてからリビングを出ていったのだ。
あたしの顔は一層赤くなった。
けれどもそれは、羞恥や照れからくるものではない。
もう! まるで子ども扱いじゃないっ!
ザルバの言葉や鋼牙の対応にイライラしたあたしは、まだ手に残っているシュークリームを親の仇かのように睨むと、パクパクと食べ進めた。
そして、ゴンザさんの入れてくれた、香り豊かな紅茶を味わうことなくグイッと飲むと、やや乱暴にカップをソーサーに戻したのだった。
すっくと立ちあがったあたしは、
「ごちそうさまっ」
と少々語気荒く言うと、鋼牙の姿を追ってリビングをあとにした。
冷静に、冷静に…
リビングから書斎へと向かう間に、あたしは気付いていた。
こんなことでカッカしてるなんて、それこそ子どもみたいじゃないか、と。
書斎にたどり着き、ドアを前にして深呼吸をひとつしてからノックする。
コンコンコン
中からくぐもった返事が聞こえた。
それを合図に静かにドアを開ける。
口を横一文字に引き結んで笑顔もなく、無言のままゆっくりと足を進めて、書斎机に向かう鋼牙の前まで来て立ち止まった。
顔を上げた鋼牙が
「どうした?」
と尋ねてくる。
「ねぇ、鋼牙。
鋼牙はあたしのこと子ども扱いしてない?」
「子ども扱い?」
うん、とうなずく。
「こぼすな、とか、頭撫でたりだとか…
なんだか小さな子ども相手にするみたいで、あんまり気分がよくない!」
そう言って眉をしかめてみせて、不快さをアピールする。
それなのに、鋼牙は涼しい顔で、
「俺は子ども扱いしたつもりはないが?」
と言うので、
「鋼牙にそのつもりはなくても、あたしはそんなふうに思ったのっ」
と口調が少しきつくなってしまう。
「そうか…」
呟くようにそう言った鋼牙が、何か考えている。
to be continued(2へ)
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
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