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きんのまなざし ぎんのささやき

あどけなくて、いとしくて…

零くんのお話を妄想すると、その反動が…
こんな形の反動はいかがでしょうか?



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それは、とある日の昼下がり…

カオルが外出から帰ってきて、「ただいまー」と小さく呟きながらリビングの脇を通りかかったとき。
リビングの脇を通りしなに、少し開いていたドアから、ふと視線を中に向けてみたら、そこには一人掛けのソファに座る鋼牙の姿があった。
カオルはフッと口元が緩みながら、そのまま足をリビングの中へと進めた。

少し近づいたところでカオルはハッと気づいて、足音を忍ばせるようにそっと近づいていく。
というのも、鋼牙は静かに目を閉じており、どうやらつかの間のまどろみの中にいたのだった。

すぐそばまで来て、そっとしゃがみ込んでカオルは鋼牙の寝顔を覗き見ていると、

『カオル』

と、鋼牙の左手中指から声が掛かった。

声に鳴らない悲鳴を飲み込んで、カオルはザルバに向かって、シッと人差し指を唇に当てた。
そして、声を潜(ひそ)めて

「ただいま、ザルバ」

とカオルが言うと

『おかえり』

とザルバも心持ち小声で応じた。

「今日は出なくてよかったの?」

『ああ、ここのところ元老院にこき使われていたからな。
 少し落ち着いた今のうちくらいゆっくりしないと、やってらんねぇぜ』

「そっか… お疲れ様、ザルバ」

そういうと、カオルはちょこんと頭を下げてみせた。
そこへ、今度はゴンザが顔を出す。

「おや、カオル様。お戻りだったのですね…
 おかえりなさいませ」

その声に慌てて振り返ったカオルが、またまた人差し指を口元で立ててみせて、鋼牙が寝ていることをゴンザに知らせる。
それに気づいたゴンザもコクコクとうなづいてくるのを確認してから、

「ただいま、ゴンザさん」

と囁くように言った。
ゴンザは身をかがめるようにしてカオルに近づくと、

「カオル様がお帰りになった頃にお茶の時間にしようと、鋼牙様と話していたのですが…」

と耳打ちするように言った。
それを聞いて、カオルはちょっとだけ考える素振りをして、

「お茶は… 鋼牙が起きてからにしましょ?」

とニッコリ微笑んだ。

カオルは再び鋼牙へと視線を戻した。
鋼牙の寝顔はとても穏やかだった。
とはいえ、いつ目を開けてもおかしくないくらい隙のない表情だったが…

けれども、普段の鋼牙を知っている者であれば間違いなく驚くだろうが、鋼牙の眉間には皺がなかった。←ココ、大事だからもう一度言う… 眉間には皺がなかった!

こんなに穏やかな顔をした冴島鋼牙を見ることができるのは、今この場にいる者だけであろう。

やがて、ゴンザは音も立てずにそっとその場を離れていった。

カオルはずっと見ていても見飽きないようで、しばらくは愛おしそうに鋼牙の寝顔を見つめていたが、鋼牙を起こさないように注意しつつ、手を伸ばしてその髪を何度も何度も優しく撫でるのであった。





夢現(ゆめうつつ)の中で、鋼牙はカオルとザルバ、そしてゴンザらが何やら話をしているのを感じていた。
3人とも、鋼牙にとっては、まるで自分の一部であるかのようにも思う存在だ。
そんな深い絆を感じる者たちが語らう声は、鋼牙の耳にはとてもここちよく響いていた。
だから、無理に意識を覚醒させることもせずに、そのまま再び、束の間のまどろみの波間に潜り込んでいくのであった。




それからどのくらい経っただろう。
5分か10分か… いずれにせよ、そう大してかからないうちに、鋼牙の意識が浮上してきた。
ほんのわずかな時間であったが、牙狼の鎧を継承する鋼牙にとっては、気力、体力を充填するには十分であった。

目を覚ましてすぐに、

『お目覚めか、鋼牙?』

とザルバの声がかかる。

「ああ」

短い返事でそれに応えると、鋼牙の目がすぐそばのソファで釘付けになる。
そこには、カオルが貸しかけており、ひじ掛けに両手を添えて、それを枕にするような恰好で眠っていた。
鋼牙の視線の先に気づいたザルバが

『カオルのやつ、おまえさんの寝顔を眺めながら、いつの間にか眠っちまったんだ…』

と教えてくれた。
鋼牙はそれには答えず、黙ってカオルの寝顔を眺める。

身体が斜めに傾いていて、決して楽な姿勢には見えなかったが、カオルの表情は柔らかく微笑んでいるかのようだった。
彼女と出会って10年以上の歳月が過ぎていたが、その寝顔はまるで少女のようにあどけなく、可憐であった。

鋼牙は思わず手を伸ばしていた。
白く柔らかな頬をそっと撫でる。
すると、鋼牙の手に頬ずりするかのようにカオルが顔を摺り寄せる。

(愛しい…)

ぽおっと心の中が温かくなるような、そんな感情を覚える。

すると、程なくしてカオルが唐突に目覚めた。
ゆっくり開かれた目は最初のうちこそぼんやりとしていたが、2度3度とまばたきが繰り返されるうちにしっかりと目に力が宿り、やがて鋼牙の視線とぶつかり、大きく見開かれた。

「あっ… 鋼牙…」

そう言って慌てて起き上がるカオルに、鋼牙は

「すまない、起こしたか?」

と声を掛ける。

「あ、ううん…」

そう言って小さくかぶりを振ったカオルが、チラッと鋼牙を見る、

「やだ… ずっと見てたの?」

そう言って、すぐに目を伏せる。
心なしか耳が赤い。
その仕草が先程の少女のような寝顔と相まって、より一層、カオルへの愛しさが募ってくる。

鋼牙は、おもむろに立ち上がると、一人掛けのソファーからカオルの横へと移動して腰を下ろした。
カオルに近づきたい… その想いを自分の意志として認識するよりも早く、身体のほうが勝手に動いていた。

鋼牙の行動に、カオルはさらに焦って顔に熱が集まってくる。

「もうっ、変な顔してなかった?
 恥ずかしいんだけど…」

そんなことを言いながら、近くで見ないで、とばかりに鋼牙とは反対の方向に顔をそらして、火照った顔にパタパタと手で風を送っている。

鋼牙はそんなカオルをじっと見つめながら、彼女に触れたくて溜まらなくなる。
そして、その反面、意地悪をしたくなるような気持ちも…

鋼牙は、無防備なカオルの耳に顔を寄せ、

「そんなことはない。かわいい寝顔だった」

と熱い吐息混じりに囁いた。
身体が震えるような色香を含んだ囁きに、カオルは「ひっ!」と息を飲み、鋼牙に囁かれた耳をガバッと手でふさいだ。

「ちょっ… な… 何言って…」

普段こんな甘い言葉など言わない鋼牙にドキドキし、彼から距離を取ろうとしてカオルが座り直そうとした。
が、鋼牙はぐいっとカオルの腰に手を回して、反対に自分の方へと強く引き寄せた。
体半分がぴったりと吸い寄せられるようにくっつき、カオルの心臓も超高速フル回転だ。

そこへ呑気な顔をしたゴンザが顔を出す。

「おや、鋼牙様、お目覚めですか?
 それではお茶でもお持ち…」

「いや…」

踵(きびす)を返してキッチンに戻ろうとしたゴンザの足を、鋼牙の強めの声が押しとどめた。

「はぁ?」

訝(いぶか)し気に振り返ったゴンザだったが、すぐに、目にしたものに驚き、息を飲む!

「っっっ!」

そこには、カオルを横抱きに抱えてすっくと立ちあがった鋼牙の姿があった。
抱えられたカオルはオロオロと慌て、顔を赤くしている。

「その必要はない。
 ゴンザ、今から部屋で少し休むから、飲むならひとりで飲んでくれ」

そう言うと鋼牙はドアへ向かって歩き出した。

「ちょっと、鋼牙!」

カオルの言葉も完全無視だ。

「あ、あの! 鋼牙様…」

ゴンザが思わず声を掛けると、鋼牙は足を止めて振り返った。
視線だけで、「なんだ?」と問うている。
ゴンザは、鋼牙を引き留めたはいいものの、一体何をどう言っていいやら考えがまとまらず、

「いえ… その…」

と意味を成さない言葉しか出てこなかった。
すると、鋼牙に変わってザルバが口を開いた。

『ゴンザ、今夜は夕食も遅めでいいぞ!』

その言葉に、鋼牙はジロッとザルバを見る。

『なんだ、鋼牙? 何か間違っていたか?』

飄々と言ってのけるザルバと、鋼牙はしばし視線を交わす。
やがて、おもむろにザルバからゴンザの方に視線を向けた鋼牙は、照れもせず、いつもの口調で一言だけ言った。

「そういうことだ」

と。

それを聞いたゴンザも、そして鋼牙の腕に抱えられているカオルも、ただただ茫然として何も言えず、そうこうしているうちに鋼牙はさっさとリビングを出て寝室へと向かっていった。



キィィィ バタン!



リビングのドアが閉まる音とともにゴンザはハッと我に返り、

「そういうこと… でございますね?」

と呟くと、コホンと軽く咳払いをひとつして、ムズムズする顔をなんとか引き締めてリビングをあとにした。




その日の夕食どき…
とうとうカオルは降りてこなかった。



fin
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ふふふ。
カオルちゃん、恥ずかしくてたまらんでしょうな。

最初はしっとりと…
中盤もしっとりと…
終盤になって、あれれれれ?
となりましたが、そこは笑っていただければと。

途中、カオルに「可愛い寝顔だった」と囁く鋼牙さんに対して、「あなた、ほんとに鋼牙さん?」という突っ込みが聞こえてきそうだな、と思いました。
(って言うか、自分で突っ込んだ!)
それども、そこはノリで突っ走りましたよ。
えぇ、えぇ、ノリって大事! (自己防衛っ!)

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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