きんのまなざし　ぎんのささやき

牙狼（冴島鋼牙 Ver.）の世界を、気ままに妄想した二次創作サイトです

まなざしとささやき（3）

あのですね。
なんかまだ終わらないんです。

鋼牙とカオルが話し始めると、楽しくなってきちゃって…

よろしければ、続きをど～ぞ！！

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その晩、カオルは朦朧（もうろう）としながらも鋼牙の傍（そば）から
離れなかった。
ゴンザもそんなカオルが心配で、ともに鋼牙に付き添った。
それでも、深夜をだいぶん過ぎた頃には、二人とも睡魔に引きずり
込まれていた。

深々（しんしん）と夜が更け、夜明けには今しばらく必要…　という頃、
カオルが不意に眼を覚ました。

（いけない、寝ちゃった…）

周囲を見回し、ゴンザに掛かっている毛布のズレを直してやった。

（鋼牙もよく眠っている…）

額にかかっている前髪に触れてみる。

「鋼牙、無理をさせてごめんね…」

想いが声になっていた。
静かな闇夜に殊の外（ことのほか）大きく響いた自分の声に驚き、
慌てて口元を手で押さえて二人を見る。

（よかった、起こさなかった…）

そして、ほんの少し鋼牙に近づき、小さな声で呟（つぶや）いた。

「あたし、自分一人で生きていると思ってた。
　でも、あなたに出会えて…　ううん、あなたやゴンザさんに出会えて、
　自分が支えられて生きているってことをイヤと云うほど分かった…

　裏切られたと思い込んで、鋼牙を信じられなかったときもあったけど、
　それでも鋼牙は守ってくれた…
　ゴンザさんの言ったとおり、あたしの知らないところでボロボロに
　なりながら…
　あのときは本当にごめんね…」

そこまで囁くと、ちょっと自嘲気味に笑った。

「ふふっ…
　起きているときは喧嘩（けんか）ばっかりで、ホントに伝えたいことは
　言えないのに…
　寝ている鋼牙にならちゃんと言えそうだよ。

　鋼牙、ありがとう…
　あたし…　生きていてよかった。
　鋼牙とまた会えて、ホントに嬉しい。

　…な～んてね。」

カオルは赤くなって照れた。

「…なんだ、今のは冗談なのか？」

「ひやっ？！」

いきなり鋼牙の声。
見ると、うっすら眼を開けてカオルを見ている。
カオルは、さらに真っ赤になっていく。
恥ずかしさのあまり、思わず大きな声で鋼牙をなじる。

「ちょ、ちょっと～
　今の聞いてたのっ？！」

「う～ん…」

ゴンザがゴソゴソ動く。
それを見てカオルは慌てて声をひそめ、鋼牙に顔を近づけてから非難する。

「タヌキ寝入りしてるなんて、卑怯よっっ」

「寝てるそばでごにょごにょ言われたら、フツー起きるだろう。
　ところで…　さっきのはやっぱり冗談なのか？」

「えっ…
　ん～っ　…冗談に決まってるじゃ…」

”ない！”　と続けようと思っていた言葉をカオルは飲み込んだ。
真っ直ぐにカオルを見つめる鋼牙の瞳に吸い込まれそうになったから。
カオルは大きく深呼吸して、ちょっと姿勢を正して、鋼牙への気持ちを
口にした。

「…冗談じゃないです。
　本当に感謝してる。」

それを聞いた鋼牙は、視線をそらした。
耳たぶが赤くなっている。

「ねっ、どうしたの？
　どっか痛くなったの？」

カオルは慌てて鋼牙の表情を覗き込もうと近寄った。

「寄せっ　俺は…
　…礼を言われ慣れてないだけだっ…」

「…
　なぁんだ、びっくりした。
　そんなの、あたしだって言い慣れてないわよ。
　ふふ…　だから安心して、もう言わないから…」

「…てくれ」

「えっ、なにっ？」

「そうしてくれって言ったんだっ」

「ぷっ…　はいはい。
　じゃあ、もう少し寝たら？」

「あぁ。
　だがその前に、すまないが水をくれないか？」

「じゃあ、冷たいのを持って来るね。
　待ってて…」

そういうとカオルは水を取りに部屋を出た。

to be continued（4へ）
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[12回]