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きんのまなざし ぎんのささやき

まなざしとささやき(1)

見切り発車してしまいます。
ドキドキでございます。
ちゃんと着地できるのでしょうか?

性急だと思いつつ、自分を追い詰めるためにど~んと出しちゃいます。




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零とゴンザが気を利かせて部屋から出て行った。

ホラーの返り血が浄化されたばかりのカオルに、鋼牙は優しく言った。

「少し休め…」

「…うん。」

その返事を聞き、優しい微笑みを浮かべた鋼牙の顔が、次の瞬間、
苦痛に歪み、椅子から崩れるようにずり落ちていった。
右手でベッドにしがみついたものの、そのまま右膝を床についた状態で
胸を押さえ、激しい息遣いで両肩が大きく波打っている。

「鋼牙っ!」

カオルは驚き、慌てて身体を起こそうとした。
だが、死の淵から戻ったばかりの身体は鉛のように重く、思うようには
動けなかった。
ようやく身を起こして、鋼牙の肩に手をかけ、

「…大丈夫…?」

と覗き込むように声をかけたが、すぐさま、落ちるような格好でベッドから
降り、身体を引きずるようにドアのほうへ向かおうとした。

「あたし、ゴンザさんを呼んでくる!」

そんなカオルの腕を掴み、鋼牙は引き止めた。

「…カオルっ!
 俺なら大丈夫だ… だから、ゴンザは呼ばなくていい… うっ…」

「でも…」

困惑するカオルに、鋼牙の言葉は続いた。

「せっかく助かった命なんだから、無理をしないで少しは大事に
 しろ…」

カオルは一瞬唖然とし、次の瞬間、泣きそうな顔で怒り出した。

「何言ってんのよっ!!
 それは鋼牙の命だって同じじゃないっ!!
 あたしの命のために、鋼牙の命をすり減らしていいわけないのっ!
 …お願い、あたしのためにもう無茶はしないで…」

死の淵から戻ったばかりのカオルは、声にも力が入りきらず、
最後は涙声になってしまった。

鋼牙は一瞬眼を見開いたが、すぐさま穏やかな声でこう言った。

「…落ち着いてくれ、カオル。
 俺はいたずらに命を粗末にしているわけじゃない。
 お前を助けたいと、そう心から思ったから…

 浄化はもう済んだんだ。
 これ以上お前が心配することはもうない。

 それに…」

「…?」

鋼牙は悪戯を企てている少年のような瞳で言った。

「…それに、ゴンザを呼ぶなと言ったのは、もっと単純なことだ。
 俺が助けた命を、一人で気の済むまで眺めていたかった。
 ただ、それだけだ。」

「…なに、それっ?!
 俺はすごいって自慢げにそう思いたかったってこと?
 どこまで自信家なの!」

カオルは少し呆れた後、鋼牙を軽く睨んでから笑った。
その笑顔を見つめて鋼牙は思った。


(あぁ、この笑顔を守りたかったんだ…)


鋼牙もまた、痛みに歪んでいた表情をゆるめ、優しくカオルを見つめた。
そのまなざしは、優しく温かで、燃えたぎる熱情を強靭な理性で閉じ込めた、
厳(おごそ)かで気高いものだとカオルは思った。



to be continued(2へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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