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きんのまなざし ぎんのささやき

めぐる季節の中で(2)

翼とレオ…

ふたりで会話するシーンは MAKAISENKI では、ほぼ「なし」。
辛うじてあるのが、「おまえに騎士の何がわかる!」ですから、印象最悪~

どうなる? どうする?




::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

気まずそうに黙ってしまった翼とレオを前にして、邪美はおもむろに口を
開いた。

「あたしが横から口を挟むのもどうかとは思うけど、このまんまじゃ埒が
あかないから一言言わせてもらうよ? いいかい?」

邪美は、翼とレオを交互に見た。
そして、異論がないようだとわかると、話を続けた。

「レオ、あんたが兄さんのことで、みんなに対して引け目を感じるのは
 しょうがないことだと思うよ。

 だけどね、言いたいことがあるなら、はっきり言っといたほうがいいん
 じゃないのかい?
 そうじゃないと、あんたの気持ちは誰にも伝わらないよ?

 そう… 特にこの男にはね」

そう言うと、邪美はちらりと翼を見た。

(なんだ! 人を馬鹿か何かのように言いやがって!)

そう思っているのが丸見えな翼を、邪美は面白がっているように、ふふんと
笑った。

「そんな、言いたいことだなんて…」

それでも言い淀むレオを、まったくしょうがないねぇ、というふうに眺めて
から、邪美は翼のほうを向いて言った。

「翼、レオは、あんたの謝罪では少しも気が晴れてないようだよ」

邪美の言葉に、レオは慌てて、

「そんな、邪美さん… ぼくは…」

何か言い訳をしようとしたが、そんなレオを、邪美は手で制して言葉を
続けた。

「いいかい、翼。
 あんたの言い方では、あんたが魔戒法師を軽んじているように思われても
 おかしくないんだよ。

 レオは確かに魔戒騎士かもしれないけど、魔戒法師としても立派な腕を
 持っているんだ。
 魔戒法師を軽んじるような言葉に、カチンときてもおかしくない。

 あんたの選ぶ言葉が間違っているねぇ」

翼は、邪美の言葉を大人しく聞いていた。
すると、邪美は、今度はレオを振り返った。

「レオ。
 翼も悪気があったわけじゃないんだよ。

 知ってのとおり、翼は閑岱の魔戒騎士だ。
 閑岱は魔戒法師の里。
 そんな場所を守っている翼は、魔戒法師を蔑む気持ちなんかあるはずない
 じゃないか。 そうだろ?

 翼は、法師たちを守る立場にあるんだ。
 普通の魔戒騎士なら、人間を守るのが使命だ、と思うところだが、
 この男の場合、守るべき人の中に、魔戒法師も含まれてしまうんだよ。
 人間だけでなく魔戒法師も、俺が必ず守ってみせる、ってね。

 その強い気持ちが、ちょっと暴走しちまったと受け取っておくれよ。
 それに、あのときは、翼の命もかなり際どい状態だったからね…」

そう言うと、邪美は少しだけ痛々しい表情を見せた。
あの頃の衰弱していた翼のことを思い出したのだ。

だが、その心配も今は消えた。
だから、すぐに邪美は、翼に優しいまなざしを向け、翼はそれを受け止め
きれずに顔をそらした。

邪美はそんな翼を見ていたが、急に悪戯っ子のように顔を輝かせた。
そして、レオのほうに顔を近づけて、声を潜(ひそ)めて言った。

「翼は、必要以上に責任を背負い込み過ぎるところがあるんだよ。
 性格、って言ってしまえば、それまでだけどさ…

 クソ真面目過ぎて、時々呆れちまうんだ」

クスクス笑う邪美と、それを聞いて微妙な顔をしているレオに、

「聞こえてるぞ」

と、翼が不機嫌な声が飛んだ。
そんな翼にも、邪美は少しもこたえず、アハハと笑い続けた。



(そうだったんだ…)

邪美のお蔭で、レオにも、ようやく翼の本心が解った。

「翼さん、すいませんでした。
 閑岱を守る者として、翼さんの気概がそれほどまでだとは知らずに…」

目を伏せがちに言ったレオが、キッと瞳に力を宿して翼を見た。


「翼さんのように、そこまで強い気持ちが僕に持てるかわかりませんが…
僕、決めました!

 兄がしたことは許されることではありません。
 それを、弟である僕が償っていかなければならないと思います。
 まだ、どうやって償えばいいかは判りません…
 でも、僕はそれをやらなくちゃいけない!

 邪美さんの話を聞いて、翼さんの想いに触れて、少しだけ迷いが吹っ切れ
 ました!」

レオはそう言うと、初めて爽やかな笑みを翼に見せた。
その笑顔を眩しそうに見ていた翼は、

「俺は何もしていない…
 全部、邪美の勝手な思い込みで言ったことだ」

と静かに言いました。
それを聞いて、レオが邪美を見ると

(こういう男なんだよ、翼ってやつは…)

とでも言いたそうな顔でフッと笑った。

「はい…」

レオは、翼にとも邪美にともつかず、そう返事をした。



ふと、レオは、空を見上げた。
久しぶりに見上げる空だった。

これから先、レオに好意的に接してくれる者は限られてくるかもしれない。
あからさまに悪意をぶつけてくる者もいるかもしれない。
先のことを考えれば不安ばかりが先に立ってしまうが、今に限って言えば、
レオの気持ちは、この空のように澄みきって晴れやかだった。



「翼さん、邪美さん。
 僕、これで失礼します!」


レオはそう言うと、翼と邪美に頭を下げて、鋼牙の消えた方向に向かって
走り出した。
その背中を、翼と邪美は笑って見送った。



「キラキラしてるねぇ」

ぼそりと邪美が呟いた。

「羨ましいのか?」

翼が聞いた。

「そうだねぇ…」

少し考える素振りを見せた邪美が笑った。

「ふふふっ、やっぱり羨ましいね。

 そういうあんたはどうなんだい?」

切り返した邪美の言葉に、翼もちょっと考えた。

「羨ましいかどうかはともかく…

 ああいうふうに若者が成長していく姿は、頼もしく思えるな」

そう言うと、翼は満足そうにうなずいた。

「翼… あんた、なんだか年寄り臭いよ」

邪美は、呆れた顔を翼に向けた。

「そうだろうか?」

翼は、とぼけて言う。

「騎士や法師としてこれから、という若い世代を、教え育てるということも、
 そろそろ、俺たちの役割なんだろうな…」

呟くように言った翼の言葉に、邪美は答えなかったが、

(そうかもしれないねぇ)

と、ぼんやりとそう思いながら、小さくなったレオの背中を見つめた。



fin
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


オチらしいオチ… どこ?
無理矢理、着地させてみたけど… (苦笑)

さて…
「おまえに騎士の何がわかる?」と言ったときの翼!
イヤ~なヤツでしたよね?

でも、律儀なお方だと思うので、自分に非があるとわかったら、
「すまん!」
って素直に謝るんじゃなかろうか… そんなふうに思いました。

そうしたレオとのやりとりの中で、自分より若いヤツがポンっと一歩前に
歩み出す瞬間に立ち会ったとき、翼は「グングン伸びようとする、若い
世代を教え導く」ってことを意識したのかもしれないなぁ、と思った次第
です。
そして、そこから、あのEDの翼教官が誕生するのかなぁ~ と。

あぁ、季節がいくつも行き過ぎて、翼もいつの間にかそんな世代なのね…

そして、そして…
こういうことがあったから、邪美も烈花の成長を助けようと手を貸したの
かな? なんて、思ったり…
(「桃源」が未見なので、そこら辺の経緯が描かれているのか、いないのか
 わからないのですが、もし、全然違ったら笑うだけっすね。 ははは)

う~む、いかがでしたでしょうか?

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コメント
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無題
こんばんは、9月になり朝夕は、肌寒く感じる季節になりました、めぐる季節のなかで、翼とレオくんのお話、一本木な堅物の翼、気持はまっすぐなのに言葉が足りない、兄の負の遺産を一身に受けて何事にも控えめなレオ、ふたりの間にはいつて、大人対応の雅美、いや、ふたりの言葉のたりない部分を解説するが正かな、もう雅美姉には脱帽、いいあじだしてますね、言葉が足りない男ふたり、気持ちと心は立場は違えど真っ直いいですね、
かままま 2013/09/10(Tue)00:06:58 編集
Re:無題
かなまま様、コメントありがとうございます!!

翼と鋼牙。
相手との関わり方について「不器用さ」は同じなのですが、なんだか微妙に印象が違いますよね?
鋼牙の場合、目的(例:ホラーを狩る)に対して、手段のほうは固執しない印象ですが、翼は手段もガチガチに決めていそう… なんとも融通の無さがビシバシ感じます。
いろいろなタイプの「不器用な男」がそばにいる邪美姐さんは、その扱いにかけてはプロなのかもしれません。
もはや「不器用男のオーソリティ」と呼んでもいいですね!


【2013/09/10 20:16】
だらだらしたコメントだったのに
丁寧なお返事、有難うございました!う~ん、やっぱり確実に前半のレオはシグマだ!とは、言い切れませんよね…。コメント書いておいて何ですが、今でも悩んでるポイントです。
さて来月の頭、牙狼に関して何やら発表があるとか。う~ん、前・牙狼に関する事なら嬉しい(零くんスピンオフなら泣いて喜びます!)ですが、違うかなぁ?とも思うのですよねぇ。(前・監督は既に別作品に取り掛かってますからね)一体、何でしょうかね?
URL 2013/09/13(Fri)13:39:57 編集
Re:だらだらしたコメントだったのに
茅様、コメントありがとうございます!
こちらこそ、だらだらと思いつくままお返事してしまって、「あんなお返事でよかったのかなぁ」と今更ながら思ってます。

あのテーマについては、ほんとに、いろんな解釈があっていいと思うんです。
入れ替わりがあったとして、シグマの中に、カオルちゃんとの関わりの中で何らかの想いが生じたりした、って思った方がワクワクしますもん♪
あのグレス様でさえ欺いていたとしたら、シグマってスゴくないですか?

牙狼に関する発表… なんでしょうね?
う~~~ん、過大な期待はしないように、しないように… と、自分に言い聞かせますが、やっぱり、ちょっとドキドキしますね。


2013/09/14 00:09 追記
ゼロが帰って来る!!!!!!!!!!
全6話 金田監督で!!!!!!!!!!
(ゼロのお話、金田監督で見たいな、って思ってたの!
 さっきは書かなかったけど、これ、ほんとなのぉ!!  ←力説!)
【2013/09/17 23:35】
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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