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きんのまなざし ぎんのささやき

怒ってますっ!(2)

カオルちゃんが怒ってます…


さぁ、そろそろちゃんと考えないといけません。

カオルちゃんは、何に対して怒ってるのか?
そして、
それをどうやって解決するのか?

を。

うむむむ…

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カーテンのスキマからこぼれる一条の光が、カオルの目のところに差し
込んできた。
カオルは顔をしかめて、その重たい瞼を無理矢理こじ開けていく。

この日の目覚めの悪さは、これまでのカオルの人生の中でも、ワースト5
くらいには入るくらいだった。

じっとりとかいた寝汗が気持ち悪い。
昨晩は、中途半端に雨が降り、湿度の高さのため不快指数がぐいぐいと
跳ねあがった夜だった。

身体が受ける不快さに加えて、カオルは4日前(あっ、日付が変わったから)
5日前に、些細なことで腹を立てて冴島の屋敷を飛び出してからというもの
ずっと、気分もむしゃくしゃしていた。

しかも…
昨日、しばらくぶりに偶然出会ったゴンザから聞いた話によると、鋼牙の
ほうは、そのことに関して一切気にしていないようだというのだ。
そんなことを聞かされたために、少しは静まりかけていた(かもしれない)
カオルの怒りに、また燃料が投入されてしまった。
ただし、その燃料には不純物でも混じっていたのか、なんだか不完全
燃焼でも起こしているみたいに、いまひとつ燃え方がぱっとせず、
ぶすぶすと消えるわけでもなく、燃え上がるわけでもないような状態で、
そのこともまたカオルはひどく疲れさせていた。


そんなわけで、この朝のカオルは、ひどくぐったりとしていた。


ようやく、ベッドの上に上半身をゆらりと起こすも、頭を持ち上げる力も
なく、うなだれたままだった。

「う~~~ だるい~~~」


どのくらいそうしていたのか、このままじゃ、またベッドに逆戻りして
しまいそうだ、と思い、

「だめだめだめ。
 そろそろちゃんとしないとだめ!
 そうじゃないと、あたし、ごはんが食べていけない!」

と、口に出して言ってみた。


もちろん、鋼牙の屋敷に行けば、いつでもごはんくらいは食べさせてくれる。
でも、そんな甘えた態度は、鋼牙にもゴンザにも見せたくなかった。
その甘えは、絶対に、自分の描く絵にも出てしまうとも思っている。
だから、こうして、アパートを借りて、絵を没頭する環境を自らに用意も
しているのだ。


(そうよ。
 このモヤモヤを早くスッキリさせないとだめ!

 うん!
 今日は屋敷に顔を出そう!
 このままじゃ、あたし、落ち着いて絵が描けないし…

 そうよ、絵のためよ!
 鋼牙を許したわけじゃないけど、絵を描くために行くんだからね!)

そんなふうに自分への理由づけ(言い訳とも言う)をしてから、カオルは
えいっと起き上がった。
熱いシャワーを浴びて、ダルダルな身体をシャッキリと起こしてから、
冴島邸に向かうために…




カオルは、冴島邸の玄関のドアの前で大きく息を吐いた。

  ギィ~ッ

そぉ~っとドアを少しだけ押し広げ、顔をひょいっと覗かせてみた。
大丈夫!
カオルの存在には、誰も気付いていないみたいだ。
ほっとして、もう少し大きくドアを開けようとしたそのとき、ぐいっと
ドアがひとりでに押された。

「あっ」

カオルのバランスが崩れ、前につんのめるようにして屋敷の中に頭から
突っ込みそうになった。
だが、すんでのところで、後ろから肩を掴まれた。

「えっ」

自分の予想にしない力に翻弄され、カオルの身体は前へ後ろへと大きく
揺れた。
なんとか転ばずに済んでほっとしているところに、人を小馬鹿にする
ような、おなじみの声が聞こえた。

『何やってるんだ、カオル?
 何か盗みにでも来たのか?』

ザルバの言葉に、カオルは反射的に怒った顔になったが、鋼牙の視線を
気にして、その視線を避けるようにザルバへと顔を近づけさせた。

「あたしは、そこまで落ちぶれてません!」

『ははは… 今のは冗談だ。 気にするな』

「ちょっとぉ~、ザルバぁ~
 だいたいね…」

カオルがザルバにもっと文句を言ってやろうとしたのだが、鋼牙はそれを
待たずにさっさと屋敷へと入っていった。

そして、屋敷の中へ5~6歩入ったところで、ちょっと振り向いて、

「どうした?
 入らないのか?」

と言う。
その態度は、あくまで平然としていた。

「あ、うん…
 は、入るよ」

「そうか…」

カオルの答えを聞くと、鋼牙は止めていた足を進め、すたすたとリビングへと
歩いて行く。

玄関でのやりとりを聞きつけたのか、ゴンザがキッチンから顔を覗かせ、

「これは、鋼牙様、おかえりなさいませ。
 おや、カオル様も… ささっ、どうぞ」

と、笑顔でふたりを出迎えた。

「今、帰った」

「ゴンザさん、こんにちは…」

ふたりはそれぞれゴンザに声をかけると、相次いでリビングへと入る。

いつものように、脱いだコートを鋼牙から受け取ると、ゴンザはそれを
コート掛けに掛ける。
そして、

「只今、お茶をお持ちいたしますね」

とリビングから消えていった。
いつものように、無駄のない、エレガントにさえ見える動きだった。


あとに残ったのは、鋼牙とカオルのふたりだけ…


鋼牙のほうはというと、落ち着いた様子でひとり掛けのソファに向かって
近づくと、ゆっくりと座り、静かに目を閉じた。
これもまた、いつもと同じだ。

その様子を眺め、ドアの近くに立っていたカオルは、ひとりだけ、なんだか
居心地の悪さを感じていた。


『どうした、カオル?
 座ったらどうなんだ?』

その状況を面白がるような様子で、ザルバがカオルに声を掛ける。

「そ、そうね」

ぎこちなく返事をしたカオルは、ザルバがいたことに気付いて、少し
ほっとした。
少なくとも、鋼牙とふたりでないことに安心したのだ。


『何を緊張しているんだ?』

カオルの気持ちに気づいているのかどうか、ザルバは、さらに声をかける。

「別に緊張なんかしてないわよ」

ソファに腰を下ろしながらカオルは答え、ちらっと鋼牙の様子を窺う。
カオルとザルバの会話になど関心がないのか、鋼牙は目を閉じたままで、
表情もほとんど変わらない。

(ほんとに、このあいだのこと、鋼牙は何とも思ってないのかしら?)

そう思いながら、カオルは、自分の表情が段々険しくなっていくのを感じた。

(あたしひとりだけが、引きずってるってことっ?!)



to be continued(3へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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