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きんのまなざし ぎんのささやき

牙 狼(冴 島 鋼 牙 Ver.)の世界を、気ままに妄想した二 次 創 作 サイトです

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最近の’お礼’

怒ってますっ!(4)

思いもしない方向に転がり出してます。 (あらまぁ!)
こっちの方向で大丈夫かなぁ?



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食べようと思っていたマロングラッセが、鋼牙に食べられた…



(今考えたら、なんでそんなことであんなに怒ったんだろう、って思う。
 何日経っても収まらなかった怒りの原因が、こんなことだったなんて…)

鋼牙のいる書斎に向かうカオルの足が、ピタリと止まった。
もうほんの数歩で書斎のドアの前だというのに。

(あれっ? どうしてかな?
 なぜ、あたしはあんなに怒ったのかしら?)

原因がわかったというのに、カオルにはそのことがちょっとばかり不思議に
思えた。
いくらおいしかったとはいえ、たかだか栗の1個や2個であんなに怒るもの
だろうか?
そのくせ、マロングラッセのことは、今の今までそれをすっかり忘れて
しまっていたのだ。



…そう、それはきっかけに過ぎなかった。



カオルはあの日を遡る少し前から、

(この頃、鋼牙とはすれ違いばかりだな…)

と、感じていた。

カオルが屋敷に顔を見せても、鋼牙が出掛けていることもあれば、書斎に
籠(こも)っていることもある。
もちろん、騎士の仕事に日曜がお休みということもない。
それはカオルも同じで、興が乗れば、不眠不休で創作に没頭する。
そして、お日様が天高くにあっても泥のように眠っている日もあった。

お互いのやりたいこと、やらなければならないことはよくわかっていたし、
それを尊重してきたから、これまで上手くやってこれた。
ただ、そのことでカオルが我慢をしなかったわけではない。
もちろん、寂しい想いもしてきた。
でも、相手を想うあまり、自分の気持ちにフタをするようになっていた。

  ふたりの気持ちを大事にしたい…
    ふたりで過ごす時間を大事にしたい…

そういう想いを知らず知らずのうちに閉じ込めていったのだった。


ただし、そのことを明確に意識していたわけではなかった。
これまでもずっとそうだったから。
ちらっと考えることもあったが、日々の忙しさの中、ゆっくりとそのことに
向かい合うこともなかったのだ。

だから、あの日も、

  もっと、鋼牙と話したい…
    もっと、鋼牙と優しい時間を共有したい…

そんな気持ちが、カオルにあったのも「無意識」のことだった。
その「無意識」が月日を重ねることで、見えないように堆積していたらしい。



今、思い起こしてみると、あの日、

  鋼牙は、調べかけの書物を片手にお茶を飲んでいた…
    カオルは、掛かってきた電話を優先させてしまった…

そうなのだ、お互いに自分の仕事をお茶の時間に持ち込んでしまっていた。
ふたりがゆったりとした時間を過ごせるはずのお茶の時間に。

カオルの中で、無意識に、そんなのいやだ、こんなことしちゃだめだ、と
思っていたのではないだろうか?

そんなときに、鋼牙は、カオルの勧めたマロングラッセを(やんわりとだが)
断った。
いや、そのことがどうこうということではない。
鋼牙に断られるのは、あらかじめ想像できたことだから、カオルも気には
していなかった。

カオルが気になったのは、カオルが電話で中座していたときに、鋼牙が
マロングラッセを食べたこと…
食べて、と言ったときに食べずに、食べないのかぁ、と思ったときに
食べた…
他人にとっては、些末なことだろうが、その小さなタイミングのズレが、
これまでの小さなすれ違いで抱いていたカオルの不満を爆発させることに
なったのではないか?



そのことに思い至ったとき、カオルはどうしたらいいのか解らなくなった。

(こんな状態で、鋼牙に会えない…
 だって、何を話したらいいの?)

悩んだカオルは、このままリビングに戻ろうかとターンしようとしたとき、
書斎のドアが開かれた。

「どうした? 何か用か?」

顔を覗かせた鋼牙が言った。
書斎に向かってくる靴音が聞こえたのに、いつまで経っても誰も入って
こないことを訝(いぶか)しんで、鋼牙は覗きにきたようだった。



to be continued(5へ)
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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…



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