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きんのまなざし ぎんのささやき

怒ってますっ!(5)

喧嘩して仲直りする!

こんな漠然とした当初の設定から、見切り発車したこの妄想

見切り発車だと、ずるずる書いちゃう気がして、読み手様にとっては退屈な
ところもあったかも…
大丈夫でしょうか?

さて、ふたりは無事マロングラッセを食べられるのか?
ん? ゴールは、「マロングラッセ」ですかね?

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リビングに戻ろうかとカオルが思案しているとき、書斎からふいに鋼牙が
顔を覗かせた。
手には読みかけなのか、ページが開かれたままの書物を持っていた。

こうなってしまえば、なんでもない、と言って帰るわけにもいかない。

「えっと…」

カオルは何を言おう考えようとして、すぐにそれは諦めた。
考えるより、当たって砕けろ、だ。

「あ、あのね、忙しいのはわかるんだけど…
 えっと、仕事が大事なのもよくわかるんだけどね…

 …5分だけでもいいから… その… 一緒に、お茶、飲まない?」

(言えたぁ…)

ホッとしたのも束の間、「なんだ、そんなことか」 と、鋼牙に言われる
可能性が頭をよぎった。
そんなことを、今、言われでもしたら、しばらくは立ち直れない気がした。

(あぁ、どうしよう…)

でも、言ってしまった言葉は、もう、なかったことにはできない。
きゅっと口を結んで鋼牙の返事を待つ。


「…それを言いにきたのか?」

「えっ?」

言葉としてはそっけなくもとれるものだったが、鋼牙の声は穏やかで、
そのまなざしも優しかった。
少しほっとしながら、カオルは慌てて答えた。

「…あ、うん… まぁ、そんなとこ…」

「そうか…」

そう言ったきり、鋼牙はカオルをじっと見つめる。
カオルは視線をそらしたくなる気持ちを抑え、なんとかそのまなざしを
受け止めていた。
でも、だんだんこらえきれなくなって、つい、口を開いた。

「マロングラッセ…」

「ん?」

急に出てきた単語に、鋼牙は少しの驚きをもって反応する。

「…マロングラッセを用意するように、ゴンザさんに言ったんだって?」

「あ、あぁ。 そうだな」

少し歯切れが悪い感じで鋼牙は答えた。

(あれっ?)

空気が微妙に変わったのを感じて、カオルが続けて尋ねた。

「なんで?
 鋼牙がそういうものをリクエストするなんて、珍しくない?

 …あのマロングラッセが気に入ったの?」

カオルに尋ねられた鋼牙の目が、少しばかり泳いだ。
それに、気付いたカオルは、ほんの少し期待をした。

(ひょっとして、あたしのために?)

そんなことを考えながら、鋼牙の答えを待つ。

「まぁな…」

ぼそりと言った答えに、なおも追求したい気持ちもあったが、

「ふ~ん」

とだけ、カオルは言った。
鋼牙の実際の気持ちは判らないが、知らず知らずのうちに顔がにやけて
くるのを、カオルは必死にこらえようとした。
そのとき、鋼牙の手の書物に目がいき、あっという顔をして、カオルは
鋼牙を見た。

「ごめんなさい、仕事の邪魔をしちゃったね。
 もういいから、仕事に戻って!

 じゃ、あたしはリビングに戻るから…」

早口でそう言うと、カオルは鋼牙に背を向けた。
背を向けた途端、我慢していた笑顔がカオルの顔に浮かんだ。
そして、弾んだ足取りで歩きだそうとする。



「カオル?」

その背に鋼牙の声がかかる。

えっ、と振り返るカオル。

「仕事の続きを、リビングに持ち込んでもいいか?
 そうすれば…  あ、いや、何でもない」

言いかけていた言葉を、鋼牙は飲み込んだ。

(ひょっとしたら、鋼牙の本心が聞けるかも…)

そう思ったカオルは、思い切って尋ねた。

「そうすれば… なぁに?」

鋼牙の顔を覗き込むように見つめる。

(リビングに書物を持ち込むのは、少しでもあたしと一緒にいたいから?
 そうなの、鋼牙?)

そんなふうに期待を込めて、鋼牙の返事を待つカオルに、鋼牙は言う。

「…大したことじゃない」

「なら、教えてくれてもいいんじゃない?」

非難めいて聞こえないよう注意しながら、そっと促すように言ってみる。
鋼牙からは、言おうかどうしようかほんの少し迷っているような気配が
見えた。
やがて、鋼牙の重い口を開いた。

「ただ、おまえと一緒に…」

カオルから視線を外して、ぼそりと鋼牙が呟く。

「えっ?」

思わず聞き返したカオルに、

「…そういうことだ」

と口早に言って、鋼牙はカオルの先に立って、リビングに向かった。
カオルは、今聞いた鋼牙の言葉を反芻しながら立ち尽くした。
やがてすぐに、ふふっと笑うと、

「待って!」

と呼びかけて、鋼牙の背に向かい駆け寄った。

横に並んだカオルに、ちらっと一瞥をくれただけで、すぐに前を見つめる
鋼牙だったが、そっとカオルの肩に手をおき、少し抱き寄せた。


あっ、と思いつつ、カオルはしあわせそうな微笑みを浮かべて、鋼牙に
もたれかかった。

「ありがと…」

「…」

カオルの呟きが漏れたが、鋼牙は無言で歩き続けた。
だが、カオルの肩に置かれた手に力がこもったことをカオルは感じていた。

(一緒にいる時間を作ってくれて、ありがとう、鋼牙…)




fin
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書斎の前での鋼牙さんとカオルちゃんの会話。
もう、ず~っと書き続けていたいくらいです。
こういうくすぐったい会話が、好きなんです。

夫婦になったら、こういうこともなくなっちゃうのでしょうか?
だとしたら、イヤだな。

落ち着いちゃってときめきも何も感じなくならないように、たまにはこうして
いざこざがあってほしいです。

あっ、でもこれは selfish の望みであって、みなさんは違うのかな?
喧嘩はしない、仲良し~なふたりがいいですか?

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selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も5年を経過しましたが、まだ飽きていない模様…



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