きんのまなざし ぎんのささやき
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おにいちゃんってさぁ(1)
台風14号!
九州では甚大な被害に見舞われた方も多いと聞きますが、こちらはまだ通過しておらず、蒸し暑さに悩まされております。
ああ、どうか、さっさと勢力を弱めて通り過ぎてほしいものです…
が、そんなこととはまったく関係なく、今宵の妄想は始まるのです。
どうぞ…
九州では甚大な被害に見舞われた方も多いと聞きますが、こちらはまだ通過しておらず、蒸し暑さに悩まされております。
ああ、どうか、さっさと勢力を弱めて通り過ぎてほしいものです…
が、そんなこととはまったく関係なく、今宵の妄想は始まるのです。
どうぞ…
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「う~、あっちぃ~」
ヘルメットを脱いで頭を振り回した零は、グローブを外して、ついでにシャツのボタンもひとつふたつと外してから、バサバサと首元を無造作にひっつかんで身体にも風を送った。
公園脇の駐車場の木立が作る日陰にバイクバイクを止めた彼の耳には、子供たちのきゃあきゃあ騒ぐ声が届いている。
多分、子どもたちが水遊びもできる浅瀬の水場がここから近いのだろう。かすかに水音も混じっていた。
「いーなー、俺も水浴びてーなー」
そう言いながら零はバイクから降りた。
夏のバイクは地獄だ。
頭上からは容赦なく夏の太陽が照らしつけ、足元のエンジンはヒーターみたいなもの。
動いている分にはまだ我慢もできるが、信号で止められると途端に体中から汗が流れる。
こんなときは冷たいかき氷でも食べたいところだが、とりあえず水分と糖分ならなんでもいいとばかりに、零は自動販売機を目座して歩いた。
ガコンッ
取り出し口から取り出したぺっとボトルのキャップをその場で開け、ごくりごくりと乾いた喉に流し込んだ。
正直、味わうどころじゃない。
「はぁ~」
半分以上を一気に飲み干してから、生き返った、とばかりに空を仰(あお)いだ。
そして、すぐに2口目を口に含んだが、今度はさすがに味わう余裕が出てきたから、イオン飲料の甘さを感じることができた。
額に流れる汗をぬぐいつつ、ボトルの残量に目をやる。
(もう1本買っとくか…)
零はポケットからコインを取り出すと、自動販売機の投入口にチャリンと落とし込んだ。
1本目は渇いた身体への水分補給を重視したが、2本目は好みで選ぼうと思い、指を彷徨わせながら迷うことしばし…
「これに決~めたっ♡」
にっこり笑った零は、お目当ての商品のボタンを嬉しそうに押すのだった。
植栽をぐるっと囲んでいるブロックの端に、零は腰を落ち着けた。
木陰もあったし、風の通り道なのか、公園の木々の間を吹き抜けていい感じに冷やされた風が吹いてくるなかなかの特等席だった。
1本目のペットボトルの最後の一口をあおり、2本目を開けようとして、零はふと視線を感じた。
それまでのリラックスしていた表情が、一瞬にして引き締まり、鋭いまなざしで視線を感じた方を素早く見た。
だが、見た瞬間、そこにいたのが小さな男の子だと気づいて、零は驚きに目を見開いた。
見たところ、男の子は小学校に上がるか上がらないかといった年頃のようだった。
零はすぐに表情を和らげる。
しかし、完全に安心をしたわけではない。
油断なく周囲の状況を確認しつつ、男の子から決して目を離さなかった。
「どうしたの?
お父さんとかお母さんとかは?」
男の子は零の顔をじっと見たまま何も答えようとはしなかった。
その様子に零は緊張感を高めるが、もちろん、そんなことはおくびにも出さない。
「迷子、かな?
それとも俺に用事でもあるの?」
そう言ってにこっと笑いかけると、男の子はびくっと身体を振るわせて一歩後ずさった。
そして、無意識なんだろう。手に持っていたソフビのおもちゃをぎゅっと握りしめる。
その態度に不信感の増した零が笑顔を消すと、すかさずシルヴァの声が小さく聞こえた。
『絶狼、この子は人間よ』
その言葉にはっとした零は、すぐに表情を緩める。
シルヴァがそう言うのであれば、この子は間違いなく人間で、零が怖がらせてはいけない相手だ。
「怖がらなくてもいいよ。
俺は君に何もしないから…」
そう言って、ペットボトルを持ったままの手をちょっと上に上げて、害がないことを示そうとした。
少し怯えた様子だった男の子はグッと口元に力を込めて両足を踏ん張った。
「…」
それでも何も言わずじっと零を見る。
(うーん、どうしよう。この子、しゃべれないんだろうか?)
と零が持て余し気味にそう思ったところで、ふと、ソレに気づいた。
ソレが会話の糸口になるかもしれないと思った零は、フッと微笑んでから口を開いた。
「ねえ、それ。覆面ライダーだよね。好きなの?」
零は顔をかしげて、男の子の手にあるソレをそっと指差した。
男の子はハッとしてソレを慌てて後ろ手に隠して、ふるふると首を横に振った。
「えっ? 違うの? じゃあ、なんだろう? 俺、よくわかんないんだよなぁ」
困った零はガシガシと後頭部を搔きながら、
「困ったなぁ。
ねぇ、教えてくんない?」
とへにゃっと情けない顔をして見せた。
すると、男の子は少しだけ安心したのか、そっとソレを持った手を前に出し、零に見せてくれたので、零は怖がらせないように首だけ伸ばしてソフビの人形を凝視した。
「うーん、最近のライダーはよくわかんないけど。
これ、覆面ライダーじゃないの?」
すると、今度は男の子はこくんとうなずいた。
そして、
「リ○イスだよ!」
と教えてくれた。
「えっ? やっぱ覆面ライダーなの?
へぇ、リ○イスって言うんだぁ」
そう言いながら零は顔を左右に振りながら、ソフビの細部を見ようとしていた。
「うん!
ねぇ、、もっと見たい?」
そう言って男の子は一歩、零に近づいた。
「見せてくれるの? いいの?」
零は驚いた表情を見せつつ、にっこり笑って手を伸ばした。
「いいよ!」
そう言って、男の子は零の手にソフビを置いた。
「ありがとう!」
零は手渡された大事そうに受け取ってから、ソフビ人形の前や後ろ、足の裏なんかを興味深そうに見た。
その間に、男の子は背中にしょっていたリュックを下ろして、中をごそごそと探し出す。
そして、
「これはね、セ○バー! こっちがゼロワン!」
「へぇぇぇ、ゼロワンっていい名前じゃん!(絶狼って入ってるし!)」
そうやって、リュックに入っていたものを並べだして、意気揚々と話し出した男の子に零は苦笑しつつもつきあっていたが、あることを思い出した零が慌てて男の子に言った。
「そういえば、お父さんかお母さんと一緒じゃないのか?
こんなとこにいて大丈夫なの?」
すると、男の子は、あっという顔をする。
「僕、黙って来ちゃったんだった」
「そりゃマズイ。
で、お母さんはどこにいるの?」
「お母さんは『しょういち』と『まな』と一緒に池みたいなとこで遊んでるよ」
「お母さんはきっと君のこと探してるよ。すぐに戻ろう!」
零は並べていた覆面ライダー達をリュックに入れて、少年の手を引いてすぐにその場から離れようとしたが、どうしたわけか少年は足を踏ん張って動こうとしない。
「ん? どうした?」
「僕は、『きみ』じゃないよ! 『ゆうすけ』っていうんだ!」
零は男の子を探しているかもしれない母親のことを心配して気が焦っていたが、どうやら男の子、いや、ゆうすけはそんなことより自分の名前をきちんと読んでほしい気持ちのほうが強かったようだ。
(えっ、今そこ大事?)
と零は脱力したが、ふっと笑っていた。
確かに、ゆうすけにとってはそれが大事なことなんだろう。
「わかったよ。じゃ、ゆうすけ。お母さんが待ってるから急ごう!」
「うん!」
ゆうすけはにっこり笑ってから、零の手をぎゅっと握り返して一緒に走り出した。
to be continued
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コメント
selfish と申します。
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
無愛想な魔戒騎士や天真爛漫な女流画家だけにとどまらず、大好きな登場人物たちの日常を勝手気ままに妄想しています。
そんな妄想生活(?)も9年目を迎えましたが、まだ飽きていない模様…
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